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水属性が得意な劣等生

「この無能が!」


 背後から木剣を振り下ろしてくるが、一歩下がるように半身で避けると振り下ろした男と目が合った。

 まさか背中からの攻撃を確認もせず避けられるとは思わなかったのだろう、その顔が驚愕に染まった時には鳩尾に俺の拳がめり込んでいた。


「なっ!? こ、このー……」


 一人が倒れる前にはすでに次の動作へ移っている。

 男の木剣を拾うと同時にもう一人へと投げつけると、男は反射的に木剣を切り払った。その時、男の焦点が俺から外れた瞬間に最短で横へ回り込みつつ背後へ移動。相手からすれば、まるで消えたように見えた事だろう。


「はい、こっちだよ」


 そのまま相手の首に腕を回し裸絞めで動きを抑えた。正確な表記ではないのだが、チョークスリーパーと言えばわかりやすいだろう。

 この状態になれば相手はなかなか逃げられず、両脚を胴体に引っ掛けた状態で極めるとほぼ脱出不可能だと言われるが、今回は首だけにしておいた。それでも徐々に力を込めていくのがわかるのだろう、目に見えて暴れ始めるが、俺は男の耳元で囁く様に告げた。


「やめてほしいかい?」


 答えようにも男は首を抑えられて喋られず、僅かながら頷いているように首を動かした。ちなみに従者二人は男という人質に手が出せず卑怯だとか騒いでいる。卑怯とか……その台詞はそっくりお返ししたい。


「やめてほしいなら、俺の手を二回叩くんだ。だがー……」


 言い終わる前に腕が叩かれた。おいおい、意気揚々と挑んできたわりには根性無さ過ぎだろ。まあ約束なので首から手を放してやると、男は笑いながら振り返り。


「馬鹿めー……おわぁっ!?」


 木剣を振る前に足払いで素っ転ばせた。見本の様な小物っぷりに先が読みやすいったらありゃしない。続いて地面に転がった木剣を拾い、転んだ男の顔を目掛け突き刺した。


「ひっ!?」


 勿論本気で刺したりはしない。剣が刺さったのは男の目からすぐ横の地面だ。少しだけ皮膚が切れている上に、木剣の刀身が半分程埋まっている時点で、どれほどの力を込めて刺したかわかるだろう。頭に刺さっていれば、たとえ木剣だろうと命は無かった筈。


「……次はないぞ」

「は……はいぃぃ……」


 男の目を覗き込みつつ言えば、恐怖のあまりに白目を向いて気絶してしまった。やり過ぎかもしれんが、こういうアホ相手には恐怖が一番わかりやすく覚えさせやすい。時間が経てば薄れるだろうが、しばらくはちょっかいかける気も起こるまい。


「こいつ……マジかよ?」

「おい、どうするんだ?」


 あっという間に二人を戦闘不能にし、残った従者二人はさっきまでの余裕が完璧に消えていた。笑みを浮かべつつ接近する俺に、二人は動揺しながらも互いを見合った。


「俺が奴を抑えるからお前は魔法でやれ!」

「わかった!」


 おいおい、目の前で作戦を話すか普通? 呆れている俺に、従者の一人が殴りかかってくるが軽く避ける。そのまま隙だらけの腹を殴ってもいいんだが、少し教育してやろうと思う。タイトルを付けるなら、学校内で無闇に魔法を使ってはいけません……だな。


「おらぁ! さっきまでの威勢はどうしたんだ!」


 貴族とはいえ、男は何か習っていたのか動きは悪くなかった。どこまで紙一重で避けられるか試しつつ、対人戦の感覚を思い出していると、後方に控えていた男の詠唱が終ったようだ。


「――炎を矢と放たん……『火矢フレイムアロー』行くぞ、下がれ!」


 あれは『フレイム』と『火槍フレイムランス』の中間位置にあたる火属性の魔法だ。大体五十センチの細長い炎を飛ばすのだが殺傷能力は低い。だが下手に当たれば火傷と衝撃により大怪我にもなりうるので、気軽に使っていい魔法じゃない。

 男は仲間へと下がるよう指示し『火矢フレイムアロー』を振りかぶった。


「わかっ――ぐあっ!」


 ――が、俺は下がろうとする男の胸倉を掴み、徐に『火矢フレイムアロー』目掛けて放り投げた。


「や、やめっ!?」

「まっ!?」


 すでに振り下ろした手は止まらなかった。男と『火矢フレイムアロー』は空中でぶつかり合い、小さな爆音と共に直撃を受けた男は地面に転がった。さて今回の教訓だが、無闇に魔法を使えば仲間への誤射に繋がります……という訳だ。

