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レウスの牙

今回の話は少し残酷な描写があります。


 ――― レウス ―――





 何だかよくわからない貴族に喧嘩を売られ、俺達は兄貴を除いて迷宮に挑むことになった。

 正直に言えば、いつも俺達を見守ってくれている兄貴がいなくて不安だ。姉ちゃんも同じようで、いつも兄貴が立つ位置へ何度も視線を向けては、こっそりと溜息を吐いている。

 それでも姉ちゃんは兄貴の穴を埋めようと色々指示を飛ばしてくれる。その御蔭で俺達は立ち止まる事無く迷宮を進んでいき、ようやく八階に辿り着いた。


「ここが八階ね。二人とも、調子はどうかしら?」

「私は大丈夫よ。魔力も十分残っているわ」

「俺も問題ないよ」


 ここに来るまで色んな罠やゴーレムが襲ってきたけど、全て問題なく突破出来た。

 なにせ罠は曲がり角に一つくらいしか設置されていないし、ゴーレムだって同時に襲ってきても二十体以上は来なかった。二、三歩進む度に罠があったり、同時に五十体は現れる昨日に比べたら簡単だった。


「これなら楽勝だね姉ちゃん。このまま一番クリアしたら、兄貴褒めてくれるかな?」

「油断は駄目よレウス。ほら、足元見なさい」

「おっと、ありがと姉ちゃん」


 前へ踏み出そうとした足をゆっくりと戻し、魔法陣があると思われる場所を迂回する。見た目は何も無いのに、本当に良く出来ているな。


「……よく分かるわねエミリア。私、まだ全然分からないんだけど?」

「シリウス様を見ていれば出来るようになるわ」

「そっちはもっと分からないんだけど。それにレウス君もどうして分かるの?」

「ん〜……何だかもやっとするんだよな。兄貴の説明だと第六感って言っていたな」


 自分でもよくわからないけど、怪しい箇所や危険な物を見ると言葉に出来ない何かが疼く。

 兄貴はその感覚は大事にしろって言っていたけど、あまり信頼し過ぎるなとも言われた。勘と経験を上手く使い分ける事こそ真なる強さ……と、難しくてよくわからない事を言っていた。だけど兄貴の言う事は絶対だから、考えるのは止めちゃ駄目だと思っている。


「お喋りはそこまでよ。来るわ!」

「任せとけ姉ちゃん!」


 考えながら歩いていると、俺達の前にゴーレムが沢山現れた。今度は二十体以上いるけど、俺達の連携なら問題ない。


「『風斬エアスラッシュ!』」

「『水玉アクアショット!』」


 姉ちゃん二人の魔法で一気に相手の陣形を崩し、そこへ俺が飛び込んで暴れる。俺の仕事は敵を倒す事と、後ろにいるリース姉に敵を近づけさせない事だ。昨日は弱点である魔法陣を斬り損なう事があったけど、もやっとする場所を斬れば良いと帰って気付いた。その考えは正しかったようで、今では全てのゴーレムを一撃で倒せる。俺の手が届かず後ろへ抜けてしまうゴーレムもいるが、そこは姉ちゃんがナイフで倒し、更にリース姉の魔法がゴーレムを近づけさせない。

