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ボーナスステージの異世界冒険録  作者: 椰子獅子


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第52話

ミーが泣き止んで顔をあげたときには、かなりスッキリした笑顔になっていたから悩んでいた事が軽くなったんだろう。


俺達は家族なんだからね。

ユーとミーには幸せになって欲しいしな。

悩みが解決できたかはわからないが、スッキリした笑顔を見てると……少なくとも悩みは和らいだんだろう。

今夜は3人で語り合う。

ユーとミーは悩んでいる事を打ち明けてくれたので、俺が答えられる事ならアドバイスをする。

悩んでいる事を相談するだけで気持ちが楽になることもあるからね。

夜遅くまで長い間語り合った。


ユーとミーの成長を実感できた夜。

まだまだ子供なんだけど、幼児だった少年と少女が成長していく過程を横から見てる感覚。

数々の輪廻転生でも戦いか生産の日々で、まともな子育てを経験してきてないから、ユーとミーの成長を感じると嬉しくなってくる。



・・・それから2ヶ月が経過した。


秋のキャンプの時期。

ラーフィー王とミクリー宰相とグレタ子爵は遠征を終えてアーリンドル王国に帰還してきてる。

川の北部と汽水湖の森までの草原は海まで全て占領が完了して、川も『アーリンドル大河』と命名された。

旧デバッケルフラート教国時代の川の名前は破棄されてる。

アーリンドル大河はアーリンドル王国から海までをつなぐ太く流れが穏やかな河川なので、アーリンドル王国の主要輸出品目の『木材』を運びやすい川。

船で運搬するだけでなく、筏を組んで木材のみを船頭だけで運搬する事も容易にできるので、船の帰りを待つことなく一方的に送れるのはコスト的にも最適な川だろう。

船頭だけなら船で帰ることは容易になるし。


河口の港はまだまだ建設中だけど港としての機能はほとんど出来上がる目処がついたから、ラーフィー達は責任者を任命してサポートする貴族をつけてから、アーリンドル王国の首都フェリクスに船で一気に帰還した。

グレタ子爵も一緒に帰って来て今はジャリストンの街に帰還して、領主不在で滞っていた政務を必死に進めている。

俺は何度かラーフィーとパシーの元に転移魔法で移動して秋のキャンプの調整を続けていた。

今日から2泊3日の予定。

送り迎えは俺が転移魔法で行いエイス・フーロー・ライチの2頭と1羽が、増えすぎている草食魔獣を間引くのを手伝ってくれる計画。


草食魔獣で1番多いのが鹿魔獣の『ヘラカイオン』

龍の岩山の北側に住む鹿魔獣『アリュカイオン』の親戚みたいな魔獣。

岩山に生息するアリュカイオンに対して、ヘラカイオンは森林に生息してる魔獣。

姿形(すがたかたち)はほぼ同じなんだけど角の形は全く違っている。

ヘラカイオンの角は手を広げたような形をした『ヘラジカ』のような角をしていて、アリュカイオンの方はヤギのような2本の角が後方に向かってゆっくりカーブした角。

このヘラジカのような角で木の皮を削り捲っているので、ヘラカイオンが増えすぎると森にとっては迷惑な魔獣らしい。

パシーが何本も石の柱を作って角が痒いならこっちでやってくれと頼んでも木材を置いといても、しばらくすると無視して森の木をゴリゴリ削り捲っているので数を減らすと決めたと言ってた。


だから今回の魔獣狩りはヘラカイオンを集中的に狙い打ちする。

ついでにヘラカイオンの肉はむちゃくちゃ美味しいから楽しみにしてるし、ヘラカイオンの角は乾燥させてから煎じて飲むとお通じが良くなる整腸作用があり、下痢や便秘に効果が高いと評判の角なので薬屋に高く売れる。