 これが普通の服なら大怪我だろうが、この学校指定のローブは丈夫で魔法の耐性も優れている。『火矢フレイムアロー』程度なら軽い火傷と打ち身で済んでいるだろう。


「てめえよくも! 我は請う、火の化身たる大いなる力を――……」

「はあ?」


 何を思ったのか、もはや前衛も壁役もいない状態で詠唱を始めていた。混乱のあまりにふざけているのだろうか? 隙だらけの男の前に立ち、軽く頬を叩いた。


「っ!? 何をしやがる!」

「いや、隙だらけだから」

「うるさい、下がれ無能が!」


 詠唱を中断されて拳を振り回してきたので、軽いバックステップで避ける。そのまま向かって来ると思いきや、彼は再び魔法の詠唱を始めていた。


「我は請う、火の化身――……ぶっ!?」


 当然止める。ちょっと強めにビンタしたせいか、男はよろめいて倒れそうになっていた。


「て、てめぇ……」

「隙だらけだし……馬鹿なの?」

「うるせえ! 俺の魔法が当たればお前なんか――」

「衝撃よ、『インパクト』」


 放った衝撃弾は男の頬を掠め、背後の木を抉るように穴を空けていた。背後から聞こえた破砕音に男は振り返ると、怒り狂って真っ赤だった顔が一転して青ざめていた。


「今度は外さないよ? 次は腹か……それとも顔かな?」

「お、お前……こんな事してただで済むと思っているのか?」

「え? だってそっちから喧嘩売ってきたんだろ? それにこんな状況を知ったら君達の主人であるマークは何て言うと思う?」


 マークの性格を知る彼だからこそわかるのだろう。こんな状況を報告すれば確実に従者を首にされる。そして本家に報告され、自分の立場が危うくなるだろうと。


「そもそもこれを何て説明するんだい? 武器を持たない無能相手に、武器を持って四人で挑んだけどやられました……と、報告するのかな?」

「ぐ……ぐぐ……」

「どうあろうとこれが広まれば、君達の立場は地に落ちるだろうね。貴族からは無能に負けたと笑われ、平民からは卑怯な手を使っても負けたと蔑まれるだろう」

「ち……畜生っ!」


 もはやぐうの音も出ないのか、男は力なく拳を地面に叩きつけていた。完全に気持ちが折れたので、俺の勝ちでいいだろう。


「それじゃあ失礼するよ。別に言いふらす趣味はないが、敗北したのはしっかり受け止めておきなさい」


 俺は彼等に背を向けて元の道へ戻る。一応意識は背中に向けていたが、彼等は追撃もせず大人しく見送っていた。



 木々を掻き分け戻れば、ちょうどエミリアが走ってダイア荘に向かっている途中だった。呼び止める前にこちらに気付き、尻尾を振りながら加速しつつこちらへと向かってくる。


「シリウス様ーっ! そんなところでどうしたのですか?」

「いや、ちょっと散策をね。エミリアこそもういいのかい?」

「はい、リースも部屋に戻っていたので、入学式の内容を説明してきました」


 彼女は今の定位置である俺の左に並び、一緒にダイア荘へと向かっていく。よく見れば彼女は先ほどと違い大きな袋を持っていて、俺の視線に気付いたのか袋の中身を見せてくれた。


「これですか? これはメイド服ですよ」

「いや……何でメイド服?」

「それはシリウス様のお世話をする時の正装だからです。私にとって戦闘服ですから」


 つまりダイア荘に着いたらまずこれに着替え、そして学生寮に帰る時にまたローブに着替えると。何と無駄な……いや、これは彼女の従者としての誇りかもしれない。尊重してあげよう。