 兄貴ならゴーレムどころか、鼠一匹でさえ後ろに通さないと思う。それが出来ていない俺はまだまだだけど、いつかきっと兄貴みたいに大切な人を守れるくらいに強くなりたい。

 今はただ、一体でも後ろへ通さないように沢山ゴーレムを倒すだけだ。


「これで……終り!」


 最後の一体が俺の剣によって崩れ落ち消滅した。少し力が入りすぎていたせいで汗を掻いている事に気付いたが、すぐさま姉ちゃんがタオルを差し出してくれた。


「はいレウス。少しペース配分がずれてきているわよ、気をつけなさい」

「ありがとう姉ちゃん。でもさ、少しでも姉ちゃん達に敵を向かわせないようにと思ってさ」

「馬鹿ね。自分が出来る範囲をしっかり理解しろって、シリウス様が常に言っているでしょう? 私達だって戦えるんだから、あまり気を使うと失礼になるわよ」

「そうよレウス君。私だって鍛えているんだから、もう少し頼ってほしいな」

「姉ちゃん、リース姉……ごめん!」


 危ない危ない、あやうく基本を忘れるところだった。やっぱり兄貴がいないとすぐに忘れちゃうな。

 ゴーレム達を倒して先に進めばすぐに階段が見つかった。次で九階だけど、クラスメイトの話によると最後の試練があるとか言っていたな。


「遂にここまで来たわね。後は最後の試練をクリアするだけよ」

「一体何があるのかしら?」


 今度は砂じゃなくて岩のゴーレムでも出てくるのかな? でも岩くらいならこの剣を使えば斬れるから、姉ちゃん達に援護してもらえればあっさり倒せるかも。

 そう思いながら長い階段を降りていると、お腹が鳴ってしまった。最近よくお腹が減るなぁ。早く帰って兄貴のご飯が食べたい。


「ふふ、レウス君ずっと動きっぱなしだったもんね。干し肉あるけど、食べる?」

「いいの?」

「勿論よ。体調は万全にしておかないとね」

「レウス、水も飲んでおきなさい。リースもね」

「うん!」


 時々怖いけど、やっぱり姉ちゃん達は優しい。



 干し肉を食べ終わった頃に九階に着いた。

 九階は罠も無ければゴーレムも出てこない、ただ曲がりくねった通路が続くだけだった。何度も右や左に曲がり、そしてようやく広い部屋に出た。

 昨日兄貴が他のパーティーと会うならここだって言っていたけど、実際に来たらその理由がはっきりとわかった。


「これ全部、あの入口の数だけあるんだ」

「通路がこんなに沢山あるなんて不思議ね」


 入口から入ったパーティーは皆ここに着くようになっているから、広間の壁には通路が幾つも伸びていた。俺達が感心しながら歩いていると、広間の中央に人の気配を感じた。


「待っていたぞレウス!」

「待っていましたわエミリア!」


 俺達に喧嘩を売ってきた、は……はー……何だっけ? とにかく喧嘩を売ってきた貴族達が広間の中央に立っていた。貴族二人は一緒のパーティーかと思っていたら、別々のパーティーだった。一緒に戦うなら慣れ親しんだ従者の方がやりやすいし、別に変じゃないか。

 そんなわけで俺達と貴族二つのパーティーに、冒険者が四人もいるから広間は大人数となっていた。


「君なら来ると思っていたよ。だけど、少しだけ私達の方が早かったみたいだね」

「当たり前だろ! お前達は六人も居るじゃないか!」


 俺達は三人で、あいつらは冒険者二人を含めて六人もいるんだから当然だろ。特にあの冒険者の四人、全身を隠すローブなんか着て……凄く嫌な感じがする。


「冒険者を雇うのは迷宮のルールに則ってますわ。不正と言われる筋合いはありません」

「その通りだ。悪いが私達の方が先に来たのでね、この先は私から行かせてもらうよ」

「何を言っているんだ? さっさと行けばいいだろ」

「おや? 君達は知らなかったのか?」

「知らないって……何が?」

「ふむ、何も知らないまま負けるのは可哀想だね。よろしい、このハルト・アーカードが直々に説明してあげようではないか」


 余計なお世話だ! と、言おうと思ったけど、姉ちゃんも思うところがあるのか口を塞がれた。

 というか、この男の名前はハルトか。ようやく思い出したよ。


「この迷宮はどの入口から入ってもここに行き着くように作られている。そして十階へと通じる道はあそこにある扉からだ」


 ハルトが指差した方向には通路ではなく、重くて頑丈そうな扉があった。あれは……俺の剣じゃ斬れそうにないなぁ。


「あの中で最後の試練が行われるのだが、試練は冒険者を連れていく事が出来ない仕組みになっている」

「ですから、ここから先は私達の実力のみが試されるのです。ご理解出来たかしら?」

「じゃあその冒険者は?」

「当然、ここに早く着く為に雇っただけだ。最後の試練には一組ずつしか入れないからな」

「早い者勝ちというわけですわ。彼らはグレゴリ先生が用意して下さったのですが、とても優秀で助かりましたわね。それで順番ですが、ハルト様が一番に私が二番。そして最後が貴方達ですわ」

「何も言わずクリアしてしまえば、君達に敗北感を与えられないからね。私が欲しいのは勝利のみ! それ以外何もいらないのさ!」


 ん? 何か引っ掛かるな。それは姉ちゃんも思ったのか、貴族達の前に出て質問していた。


「ちょっと待ってください。貴方達が勝ったら私達に何か要求は無いのですか?」

「平民から何を貰えというのです? 私達が欲しいのは、勝利という名の誇りだけですわ!」

「うむ、私達は勝てばそれでいいのだ。まあ仮に私達が負ければ、何か一つ言う事を聞いてやろうじゃないか」


 二人は高らかに笑っているが、俺達は若干呆れていた。そりゃあ兄貴に相応しくないって挑発されて、何も決めず勝負を受けちゃったけど、こいつらはただ俺達に勝ちたいだけだったんだ。

