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評定 後

1546年(天文15年) 4月中旬 那古野城評定の間 織田信長


「では次に銭についてだ。八兵衛、進捗状況はどうなっている?」


「はっ。先ず稲作についてですが、昨年の収穫量は山間村で例年よりも七割の増加。そのほかの村でも若の『理法りほう農法』により例年の5割の増加がみられております」


 俺が伝えた農法は、いつの間にか理法農法と呼ばれるようになっていた。理法、道理に適った方法ってことだな。これにより田植えを1か月近く早めた結果、収穫量がかなり増えた。山間村の中でもより多く収穫できたやり方を広めてもらった結果だな。おそらく、7,8割の増加で落ち着くんではないかと思っている。


 もしかして清酒と同じで塩選別後の種籾をお供えしたら、除菌になっていい感じにならないだろうか。ちょっとやらせてみよう。これからもそれぞれ工夫してもらい、研究を進めさせないとな。品種改良の真似事を始めてみてもいいかもしれない。


「職人の方はどうだ?」


「職人に関しましては、半蔵様配下の者たちが集めた結果、かなりの数が集まっております。若の提案された『職人工場』なる施設も昨年完成し、職人たちの意識も少しづつ変わり始めている様です」


 職人工場とは、言ってみれば研究施設みたいなものだ。俺はこれを、城近くに建てさせ、希望があれば住み込みも可能とさせた。今城下にも職人街は存在するが、鍛冶師、彫刻師、鋳物師、塗師などがそれぞれ住んでおり、交流も少ない。そこでこの交流を活発化させるために、この職人工場を作ることにした。


 というのも、俺が色々と無茶な仕事を頼むから、一つの職種だけでは処理しきれない場合が多かったんだ。だからその意見交換をしやすいように、互いの建物を行き来しやすくした。また誘致した職人には高給を支払っているから、それを吐き出させる食堂なんかも設置している。移り住んでくる奴らは独身も多いしな。椎茸のダシなんかを使った料理も提供していて、下手な武士よりもいい生活をしているんじゃないかな。


 ただその分情報の規制も厳しくしているし、ちょっと閉塞感はあるかもしれない。まぁ城近くの武家屋敷周辺に建てて、武士と同様職人も重用していますアピールをしているから大丈夫じゃないかと思っている。その内、代表者を俺の家臣としてこの評定にも参加させるつもりだ。


「そうか。まぁまだまだ始めたばかりでこれから問題も出よう。八兵衛、しっかりと職人たちの意見を聞いてやってくれ」


「はっ。形になれば取りまとめ役も決めていく予定にございます。また紹介させていただければと存じます」


「うむ。職人にはこれからもワシの無理難題に応えてもらわねばならぬからな。丁重に扱ってやらねば」


 俺の言葉に皆が苦笑する。この二年間で色々作らせたからな。千歯扱きや備中鍬。酒器にも力を入れたか。今は蒸留器や油絞り用の圧搾機なんかも作らせている。これから武器も色々作らせるつもりだ。大変だな。


「他の産物についてはどうだ?」


「綿花に関しましては、まだまだ数が足りず、試行錯誤を繰り返し徐々に増やすしかないかと。蚕の方も職人を呼び他のものにも教育を行っておりますが、ものになるまでには時間がかかるでしょう。椎茸に関しましては、来年辺りから商品として数が揃うかと存じます。石鹸も順調に数が揃っておりますので、今年から本格的に売りに出せるでしょう」


 よしよし、良い感じだな。綿や絹は、桑や綿花を育てなければいけないからすぐには無理だけど、もうあと何年かすれば商品化が出来るだろう。何より硝石作りに蚕の糞が良かったはずだからな。出来るだけ数を増やしてもらおう。


「あとは、武器か。半蔵、近江の国友村に送り出した間諜はどうなっておる?」


「はい。若の御命令通り、2年前より接触させていた鍛冶師の中で、鉄砲を打てる者の引き抜きを現在行っております。焦る必要はないとのご命令でしたので時間がかかりましたが、今年中にはこちらに引き抜けるかと」


「そうか。よくやった半蔵」


「はっ」


 鉄砲は2年前から国友村で作られ始めたらしい。国友村って名前は憶えていたけど、年数までは覚えていなかったから、とりあえず村に忍びを派遣して鍛冶師と接触させておいたんだ。あまり焦って連れて来ても、作る技術が拙ければ意味が無いから、ゆっくり引き抜くように伝えておいた。


 この時代の火縄銃って高いのな。一丁数千貫くらいするらしい。ちょっと頭おかしい。

 だから大量に手に入れるなら、自分でつくるのが絶対いいんだけど、引き抜いたら多分向こうさん困るんだろうな。もしかしたら将軍家に目を付けられるかもしれない。鍛冶師を引き抜いて量産しても、表に出すのはしばらくやめておこう。


 三間半の長ぁい槍も一応作らせた。ただ鉄砲にしてもこの無駄に長い槍にしても、集団で使うからこそ生きてくるんだよな。だからしばらくはお蔵入りだ。後々量産させるから、ノウハウだけは習得できるように試しに使ってみたりして研究しておこう。


 本命の武器は投げ槍と石礫だ。これから作る常備兵100人は、≪支援≫ありきの戦を想定して訓練させるつもりだ。ただせっかく育てたのに簡単に死なれてはたまらない。だから基本は遠距離攻撃に終始徹してもらう予定だ。ただの石とは言え、パワーアップした人間が集団で投げたらどうなるか。


 この前忍び達で試してみたら、一段階強化で50m先の鹿の頭にめり込んでいた。100mくらいでも、当たり所によっては死ぬレベル。そいつは投擲の訓練をした奴だったから、実際の精密さはもう少し落ちるだろうけど、集団で投げたらどうなるのか考えたら寒気するな。

 投げ槍もいくつか試作品を作って、パワーアップ状態の試し投げをしてみよう。悲惨なことになりそうだ。


 

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