24.木って持ってみると思ったより重いよね。
倒れたトレントは腕・・・というか枝を振り回してバタバタとしている。
「よーし、作戦通りだ。
早く仕留めるぞ。」
「はい。」
俺はのこぎりを取り出すと根っこのほうを伐り始めた。
いまだに根っこは動いているが、硬い地面になかなか突き刺すことができずにいる。
根っこを伐り始めると、何とかして俺を攻撃しようとしてきたが、根っこの生えているうえ側から伐るとトレントの攻撃は届かない。
根っこを伐られたトレントは次第に動きを弱めて、そして動かなくなった。
「死にましたかね?」
「おそらくそうね。
トレントは根を一定以上失うと、倒せるらしいわ。
それから魔石も根っこのほうにあるらしいんだけど、あるかしら?」
「えーっと、ちょっと待ってくださいね。
あ、ありました。」
根っこから幹にかけての場所を見て見ると、そこにはスポンジのようになっている場所があり、その中に魔石が入っていた。
オークのものよりも大きな魔石はきれいな状態でスポンジ状のものに守られている。
「なかなか大きいですね。」
「そうね、トレントの魔石は1個で金貨1枚よ。
それに身体全部が木の素材として売れるわ。
ここのトレントだと3mのもので金貨20枚ぐらいらしいわ。」
「このトレントは2mぐらいですから、もう少し安いですね。」
俺たちは枝を落としたトレントをマジックバックに詰め込むと、落とした枝も一緒にいれた。
「トレントの枝と葉っぱも素材として売れるわ。」
枝は矢の素材や、太いものは杖に加工される。
葉っぱはお茶になったり、薬としても使用されることがあるらしい。
「まだ余裕があるけど、もう1匹くらいたおす?」
「そうですね。
時間も大丈夫そうですし、探しましょう。」
とりあえず俺たちはお昼ご飯を食べながら、一休憩した。
橋の周りは見晴らしが良いため、気を付けていればモンスターに襲われることはないだろう。
ご飯を食べた後はもう一度トレントを探し始めた。
それからしばらく、森の入り口辺りを探索し3mほどのトレントを発見した。
先ほどと同じような方法で攻撃をする。
今回のトレントは先ほどのものよりも大きいため、枝の数も多い。
先ほどよりも攻撃の密度が高くなったが、何とかして攻撃をかわす。
時には盾や剣を用いて攻撃をいなす。
細い枝であれば剣で叩くと折れるのだが、太い枝はそうもいかない。
逃げているうちにまたナハナさんの魔法が決まり、トレントが倒れる。
トレントの倒し方として、一般的に用いられているのがこの、地面を固めてトレントのバランスを崩し、横転させる方法である。
土魔法であれば単体でこの魔法を使うことができる。
水魔法と火魔法でも同じことができるのだが、これがなかなか難しいらしい。
一度水魔法で地面を柔らかくする。
地表10cmほどの土を水魔法で一気に柔らかくし、その後、火魔法で水分を抜いて固める。
地表10cmとは言え、1m四方の土を変化させるだけでもかなり大変だ。
それに地面の水分を抜くのも大変だ。
水魔法で大まかな水分を抜きながら、火魔法を使って蒸発させるらしい。
それをトレントが使える領域の土全部を変えるのはかなりの魔法の腕がいる。
ナハナさんだからこそできる戦術だ。
「よーし、枝伐ったぞ。」
倒したトレントの枝を落とし終わったナハナさんがそう言いながら枝を集めている。
俺は重いトレントの幹を何とかしてマジックバックに入れた。
「ナハナさん、今日はもう帰りますか。」
「そうだね。
そろそろ帰ろう。」
俺はトレントの入ったマジックバックを持ち上げると、来た道を戻った。
街に帰ってからギルドに向かい、トレントを売却する。
2匹のトレントで金貨37枚であった。
まだオークを狩るのに比べると大きな差は無いが、もう少し慣れれば、いい稼ぎになると思う。
「なかなかいい稼ぎになったわね。」
「そうですね。
お昼ご飯を街で食べれないのは少し難点ですが、狩り自体はオークに比べると簡単ですね。」
「まあ、私はなかなか集中力がいるけど、オークの攻撃に比べると良いわね。
それに足も遅いしね。」
「明日もトレントに行きますか?」
「そうね。
もう少し大きなトレントがいると良いわね。」
俺たちは宿に帰ってからも今日の反省会を行った。
反省会の後はしっかりと夜ご飯を食べて少し雑談をしていた。
最近はなんだかんだナハナさんと気も打ち解けてきて話ができるようになっていた。
「僕たちももうそろそろ次の宿のことを考えた方が良いですかね?」
「そうね~。
ここにいれるのはEランクまでだから、次にランクが上がったら出ていかなきゃいけないもんね。」
「ナハナさんはどこか決めてるんですか?」
「いいえ。
まだ決めてないわ。
良い場所があればいいんだけど。」
「明日辺りギルドで聞いてみませんか?
僕も探さないといけませんし。」
「そ、そうよね。
ギルドは冒険者向けの宿とかも知ってそうだしね。」
「はい。」
俺たちはその後もしばらく雑談を続けた。
「そろそろ寝ますか。」
「そうね、おやすみなさい。」
「おやすみなさい。」
俺は部屋に戻って、ベッドに寝転がる。
この宿出たらナハナさんともお別れになるんだろうか。
そうなったらなし崩し的にパーティーも解散になったり・・・
せっかく仲良くなってきたのに。
ナハナさんはいい人だ。
それに魔法使いとしてもすぐれた人だ。
・・・それに美人だし。
この後ナハナさんみたいな冒険者に出会えることはあるんだろうか。
世界中を探せばそれはいるんだろうが、俺が会うことができるかどうかは分からない。
日本にいたときにはどうせ女の子と仲よくなんてなれないし、積極的に自分から動くことなんてなかった。
でも、この世界でもそんなことでいいのだろうか。
せっかく目の前にチャンスがあって、それを選ぶこともできるのに、逃がしてしまってもいいのだろうか。
いや、いやだ!
俺はこの世界で必死に生きていきたい。
ナハナさんとももっと一緒にいたい。
もっと冒険したい。
俺はそう心に決めて目を閉じた。
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