 負けたら何をされるかと、真面目に勝負を受けた俺達は少し拍子抜けしていた。


「理解したところで先に行かせてもらうよ。なに、すぐに終るさ。私の勝利を指を咥えて待っているがいい」


 ハルトが従者を連れて扉へ向かおうとするが、冒険者の一人が彼等の前に立ち塞がった。

 何だ……もやっとした感覚が凄くて気持ち悪いくらいだ。


「何だ君達は? 契約はここまでなのだから、早くそこをどきたまえ」

「報酬を……いただきたいのですよ」

「それは試練が終ってからだろう?」

「そうだ! ハルト様の邪魔だろう。下がれ冒険者が!」

「……子守はもう飽きました」

「っ!?」


 俺は反射的に飛び出し、ハルトの背中を蹴飛ばしていた。その瞬間何かが振るわれたが、ハルトの従者達はただ立ち尽くすだけであった。


「ですから報酬をいただきます。貴方達の悲鳴と絶望に塗れた表情と、そして命を……ね?」


 冷たく、そして心の底から楽しそうに話す冒険者がローブを脱ぎ去ると、目の前の従者達の両腕が……落ちた。

  

「あ……ああ……」

「何だ……これ?」

「腕が! 俺の腕が!」


 従者達の悲鳴が部屋に響き渡る。それを合図に他の冒険者達もローブを脱ぎ捨て、女貴族達に襲い掛かっていた。


「そうら! 講義の時間だぞ!」

「元気よく鳴いて、私たちを楽しませてください」

「潰れるがいい!」


 それは……俺がかつて見た地獄だった。


 俺の村が……仲間が……家族が……全てを喰らい尽くされた悪夢のような光景に似ている。


 女貴族の従者達は冒険者達に斬られ、引き裂かれ、潰されていく。


 そして残った女貴族は……。


「この! 我は請う風の刃をー……」


 果敢にも詠唱しているが、すでに従者達はやられて女貴族を守る者はいない。当然、無防備の彼女に冒険者が襲いかかろうとしていた。


「おいおい、のんきに詠唱してる場合かぁ?」

「『風玉エアショット!』」


 武器が振り下ろされる前に、姉ちゃんの『風玉エアショット』で女貴族は吹っ飛ばされてギリギリで助かった。だけど流石に手加減する余裕がなく、女貴族はもの凄い勢いで吹っ飛んで動かなくなっていた。

 同じように俺が蹴ったハルトも手加減出来なかったので、少し離れた位置で完全に気絶していた。


「へえ? 子供のくせに中々やるんだね」


 ハルトの従者を襲った冒険者は、剣を片手に楽しそうな笑みを浮かべて俺達を見ていた。一見優しそうに見えるけど、足元に転がっている従者の死体を見れば何もかもが台無しだ。俺は姉ちゃんの前に立ち塞がり剣を抜いた。


「貴方達は……何者ですか?」

「あれ? 僕達を知らないんだ。この刺青を見てもわからないの?」

「申し訳ありませんが、とある御方を除き興味がありませんので。よろしければお伺いしてもよろしいですか?」


 姉ちゃんはあえてゆっくりと問い質していた。なにせ背後には顔を青くしたリース姉が口を押さえて蹲っているからだ。俺達は過去に似た経験があるから耐えれるけど、優しいリース姉に先ほどの光景は厳しい。逃げるにしろ、戦うにしろ、少しでもリース姉が回復するまで時間を稼ぎたい。

 竜を模った赤い刺青を見せていた冒険者は姉ちゃんの要望に答え、笑顔のまま他の三人を並べて手を広げた。


「いいね、最近の人は僕達を知ったらすぐ逃げちゃうから、こういうの久しぶりだよ。では紹介させてもらおうかな」


 先ほどから喋っているこいつは人族でも獣人族でもなく、初めて見る種族だった。見た目は人族だけど、体のあちこちが蛇の様な鱗で覆われており、頭には角を生やしていて蜥蜴リザードの様な尻尾を持っている。

 だけど一番気になるのは目だ。優しそうな笑みを浮かべているのに、奥底にどす黒い感情を宿しているように見えて怖い。

 いや、見えるんじゃなくて本当に宿しているんだ。じゃなきゃ、あれだけ楽しそうに人を殺したりしない。


「僕はギルドパーティー『鮮血のドラゴン』のリーダーを務めている、竜族のゴラオンと言うんだ。それでこちらの狼君はアッシュ。珍しい金狼族なんだよ?」


 金狼族とは俺達銀狼族と同じ狼族で、見た目は髪が銀から金色に変わっただけだ。だけど生き方は全く別物だ。銀狼族は家族や仲間を大事にして集団で暮らすが、金狼族はある程度成長したら外に放り出される孤高の種族だ。

