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25.落ち葉って結構豪快に燃え広がる。

次の日も俺たちはトレントを狩るためにトレントの森に向かった。


ゴブリンとオークをかわし、橋を渡って森に入る。


さすがに昨日トレントを倒した場所には同じようにトレントがいるはずもなく、俺たちは森の中でトレントを探した。


俺がこちらの世界に来てから、どのくらいたったのだろうか。


最近このあたりは少しずつ寒くなってきている。

かといって森の木々の葉が落ちるわけでもなく、山が赤く染まるといったような変化は見られない。


森の中は日差しが弱まって少し肌寒いくらいだ。


森特有の静けさも相まってなお一層の寒さを感じているのかもしれない。


俺たちは声を出さないように、多少の目配せをしながら進んでいく。


落ち葉を踏む音だけが森の中に響く。



20mほど先にトレントを発見した。


「ナハナさん、いました。」


俺が小声でそう伝えるとナハナさんは静かにうなずいた。


トレントの大きさは約4m。


昨日2回目に戦ったものよりも大きい。

周りの木々に同化し、ひっそりとたたずんでいるが異様に葉っぱの数が少ない。



「新来せし炎よ、蒼炎となりて敵を貫け。来は灼熱、轟は爆音。収束せよ。ファイヤーレイ!」


昨日とは異なる漢字の呪文がとなえられ、ナハナさんのもとから炎の線がトレントまで一直線に伸びた。


魔法を受けたトレントは、幹の下部を焼かれ、俺たちに向かって攻撃を始めた。


俺は普通の木の陰に隠れながらもトレントの気を引き、ナハナさんが呪文を唱えることができるようにする。


今日は昨日と違って森の中なので、行動が制限される。


行動が制限されているのはトレントのほうも同じなのだが、こちらの方が小回りが利くため若干有利だろうか。


トレントは何とかして俺を攻撃しようと腕を振り下ろすが、他の木が邪魔になってなかなか攻撃ができない。


一方で、俺のほうもトレントに対する有効打を持っていないので逃げることしかできない。


「煌々に燃ゆる矢は貫く。一弓当たりて開かれる。二弓当たりて広がれる。三弓当たりて届き給え。3本の矢は貫く。ファイヤーアロウ!」


ナハナさんの杖から、連続して3本の矢が放たれる。


火をまとったその魔法の矢はトレントの幹と根っこの間辺りの同じ場所に向かう。


一つ目が当たり、幹がえぐれる。


二つ目が当たり、傷が大きくなる。


三つ目が当たり、魔石のある場所まで到達した。


魔石の周りのスポンジ状の部分が魔法の火矢によって燃える。


トレントはその場で少しもがいていたが、やがて力尽きて、大きな音を立てて地面に倒れた。


「何とかうまくいきましたね。」


「そうね。

でもこのやり方だと、トレントに傷がつくし、もし森に火が付いたら大変なことになるわね。」


「トレントが暴れて何かに引火したら大変ですね。

何か違う方法を考えましょうか。」


「そうね。

森の中だと、やっぱり火魔法は用途が限られそうね。」


今までのモンスターであればモンスターに火が付くといったことはなかったのだが、トレントの場合、場所によっては火が付きやすくなっている。


それに、いくら周りの気が生木だとは言え、地面には落ち葉もたくさん落ちているし、木の枝も転がっている。


この中で火魔法を連発すればいずれ山火事になってしまうかもしれない。


うーん、

魔石の周りを燃やせばトレントを倒せることは分かったのだが、いい方法はないものだろうか。



「とりあえず、橋に近いトレントは橋のほうに誘導して、昨日とおんなじ方法で倒してみますか。」


「そうね、今日のところはそうしましょう。」


ナハナさんも同意してくれたので、もう一匹は橋のほうの開けた場所まで誘導して、地面を固めて倒した。


ただし、この方法が使えるのはこの拓けた場所に近いトレントを倒す場合のみであり、もう少し奥に入った場合は誘導して戻ってくるのは危険である。


これから先もおんなじ方法を使うことは出来ないだろう。


とりあえず今日の分のトレントを処理してマジックバックにしまった俺たちは、トレントの森を後にした。


街に入った俺たちは、ギルドでトレントを売却するとともに次の宿についての相談をすることにした。


今のところは次の宿を一緒のところにするのかどうかについてナハナさんには何も言っていないし、聞いていない。


俺は一緒の宿に住めたら住みたいが、ナハナさんはどう思っているのだろう。


いっそのこと一軒家を借りて一緒に住むというのもありなんではないだろうか。


今の俺の所持金は金貨200枚以上はある。

トレントを狩るにしても、オークを狩るにしても一日森に入れば金貨10枚は稼ぐことができるのだ。


まあ、一緒に住むというのは調子に乗りすぎだろうか。

俺なんかと一緒に住みたいと思うことはないだろう・・・



そんなことを考えて少し気落ちしながら、ギルドに向かった。


ギルドに入ると、アリスさんがいた。


「アリスさん、こんにちは。」


「こんにちは、セイタさん。

それから、ナハナさんもこんにちは。」


ナハナさんもアリスさんとは面識があるようで挨拶をかわしている。


「今日はトレントを狩ってきたので、買い取りをお願いしたいのですが。」


「はい、わかりました。

ではこちらにお願いします。」


俺たちはマジックバックをもって裏の倉庫に入り、トレントを出した。


アリスさんは他の職員の人たちと値段を決めている。


「セイタ、後で宿のことも聞くんだろ?」


「はい、そのつもりです。」


「セイタはどんな所に住みたいか決まってるのか?」


「うーん、できればご飯がおいしくて、ベッドが綺麗で、ギルドに近いところが良いですが、値段次第ですかね。」


「フーン、そうか。」


「ナハナさんはどんな」


「査定が終了しました。

こちらにどうぞ。」


俺がナハナさんに質問しようとしたところで、査定が終了してアリスさんが戻ってきた。


俺たちはカウンターに戻り、金貨41枚を受け取った。


マジックバックを返還して、宿について聞いてみる。



「アリスさん、一つご相談したいことがあるんですが。」


ブックマークしてくださった方、ありがとうございます。

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