「兄貴ーっ!」


 途中でレウスも追いつき、俺達はいつものメンバーとなった。レウスは右隣に並び、嬉しそうに木剣を高々と掲げている。


「全員と勝負したけど、手加減って本当に難しいんだな」

「怪我とかさせてないよね?」

「そこら辺は大丈夫だぜ姉ちゃん。あいつら帰る時にはちゃんと歩けていたしな。ところで兄貴、俺ちょっと物足りないんだけど……」

「わかっているよ。帰ったら一度だけ相手してやるさ」

「流石兄貴だぜ!」


 夕日に照らされ、長い影を伸ばしながら俺達はダイア荘へと歩いていく。


 そうして、俺の襲撃事件は人知れず幕を閉じた――……に見えたが、まだ続きはあった。




 次の日、朝の教室で先生を待っていると、マークが一人教室に入るなり俺の前へ来て頭を下げてきたのである。

 周囲が騒然とする中、俺はとにかく頭を上げさせて話を聞いてみた。


「本当に……申し訳ない」

「いや、わかったから、まず謝るより状況の説明を頼む」

「ああ、まずはそこから話すべきだったな。すでに解っていると思うが、僕の従者だった者達の事だ」


 昨日、遅くなった従者を心配して探してみれば、彼等は治療室に運ばれたと聞いた。そして治療室に向かえば、片や呆然として片や火傷を負って治療中ではないか。渋る二人を強引に尋問し、ようやく吐いたと思ったら愕然としたそうだ。

 ホルティア家に連ねるものが、平民で無色の少年一人に数人で挑み、あまつさえ返り討ち。もはやどこから怒るべきかわからず、ついには怒りを通り越して興味すら失ったらしい。

 その日の内にエリュシオンにある家へ連絡を取り、過去の醜態を含め全てを報告したそうだ。彼等は早朝から家へと召喚され、彼等の父親を交えつつ処分が下されるのを待っている。だから今日は一人だったんだな。


「常日頃から偉そうに振る舞い、周囲の評判も悪かったのだ。もはや勘当は避けられまいよ」

「当然の処分だな。だけど、あいつらの性格からして報復してきそうだな」

「それは僕の家名にかけて阻止すると誓おう。彼等は遠くの町へ飛ばされ奉仕活動も検討されているし、少なくともこの町に居られる事はないだろう」

「それなら安心かな?」

「重ね重ね申し訳ない。だが、シリウス君に怪我がなくて本当に良かったよ。僕の方から何かお詫びをしたいのだが、何かあるかい? お金で良ければポケットマネーで払おう」


 マークは懐から金貨を取り出し俺の前に並べだした。やめてやめて、そういうの本当にいいから! 慌てて行動を止めて金貨を仕舞わせた。


「俺は怪我がなかったんだから別にいいって。どうしてもお詫びしたいなら、そうだな……一つ貸しにしておいてくれよ」

「貸しだと?」

「ああ、俺が貴族関係で困った事に巻き込まれたら、無理しない範囲で一回だけ助けてほしいんだ。あ、でも俺が悪かったら遠慮なく切ってもいいからな」

「ふふ……良いだろう。僕の出来る範囲なら手を貸そう」


 俺とマークは握手をして、今回の事件は本当に幕を閉じた。




 余談であるが……俺は入学早々、貴族に頭を下げさせた上にお金を毟り取った男だと噂になったらしい。


 しかもだ……。


「「「「おはようございます、兄貴! 親分!」」」」

「おう、おはよう!」


 昨日レウスと模擬戦した獣人達は皆、レウスに倒されて舎弟となっていたのである。獣人って何なの? こんな奴ばかりなの? それ以前に俺は何もしていないのに、勝手に手下が出来る状況を何とかしてほしい。


「わかったぜ兄貴。次は舎弟にならないくらいボコボコにするよ」


 いや、それはそれで違うし、ボコボコにしても出来そうな気がします。


 それからしばらくして、学校の派閥に俺を大将としたダイア組が出来上がったー……とかならないといいんだけどな。いや、本気で。





 入学して三日が経った。

 学校では座学より実技がメインであるが、卒業までに○○出来るまでとは定められておらず、学校とはあくまで個人の修練によるサポート場である……と、入学式にロードヴェルが放った言葉だ。とはいえ自由にし過ぎては何もしない者も出るため、一応の合格ラインは定められている。

 それは担任の先生の指導方針によって変わり、例えば火属性の者なら五年以内に『火槍フレイムランス』が使えるようになれば卒業可能と担任から証をもらう形だ。もし出来なければ五年後に退学となり、以後外で学校卒業者と名乗るのを許されないのだ。

 学校卒業者というだけで箔が付く為、入学者は担任から目標を定められたら一生懸命頑張る……というわけだが、俺には全く関係ない話だ。


 確かに俺は色々と勉強する為に学校へ来たが、主な目的は庇護された場所で安全に年を重ねる点である。世界を見聞したくて旅に出ようとも、日々の金を稼ぐ要である冒険者ギルドに登録出来るのは十三歳からだ。そろそろ俺も九歳になるが、まだ先の話である。

 俺の技術や知識で面倒な追及は避けたいので、本当の実力を隠しつつ己を鍛え、卒業までの五年間が無難に過ぎればいいと思っている。五年過ごせれば、最悪退学となっても問題は無い。