 とても強い戦闘能力を持つが、その生き方のせいで数は少なく滅多に見れる種族じゃない。それを知った兄貴は正に一匹狼って言っていたな。

 ゴラオンに紹介され、大柄の金狼族であるアッシュは獰猛な笑みを浮かべて俺達を見ていた。


「いいねぇ……お前達は実にいい。肉を切ったら良い感触しそうだぜ」

「まだだよアッシュ。まだ自己紹介が終ってないんだ。それでこちらのおじさんはドワーフのエドさ。とても力持ちなんだよ」

「ふん、こんな餓鬼わし一人で十分なんだがな」


 兄貴と大して背が変わらないドワーフだけど、無骨で重たそうな盾と斧を軽々と振り回していた。特に盾は体全体を覆い隠すほど大きく、生半可な攻撃じゃ崩せないと思う。


「そして最後が人族のロミオス。水と土の二重ダブルで、とっても優れた魔法士なんだよ」

「よろしく、獣人と人族の子供達」


 緑色の長髪を靡かせながら丁寧に御辞儀する。一見礼儀正しい青年に見えるが、その口元は醜く歪んでいた。


「以上が僕達、鮮血のドラゴンさ。短い間だけどよろしくね」

「短い間って……何だよ?」


 俺は喋りつつ、奴らから姉ちゃんとリース姉が死角になる位置を探る。剣は構えたまま、警戒は一切緩めずにだ。


「え? 勿論すぐに君達も死んじゃうからだよ? 僕達はね、人を殺すのが大好きなんだ」

「犯罪集団……ですか。もう一つお聞きしたいのですが、何故そのような人がここへ?」


 姉ちゃんはリース姉の背中を擦りながら更に時間を稼ぐ。答えるとは思わなかったけど、リーダーであるゴラオンは嬉しそうに語りだした。


「それがねぇ、とある町で遊んでいたらグレゴリって人に誘われたんだよ。人を沢山殺せるってさ。だからわざわざ来たのに、最初にやらせるのが子守だよ? 途中まで我慢してたけど、やっぱり出来なくて思わずやっちゃった。我慢は体に毒だしね」

「だけど悪い話じゃなかったな。子供だけどこいつらは別格だ。実に楽しそうじゃないか」

「ですね。良い声で鳴いてくれそうです」

「お主は手を出すな! わしの獲物じゃ!」


 またグレゴリか。こんな奴らを招き入れるなんて、本当に碌な事をしない奴だ。

 俺があの野郎を思い出していると、ゴラオンは何かを思いついて手を叩いていた。


「そうだ! 簡単に殺すのもいいけど、やっぱり絶望に彩られた叫び声を聞きたいんだよね。もし僕達と戦うなら作戦会議の時間を上げてもいいよ?」

「また悪い癖が出たな。さっさと戦えばいいのによ」

「えー? だって散々抵抗して、その全てを踏み潰した時の表情が最高なんじゃない。君達もわかるだろう?」

「仕方ないですね、リーダーの意見に従いましょう」

「というわけで、少しだけ時間をあげるよ」


 俺達が呆気に取られている間に、鮮血のドラゴン達は壁際に座って休み始めたのである。

 明らかに舐められているが、今の俺達には本当にありがたかった。それでも警戒は止めず、俺は姉ちゃんとリース姉へと振り返った。


「大丈夫かリース姉?」

「うん……ごめんね。もう……大丈夫」

「ペンダントで救助要請はしたけど、すぐに来ると思っては駄目ね。それにしても……本当に不味い状況だわ」

「だね。あいつら俺達より……確実に強い」


 兄貴から教わった事の一つに、強者を見抜くという教えがある。

 見た目も含め、対象の気配や殺気の出し方、様々な観点から自分と比べて強さを見極めろという教えだ。経験を重ねなければ難しいと兄貴は言っていたが、この鮮血のドラゴンの連中に関しては嫌でも理解できた。兄貴程じゃないけど、俺達より上だって事はわかる。

