19.毎日毎日何かを成したいと思いながら、成すこともなく過ぎていく1週間。
明日も今日の作戦でいきますか?」
「そうね。
あと2,3回は今日の作戦でいきましょう。
その後違う作戦を試してみてもいいかもね。」
「そうですね。
それから今日は一匹だけでしたけど、これから先2匹や3匹狩ることもありますよね。
その時はもう少し高いマジックバックを借りていきますか?」
「金貨2枚くらい出せばオークが5匹分くらい入って今日のものより重さも軽減されるものがあると思うわ。
ギルドで聞いてみましょう。
まあ、それももう少しオークに慣れてからね。」
「はい。とりあえずは安定してオークが狩れるようになるように頑張りましょう。」
それから俺たちはギルドでマジックバックについて聞いてから宿に戻った。
ナハナさんの言った通り金貨2枚でオークが5匹入る程度のものを借りることができるらしい。
ただし、そのマジックバックを実際に買うとなると金貨400枚ほどはかかるそうなので扱いには相当気をつけなきゃいけない。
万が一壊したりなんかしたら大変だ。
でも、金貨400枚なら大体オーク24匹狩ればいけるだろうか。
何とか頑張れば買えない金額でもない。
ま、それも先の話だな。
俺たちはギルドから出るとそのまま宿に向かった。
宿に帰ってから井戸で水浴びをした後は部屋でゆっくりと体を休めた。
久しぶりに『ステータス』を確認してみる。
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セイタ
年齢:20
レベル:13
恩恵:異世界の才能
スキル:剣術 レベル2
盾術 レベル1
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スキルは上がっていないが、レベル自体は上がっている。
こちらに来た時と比べるとだいぶ体力もついたし、どういう原理かは分からないが力持ちにもなっている。
確かに、筋肉はついたと思うが明らかについている筋肉以上の力が出ている。
まあ、魔法があってモンスターもいる世界なのでそりゃあ地球とは違うだろうが、いまさらながらなんとも不思議なものだ。
そんなことを考えていると夜ご飯の時間になった。
今日の夜ご飯はオーク肉のステーキ。
この宿だとかなりの頻度でオーク肉が出てくる。
オーク肉のシチューやオーク肉のハンバーグ、それからローストビーフみたいなものも出てきたことがある。
オークはどっちかと言うと見た目は豚なのでローストポークと言うべきかもしれないが。
夜ご飯を食べた後にしばしナハナと雑談をした。
「そう言えばナハナさんは魔法を使うときに呪文を言ってますけど、あれは何か決まった法則でもあるんですか?」
「いや、特にはないぞ。
気分だ、気分。
カッコいいでしょ。」
「そ、そうですね・・・」
「まあでもまったく無駄ってわけではないけどね。
魔法を使うときにはどんな魔法を使うのかっていうイメージも大事だから、呪文はその補助みたいなもんだよ。」
なるほどね。
なかなか痛い呪文だから魔法使いはみんなあれを唱えないといけないのかと思ったが、どうやらそう言うわけではないようだ。
いや、もしかしたらこの世界では共通認識としてあれがカッコいいと思っているのかもしれない。
そうだったらどうしよう・・・
「でも他の魔法使いは私みたいな呪文を唱えたりはしないわね。
なんかもっと普通な感じだわ。」
そうなんだ。
・・・よかった。
「僕もいつか魔法使ってみたいんですよね。」
「そうなの?
良いわね。
暇なときに教えてあげようか?」
「え!いいんですか!?
ぜひお願いします!」
「いいわよ。
まあ余裕ができたときにだし、私も言ってもランクEだからどこまで教えられるかは分からないけど。」
「いえいえ、ありがとうございます。
楽しみです。」
「ま、とりあえずはオーク狩りを頑張りましょう。」
「そうですね。」
そろそろ寝る時間になってきたので、会話を切り上げて俺たちはそれぞれの部屋に戻った。
部屋に戻ってからストレッチをした後、寝る準備をしてからすばやく布団に入った。
今日も疲れたな。
久しぶりにオークと戦ったし、他の人と一緒に強敵と戦うというのも初めてだった。
何にしてもこの世界に来てから刺激的なひびを過ごしている。
危ないと言われればそうなのだが、それだけに毎日を頑張れている。
日本では感じたことのない毎日を生きているという感覚が、新鮮で気持ちが良い。
日本でも何かを必死になって頑張っていた人はこんな感じだったのだろうか。
あいにく俺はこんなにも何かを頑張ったことはなかった。
まあこちらの世界では冒険者は頑張らなければ死んでしまうから当たり前と言えば当たり前かもしれないが。
まあ、明日からも頑張って生きていこう。
そう思いながら俺はゆっくりと目を閉じた。
次の日も俺たちはオークを倒しに森へと向かった。
昨日と同じようにオークを探し、戦った。
2回目ということもあり、昨日よりもスムーズに倒すことができた。
今日もけがなく狩りをすることができた。
ギルドでオークを売ってから昼ごはんを食べた。
「セイタはお昼からどうするの?」
「今日も特に用事はないですけど。
まあ、自主練習くらいですかね。」
「だったらちょっと付き合ってくれない?
行きたいところがあるの。」
ナハナさんに誘われた俺は意気揚々と快諾し、ついていくのであった。