 そして今日の午前は座学であった。

 マグナ先生が魔法の基礎を語り、生徒達が熱心に聞く中で俺は手元にある紙に色々書き込んでいるところである。

 魔法の基礎は本である程度知っているし、ぶっちゃけ俺の魔法はこの世界の常識から外れているので聞いても意味がないのだ。その為、俺はこの時間を有効活用しようと独学で魔法陣の研究をしていた。

 実際同じ状況であるレウスもイメージトレーニングしており、エミリアもまた新たな風魔法を作ろうと色々書きながら考えているようだ。


 随分と失礼な事だがマグナ先生の話を一切聞かないまま午前の授業が終り、俺達はいつものメンバーで食堂に集まり昼御飯を食べていた。


「兄貴とディー兄には負けるけど、ここの御飯も美味しいな」

「そうね。素材が違うのかしら?」

「ふむ……エミリアの言う通り、この肉は何か違うな」


 筋が少なくとても柔らかい肉は中々の味だ。惜しいのは肉汁が流れ過ぎて旨みが逃げてる点だな。料理人の腕が少し悪いなと思いつつ、昼御飯を食べ終わる。


「何の肉か料理人に聞いてみるか。俺ならこの肉は焼くより煮込む方が合っていると思う」

「やった! 兄貴の新作料理とか期待してもいいんだな!」

「楽しみね。あ……リースだわ! おーい、リー……ス?」


 知り合いを見つけたエミリアが声を上げるが、何故か尻窄まっていった。食堂は広いし、沢山の人が談笑しているからそんな声では届かないだろうに。


「どうした? リースを見つけたんじゃないのか?」

「それが見つけたんですけど、何だか凄く落ち込んでいる様子だったんです。今朝は凄く元気だったのに……」

「気になるなら行ってくればいい。昼休みはまだまだあるからね」

「ありがとうございます。私、行ってきますね」


 俺はリースの姿を知らないので、彼女を確認しようとエミリアの姿を追いかけたが、人混みに紛れて見失ってしまった。


「俺の友達はすぐに紹介出来たけど、姉ちゃんの友達ってまだ会った事がないんだよな」


 いや、あれは友達じゃなくて舎弟だろ。お前が友達だと思っているだけだ。


「俺もだ。もしかしたら連れてくるかもしれないな」


 それから数分経って彼女は帰ってきたが、残念ながらエミリア一人だった。おまけに出かける前は笑顔だったのに、今は見るからに落ち込んでいる様子だ。


「シリウス様……」

「暗い顔しているが、どうした? 喧嘩したのか?」

「いえ、そうじゃないんです。実はリースが悩んでいるらしくて、話を聞いている内に思わずシリウス様に相談すればと言っちゃったんです。主の許可も得ず、勝手な事をしてしまい申し訳ありません」

「それくらいなら気にしなくてもいい。それで彼女の悩みはここでは言いづらい事なのかい?」

「はい。なので人が少ない所で話をしたいのですが、よろしいですか?」

「聞くだけ聞いてみよう。人がいない場所と言えばダイア荘だな。授業終了後に彼女を誘って家へ招待してみるのはどうだ?」


 エミリアが世話になっている子だ。出来る範囲なら助けてやりたい。

 そして俺の住処であるダイア荘は姉弟以外の人はまず訪れないし、誰にも聞かれたくない話をするならちょうど良い場所であろう。


「ありがとうございます。早速伝えに言って来ますね」


 落ち込みから打って変わり、彼女は笑みを浮かべてリースの元へ再び向かった。まだ相談内容すら聞いていないのに、全て解決したかのような晴々とした顔だったな。


「良かったな姉ちゃん。兄貴に任せれば解決したも同然だよ」

「お前な、恋愛相談とか女性特有の問題だったら俺でも流石に無理だぞ?」

「兄貴なら大丈夫!」


 何を根拠にそう言うのか? 俺が女性の生理の話をベラベラと語ったら変態にしか見えないだろうが。医学知識あるから語ろうと思えば語れるんだけど……って、そんな話だと決まったわけじゃない。


 その後、レウスと剣の振り方を話したりして時間を潰していると、俺の言った通りに約束を取り付けたエミリアが帰ってきた。


「リースの組はアイオーン組ですから、私達とは終了時間がずれそうなので、図書館で待ち合わせにしておきました」

「それがいいだろう。そろそろ昼休みも終るし、教室に戻ろうか」


 こうしてリースと会う約束をし、昼休みは終了した。




 昼からの授業は実技だ。

 外に出て各人が得意な魔法を的に当てるのだが、大半の生徒は初級魔法であった。俺みたいな変人は別として、この年で貴族も平民も含め初級が出来れば十分凄いことなのである。