 兄貴には自分より強い相手に出会ったら迷わず逃げろと言われているが、こいつらからは逃げられる気がしない。


「エミリアとレウス君でも駄目なの?」

「姉ちゃんと一緒なら一人は何とかなりそうだけど、四人相手は絶対無理だ」

「だったら逃げよう。私の『水霧アクアミスト』を使えば逃げられるかも」


 逃げると聞いて、吹っ飛ばした貴族に目を向けたがすぐに視線を逸らして首を振った。今は姉ちゃん達が最優先だ。


「相手に俺達と同じ、匂いに敏感な金狼族がいるんだ。逃げてもすぐに追ってくるだろうし、俺はともかく姉ちゃんやリース姉が捕まったら終わりだよ」

「なら戦う……の?」

「厳しいけど……やるしかないわ。リース、貴方だけでも逃げて」

「うん、兄貴に伝えてほしい」

「それは嫌!」


 リース姉の顔は青白くまだ恐怖に怯えているけど、拳を握って俺達の案を拒絶した。


「私……ここで逃げたら後悔する。ずっと……消えない傷が付いちゃう」

「……死んじゃうのよ?」

「怖いよ! 死にたくないよ! でも……それでも……二人を置いて行くなんて……絶対に嫌」


 涙を流しながらリース姉は俺達を見据えていた。本当は逃げ出したいのに、俺と姉ちゃんの為に譲らないリース姉に心が温かくなった。


「だから私も戦うわ! 皆で帰るの!」

「ありがとうリース、皆でシリウス様の元へ帰りましょう。とにかく今は切り替えて、作戦を練りましょう。まずは隙をついて人数を減らすべきだと思うわ」

「誰を狙うの?」

「リーダーを狙うのが定石だけど、あの人は竜族って言っていたわね。レウスは金狼族を抑えてもらわないと駄目だから、私の刃が通じるかどうか……」


 竜族の体はとても硬いって本に書いてあった。俺の剣ならいけるかもしれないが、他の相手を抑えないといけないし、姉ちゃんの『風斬エアスラッシュ』が通じるかどうか確かめる術が無い。奇襲だからチャンスは一度だし、何か確実な手はないかな。


「……私がやる」

「リース?」

「私ならやれるわ。シリウスさんに教えてもらった、あれなら行ける筈よ」

「あれか! 確かにあれなら……」

「確かにそうね。でもリース、貴方が一番敵の懐に飛び込むのよ? 貴方がそこまで危険を冒す必要は……」

「どこに居ても負ければ一緒よ! だったら少しでも確実な方法を取りましょう!」


 リース姉の体は小刻みに震え、もはや立っているのでさえやっとである。それでも気丈に振る舞い、後方支援である自分が前に出ると宣言してくれた。

 俺は姉ちゃんと頷き合い、リース姉の手に俺達の手を重ねた。


「ありがとう。私達は貴方に全て託すわ。大丈夫、貴方の道は私とレウスで作るから」

「リース姉の背中は俺が守るよ!」

「うん、頑張る!」


 勇気を見せてくれたリース姉に、俺達が応えなくてどうするんだ。


「それで作戦だけど……」


 それにしても姉ちゃん、本当に強くなったな。俺と一緒で兄貴の背中をずっと追いかけて来たから当然かもしれない。

 でも今の姉ちゃんは強がっているだけだ。さっき手を重ねた時に気付いたけど、姉ちゃんの体は……震えてた。尻尾も垂れ下がっているし、俺だって気を抜けば震えてくる。

 それでも、やるしかないんだ! 兄貴の元へ帰る為に!


 姉ちゃんが考えた作戦を頭に叩き込み、戦闘準備を終えたところで奴らは戻ってきた。


「そろそろいいかな? さーて……どんな戦いを見せてくれるのか楽しみだよ」


 相変わらず笑みを浮かべ、俺達がどうするか楽しそうに待っていた。

 見てろ、すぐにその笑いを消してやる。


「お願い! 『水霧(アクアミスト)』」


 まずはリース姉の魔法で視界を塞ぐ。それと同時に俺と姉ちゃんは駆け出し、それぞれの相手を狙う手筈だ。

 俺の抑える相手は金狼族とドワーフの二人。目の前でさえ見通せない濃霧でも、俺達はリース姉の御蔭で相手の姿は丸見えだ。『ブースト』を発動させ、俺はまずドワーフへと攻撃を仕掛ける。


「『炎拳フレイムナックル』!」

「なにっ!?」


 隠す必要も無いので、無詠唱で放った炎の拳でドワーフを殴りつけた。相手は驚きつつも咄嗟に盾を構え、俺の攻撃は防がれた。だが俺の目的は倒すことじゃなく気を引く事だ。

 炎の拳によって発生した衝撃により、ドワーフの男はよろめきつつ後退した。


「そこか餓鬼!」


 匂いと爆音で察知し、俺に襲い掛かってくる金狼族の男には剣を振るって攻撃を受け止めた。この金狼族は武器を持っておらず、生身で戦うスタイルのようだ。爪が異様に伸びていて、俺の一撃を受けてもびくともしない。くそっ、『ブースト』で強化しても相手が上なのか。