今回はアーリンドル王家がヘラカイオンの素材を全て買い取るので、後で皆が平等に金をもらうようにミクリーと交渉は済んでいる。

俺も何頭かは持ち帰るので現物支給予定。

金に対する執着心がほとんどないハイエルフだからね。

ある程度の肉と角が何本かあれば生活は元々困ってない。


ユー・ミー・エイス・フーロー・ライチを引き連れて、待ち合わせ場所のアーリンドル王宮前広場へ転移魔法で移動。

今日は森での狩りの練習なのでいつものキャンプよりも人が多い。

護衛はいないが王位継承権を持つほとんどの王族の子供が集まっている。

1位と2位のラーフィーの長男と次男はアーリンドル大河河口の港街に責任者として就任してるので参加してないが、役職についている人を除いた子供達が参加している。

安全にお小遣いを稼げて狩りと野外生活を満喫できる機会はそんなにない。

護衛を大量に引き連れないと汽水湖の森なんて歩けないから、原始の森の希少な植物を集めるために参加している薬師の王族まで参加している。

原始の森にしか存在しない薬草はたくさんあるから、キャンプ予定地まで向かって歩いてついてくるついでに薬草を集める。

キャンプ予定地に到着したらそのまま転送魔法で王宮前広場へ送る。

片道だけでいいからどうしても参加させて欲しいと、薬師ギルドからラーフィーがお願いされて前金の大金を置いていったようだ。


アーリンドル大河の河口の港街を作るのにある程度の金が必要な王国政府としては、どうしてもお願いしたいとラーフィーから頭を下げてお願いされたので、狩りの邪魔をしない事とこちらの命令を聞く事と薬草を取り尽くさない事を3つの条件にして受け入れた。


薬師ギルドのギルドマスターが俺に挨拶してきた。


「ホープラー様、今回は同行を許していただき誠にありがとうございます。3つの条件を守る事を徹底させますので、今後は出来る事なら毎回の参加をお願いします。」

「それは今日次第ですね。定期的に薬草採取する汽水湖の森のハイエルフの許可もいるし。パシーには俺から頼んでおきますよ。」

「申し訳ないです。是非ともまたお願いします。」


ギルドマスターが離れて行ったので、全員を引き連れて汽水湖の森のパシーの住処に転移。

湖の近くにいたパシーに全員で挨拶してから、湖から離れて歩いて今日のキャンプ予定地へ向かう。


薬師チームは王族を含む5人が参加している。

パシーからも取り尽くさないようにすればまた次回も参加させてあげると注意を受けていた。

エイスが薬師チームを監視する為に影の中に潜み、表向きはフーローだけが護衛として薬師チームの近くに同行する。


俺達は道を歩く。

時々現れるヘラカイオンを誰かが狩る。

効率が悪いので俺がアイテムボックスから出した魔物集めの笛を吹くと、周辺からヘラカイオンが次から次へと現れた。

ヘラカイオンは小さな馬ぐらいの大きさがあり、下手な狩人だと逆襲されて大怪我を負う危険があるが、大半が成人してない子供が多いとはいえ、40人近い人数のグループが相手では何も出来ずに狩られるのみ。

俺もいざという時は弓や小太刀で応援出来る体勢ではあるんだけど、ここまでの大人数だと必要ないわな。

他の肉食魔獣を警戒するのみにしている。


だけどライチが上空から急襲して追っ払っているので、肉食魔獣が近寄る事も不可能なんだけどね。


それからは……

ある程度歩いてから俺が魔物集めの笛を吹いて、ヘラカイオンを集めてから残さず全部狩る。

ってのを数回繰り返すと今回の全メンバーが1頭以上のヘラカイオンを狩った。


だから俺は歩いてから笛を吹いてただけ。

時々念話でエイスと会話して薬師チームは条件を厳守してる事を確認しているけど。


ユーとスティ、ミーとダーフィットのペアをたまに見てたけど、仲良く狩りをしてるだけで別に何もなかった。

ユーとミーは最低でも10日に1回は定期的に近衛騎士団と訓練する為に王宮にきている。

ラーフィーと共に近衛騎士団も帰って来たので訓練は既に再開している。

その時も休憩時間に仲良さそうに会話しているのを見かけるので俺が心配する必要もないぐらいに上手くいっているんだろう。

ユーも旅立つまで後3年半ぐらいはあるので、それまでにスティとの関係をどうするのか結論を出すんだろうしな。


もしかしたら結婚して夫婦で旅に行くことになるかもしれないし。


ミーの方はダーフィットに悩んでいる事を打ち明けたようだ。

ダーフィットもミーの事が好きだから一緒に悩んでるみたい。


俺は相談されたらアドバイスを答えて見守る事しか出来ないけど、双子には自由に人生を楽しんでもらいたい。

獣人だから人より寿命が長くて300年ぐらいは生きられるだろう。

ダーフィットやスティ達もいくつかの獣人の血が混じっているため、200年ぐらいは生きるだろうからな。


まだまだ長い人生を悔いなく過ごしてもらいたい。


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