「このような子供騙しなんて吹き飛ばしてしまえばいいのです。我が請うー……」

「させません!」


 風の初級魔法を詠唱しようとしている魔法士の人族には姉ちゃんが向かった。ナイフを振りかざし、霧に紛れて奇襲するが避けられてしまう。


「ふふ、魔法士だからって近接戦闘が弱いって思っては駄目ですね」

「あまり一緒にされたくないですが同感です! 『風斬エアスラッシュ!』」

「速い!? だが霧で軌道が丸見えですね!」


 姉ちゃんの方は大丈夫なようだが、俺の方は長く持ちそうもない。ドワーフの動きは遅くて何とかなりそうだけど、金狼族の方は予想以上に速く強かった。


「どけアッシュ! お主が邪魔じゃ!」

「うるせえ! こいつは俺の獲物だって言っただろうが!」 

「何だこいつら!?」


 ありがたいのは俺を奪い合って二人が喧嘩している事だ。何度か互いを攻撃し合い、俺はその隙をついて避けることが出来る。やっぱり連携って大事なんだな。

 そうして俺達が気を引いている間に、リース姉は側面から静かに回り込みつつゴラオンへと忍び寄っていた。


「へえ……面白い魔法だねぇ。何も見えないや」

「その油断が命取りです!」


 そしてリース姉はゴラオンの懐へ大きく踏み出し、とっておきの魔法を発動させた。


「皆頼むわ! 『水刃アクアカッター!』」


 あれは兄貴が考案した水の刃で、もの凄い勢いで水を飛ばし、岩だろうが鉄の塊だろうと何でも切ってしまう凄い魔法だ。膨大な力を持つ精霊魔法だからこそ可能だって兄貴は言っていたな。

 硬いと言われる竜族の体だって、これなら切れる筈だ。

 リース姉は手から細い物を飛ばしつつ、ゴラオン目掛け振り下ろした。相手は咄嗟に体を動かしたがすでに遅い。リース姉の魔法によってゴラオンの片腕と片足は切り落とされ、片足では体を支えきれず床に倒れていた。


「これは!?」

「次は頭を狙います! 止めてほしかったらすぐに全員の行動を止めさせて帰って!」


 リース姉は手を向けたまま必死に強がるが、体は小刻みに震えたままだ。無理もない、人を切るなんてリース姉は初めてだからだ。

 彼女の動揺はゴラオンには丸分かりのようで、笑いを堪えるように体を震わせていた。


「何が可笑しいんですか! 早く帰ってください!」

「いやいや、君は人を切るのは初めてかな?」


 向けられた手を一切気にせず、ゴラオンは残った腕で落ちた腕を拾うと、切り飛ばされた部分を体にくっ付けていた。


「こんな傷、少し前の戦場以来だなぁ。あの時は両脚を切られたけど、まさか君の様な女の子にここまでやられるなんて思わなかったな」

「そん……な……」


 確かに切り飛ばしたのに、くっ付けた腕は動き出すどころか指も細かく動かしていた。まるで何事もなかったように。


「驚いたかな? 僕は確かに竜族だけどちょっと違う種族でさ、回復力が凄いんだよ。ほら、足だってこの通りさ」

「あ……ああ……」


 続いて足も同じ処置を施し、彼はすぐさま立ち上がってリース姉を見下ろしていた。

 目前から放たれる殺気に、リース姉は完全にのまれていて一歩も動く事が出来ないようだった。

 魔力の維持も出来なくなったようで、水の濃霧も消えてしまった。


「ん〜いいね。その絶望の表情! さてと、切られたからにはお礼をしないとね。同じ箇所を切ってあげるよ」


 ゴラオンは笑みを浮かべながら剣を振りかぶるが、リース姉は動けない。

 助けようとも、俺は二人を相手に動けない状態だった。


「はっはっは! あっちなんかより俺と遊ぼうぜぇ!」

「こっちを見ろ餓鬼!」

「くそっ! どけよお前等! リース姉が!」


 二人の攻撃を受け流し、攻撃を食らうのを覚悟にリース姉へ向かおうとするが、ゴラオンの剣はすでに振り下ろされて……。


「リースッ!」


 姉ちゃんが飛び込んだ。

 リース姉を体当たりで吹っ飛ばし、振り下ろされた剣をナイフで受け止めるが支えきれず、剣の軌道を逸らすのが限界だった。グラントのじっちゃんが作ったナイフじゃなかったら、ナイフごと姉ちゃんが斬られてたかもしれない。

 姿勢を崩された姉ちゃんは、体勢を立て直して反撃しようとするが……。


「邪魔するなよぉ!」


 ゴラオンの方が速く、姉ちゃんは蹴りを受けて吹っ飛ばされてしまった。加減なんか一切無い、殺すつもりの蹴りだった。

 吹っ飛ばされた姉ちゃんは背中から壁に激突し、床に倒れたまま動かなくなった。


「姉……ちゃん?」

「エミリアッ!」


 リース姉が姉ちゃんの名前を叫びながら走っていく。


 そんな光景を俺は呆然と見ている事しか出来なかった。



 嘘だろ……。



 姉ちゃんが……。



 こんな奴らに……。



「余所見してる場合かぁ!」

「まずは腕一本貰っておこうか!」


「うるせええぇぇぇぇぇぇ―――っ!」


 変化は一瞬。

 俺の体が膨れ上がり、身体中に毛が生え、力が全身を駆け巡る。

 剣が嘘のように軽く、俺は向かってきた金狼族目掛け剣を全力で薙ぎ払った。


「ぬぐっ!?」


 さっきまでは完全に止められていた剣が振りぬかれ、強引に相手を吹っ飛ばした。そのままドワーフへと斬りかかるが、俺の変化を察知し防御の構えをとっていた。


「わしの防御を突破出来ると思ったか!」

「うああああぁぁぁぁ―――っ!」


 だが構わず剣を振ると、ドワーフの盾と俺の剣は部屋中に響き渡る轟音を発した。

 俺の剣によってドワーフの体は盾ごと浮き上がり、数歩先へ背中から落下した。とてつもない衝撃なのに、俺の剣もドワーフの盾も形を保ったままだった。



 ……行ける。

 

 この力ならあいつらと戦える。


 リース姉に見られたくなかったから封印していたけど、もういいや。


 こいつらを速く――して、すぐに姉ちゃんの所へ行くんだ!



「ちっ……正面から受け止めたとはいえ、なんという馬鹿力じゃ。とても餓鬼とは思えん」

「気をつけてください。あの子から魔力の動きが見えます。おそらく身体能力に魔力の補助がかかってますね」

「あの年で『ブースト』持ちかよ。呪い子といい、とんでもねえ小僧だな」

「呪い子? 何じゃそれは?」

「あの小僧のように変身する事だ。俺ら狼族に伝わる話でな、生きてると不幸を呼ぶから判明したら殺されるんだよ」

「生きておるでないか! 嘘を抜かすな!」

「そこまで知らねえよ。とにかく、ちょっと厄介だな」


 何か言っているが関係ない。

 速く……速く――して姉ちゃんを。


「ではやりましょうか」

「仕方ねえなぁ……」

「銀髪の餓鬼はまだ残っておるし、まずはあの餓鬼からじゃな」

「頑張ってねー。僕は後で青髪の女の子貰うからさー」


 あいつらが喋る度に嫌な気分が増していく。

 俺は『ブースト』を全開にして奴らへ突撃した。


「ほれ、こっちだ餓鬼!」


 盾を持ったドワーフが前に出てきたので剣を振り下ろす……が、斜めに構えた盾により、剣は盾を滑るように流されてしまい床を抉るだけだった。


「ただの馬鹿力なら流すのも容易いわ!」


 そのまま盾ごとタックルしてきたが、意表の突いた攻撃を俺は食らってしまう。少し吹っ飛ばされてしまったが、この体のせいかダメージは少ない。

 くそ、ちょっと痛かっただけだ。まだやれる!


「ほーら、愛しの姉ちゃんが危ないぞっと」

「っ!?」


 声に振り向けば、金狼族の男が倒れた姉ちゃんに向かって歩いていた。姉ちゃんの傍にいるリース姉は、夢中で回復魔法をかけているのか気付く様子が無い。

 俺が守らないと!


「姉ちゃんに近づくなああぁぁぁ―――っ!」


 全力で床を蹴り、金狼族の男へと走った。

 姉ちゃんからあと数歩のところで追いついて斬りかかるが、男は余裕の笑みを浮かべながら背後へ飛んで避けた。

 さっきまで爪で受け止めていたのに、何故このタイミングで避けたのだろう?

 そう思った瞬間、もやっとした感覚が俺を無理矢理振り向かせた。


 初級土魔法『岩弾ロックバレット』。


 俺の胸を覆うくらいの大きな岩の塊が飛んできた。

 後方に居た魔法士の魔法だろうが、俺は剣を振り切った状態で回避もままならない。そもそも回避なんて出来ない。

 斬るしかない!

 いつもなら振り下ろしで斬っているけど、今は剣を振り切った状態だから無理だ。初挑戦の斬り上げでやるしかない。

 出来る……今の俺なら出来る!


「ここだああぁぁぁ―――っ!」


 タイミングはバッチリで、俺の剣は『岩弾ロックバレット』を捉え粉々に砕いた。この姿なら斬るのもそこまで難しくなかったが……集中力が高いゆえに気付いてしまった。


 『岩弾ロックバレット』のすぐ後ろに迫る、もう一つの『岩弾ロックバレット』にだ。

 一発ではなく、二発放たれていたのだ。


 これで終わりと思い込んでいた俺は、もはや剣を振れる体勢では無かった。だが、体を捻るように飛べば、ぎりぎり回避出来るかもしれない。


 だけど避けられない。


 だって後ろには……ネエチャンガイルカラ。





 俺の胸にめり込む岩の塊。

 

 鉄の胸当て越しに衝撃が襲い、胸元から何かが砕ける音が耳に響いた。


 衝撃に耐え切れず俺は吹っ飛び、壁に激突して床に落下していた。


 意識は……ある。


 だけど、胸に耐え難い激痛が走り、思わず咳き込むと口から血を吐き出していた。

 気付けば変身も解けている。


「レウス君!」


 声に顔を上げれば、リース姉が泣きながら俺を覗き込んでいた。


「よかっ……た。無事……だった」

「喋っちゃ駄目! 水よ……お願い『水治療アクアヒール』」


 リース姉の魔法によって、胸の痛みが少しだけ治まった。だけどリース姉は大量の汗を流しながら顔を青白く染めていた。魔力が枯渇する前兆だ。


「もういいよ……リース姉が……気絶しちゃう」

「貴方の方が酷いのよ! 少しでも治療しないと、死んでしまうわ!」


 呼吸が荒く、今にも倒れそうな状態でもリース姉は魔法を止めなかった。

 近くには倒れたままの姉ちゃんが、そしてこちらへ笑いながら歩いてくる金狼族の男。

 


 ああ……もう無理かな?

 俺……頑張ったよな。

 このまま意識を失っても、きっと兄貴が助けてくれると思うんだ。

 そして目覚めたら、兄貴や姉ちゃんが心配そうに俺を覗き込んでいるんだ。





 でも…………兄貴が間に合わなかったら?





 俺が気絶したら……姉ちゃんは襲われる。


 嫌だ!


 そんなのは絶対に……嫌だ!


 何の為に俺は強くなろうと決めたんだ! 


 姉ちゃんを守る為だろ!


 姉ちゃんが襲われるくらいなら、俺は死んだ方がましだ!



「あ、ああああぁぁぁぁ―――っ!」


 俺は立ち上がった。

 リース姉が驚いているが、構わず俺は歩き、金狼族の男の前に立ち塞がった。


「銀狼は家族想いと聞いていたが、予想以上だな。そんなボロボロで何が出来るんだ?」

「うるせえ……かかって、こいよ」

「ふん、威勢だけはまだあるな」


 強引に髪を掴まれ、男の顔の高さまで持ち上げられてしまった。

 何か思い出すなぁ。

 奴隷の頃も、こうやって生意気な事を言っては髪を掴まれて殴られたっけ。

 あの時は泣いて謝ってたけど、今の俺は違う。


 牙が……ある。


「うがああぁぁぁぁぁっ!」

「なっ、ぐああぁぁっ!」


 俺は男の腕に噛み付いた。

 少しでも俺に意識を向けさせれば、それだけ姉ちゃんやリース姉から目が遠のくからだ。


「くそがぁ! 放せ小僧!」

「ぐうぅぅぅっ!」


 絶対放してやるもんか!

 どんなに惨めでも、情けなくても、生き残るんだ。

 皆で兄貴の所へ帰るんだ。


「こいつがぁ!」


 空いた手で顔面を殴られて、俺は再び床を転がって姉ちゃんの所へ戻ってしまった。絶対放さないと思っていたが、あいつの肉を引き千切ってしまったらしい。こんな肉、不味くて食えそうもない。


「れ……うす」

「エミリア、気付いたの!?」


 目を向ければ、姉ちゃんが倒れたまま薄く目を開いて俺を呼んでいた。

 良かった、生きていた。

 本当に……良かった。


「もう……やめなさい。貴方は……十分にやった……わ」

「そうよ! 私が何とかするから、休んでいなさい!」


 止めてくれよ。そんな優しい事言われちゃったら、俺の決意が鈍るだろ?


 ほら、今度は凄く怒った顔をしているけど、またあいつが迫ってきてるよ。


 来いよ。また噛み付いてやるからさ。


 何度だって……何度だって噛んでやる。


 俺の牙が折れるまで。















 ――ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!















 突如響き渡る轟音に、全員の動きが止まった。


 音の方角に目を向ければ、俺達の少し横の壁に無数の穴があいていた。

 その穴は円を描くようにあけられていて、まるで壁をぶち抜こうとしているようで……いや、ぶち抜こうとしていた。


 俺は泣いていた。


 こんな……こんな事をする人なんて……俺は一人しか知らない。


「何だこれは!?」

「何か来ますよ!」


 男達が警戒した瞬間、壁をぶち抜いて何かが飛び込んできた。壁の破片がゴラオン達の元へ飛んでいく中、飛び込んできたそれは俺達に近づく金狼族へと迫る。


「何だてめぇ!?」


 金狼族の男は反射的に拳を振るうがあっさり避けられた。そのまま足を払われバランスを崩した瞬間、回し蹴りを食らって吹っ飛ばされていた。


 蹴りから体勢を立て直し、その人の背中が俺達の前に晒された。


 視界がぼやけ、意識を失いそうな俺でも、その背中ははっきりと見えた。


 いつも眺めていたあの憧れの背中を……忘れようがない。


 俺達の大好きな……。


「……あに……き」








「……よく耐えたぞ、レウス」




ちょっとありきたりですが、書きたいので書きました。


次は今回出番の無かった主人公の暴れっぷりと、秘密を少々……を予定です。

なるべく速く投稿頑張ります。

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