 そんな中、マークは中級魔法である『火槍フレイムランス』を放ち、周囲との格の違いを見せ付けていた。元からの才能もあっただろうが、彼は自力でここまで来た努力の人であり、今も驕れる事無く修練を欠かさないそうだ。


「凄いなマークは。これほどの魔法を涼しげに放てるというのは、余程の修練を積んだんだな」

「僕なんてまだまだだ。それよりシリウス君の方が凄いと思う。適性が無いのに、その年で全属性を使えるなんて素晴らしいよ」


 俺の時はマグナ先生の要望から魔法陣を使った全属性の使用を求められた。あえて見せ付ける事により、無色だろうと努力次第で出来るという見本にしたかったらしい。得意属性で負けてたら沽券にかかわるし、事実全員のやる気は高まっていた。


「それは魔法陣というブースターがあってこその結果だよ。何もなかったら俺は初級すら満足に発動しないし」

「魔法陣をすぐに描けるのも実力の内さ。私も他の魔法技師を見た事はあるが、君のように即興で描く人なんて見たことが無い」

「そういう物なのか? あいにく魔法技師を見た事がないからわからないんだ」


 俺としては早く魔法陣について教えてもらいたいものだ。マークと雑談しつつ、次々と魔法を放つ生徒を眺めていると一際大きな歓声が上がった。


『風よ切り裂け、風斬エアスラッシュ

『我が鉄拳に炎を纏え、炎拳フレイムナックル


 中心に居るのはうちの姉弟であり、面接でも見せたと言う魔法で的をバラバラにしたり、炎の拳で的を殴って爆音を響かせていた。全員が唖然とする中、二人は誇らしげに俺に手を振っていた。


「……凄まじいな。彼等の様な従者を持って、シリウス君も誇らしいんじゃないのかな?」

「そうだな。俺には勿体無いくらい出来た二人だよ」


 姉弟はクラスメイトに囲まれ、先ほどの魔法について質問攻めされていた。

 あ……やばい。この流れは読めるぞ。


「すごいね! どうやったらそんな魔法できるの?」

「詠唱も短いし、レウス君の魔法なんて初めて見たよ。誰から教えてもらったの?」

「当然、私達のご主人様であるシリウス様です」

「兄貴の弟子になれば出来て当たり前さ。俺の剣だって元は兄貴から教わったんだぜ?」

「すごーい! ねえシリウス君、私達も弟子にー……あれ?」


 すでに俺は姿を消していた。

 目の前にマグナという身の丈に合った先生がいるんだから勘弁してほしい。そもそも俺の訓練は異常なので、常人についてこれるかどうかわからない。二人の場合はそれ以外に選択肢が無かったのもあるし、己の目標の為に努力を怠らなかっただけだ。

 クラスメイトが俺を探している中、レウスは何か思い出したらしく全員に言い聞かせていた。


「あ……だけど、訓練は凄く厳しいぞ? 例えば朝なんだけどー……」


 早朝からランニング。食事を取ってランニング。勉強したらランニング。家に居た頃の訓練内容を話す内に、クラスメイトは顔を青くさせて弟子入りを諦めた。これが一般人の反応なのだが、それが普通になってしまった姉弟は首を傾げるだけだった。

 才能もあるだろうが、俺は常日頃思っているよ。二人の強さは弛まぬ努力によるものだと……な。




 本日の授業が終り、俺達は図書館へとやってきた。

 流石は大陸一の都会なだけはあり、図書館は途方もなく広く膨大な資料が眠っている。見上げるほどに高い棚に敷き詰められた本の数々。製本技術がそこまで発展していないのに、よくもまあこれだけの本を集めたもんだと思う。

 せっかく入学したのだから、これらの資料を素通りするのは勿体無い。というわけで、最近は授業終了後にここで勉強してから帰るのが日課になっている。

 なので件のリースと待ち合わせするには最適なのだが、彼女の組であるアイオーン組は授業の終りが遅い場合が多い。本を軽く読む時間はあるだろう。


「シリウス様、そろそろリースを迎えに行ってきます」


 面白い部分をメモりながら読んでいると、エミリアがそう言って席を立った。ふむ、もうそんな時間か。そろそろ片付けておくべきかとレウスの方に視線を向けた。


「兄貴、俺の『炎拳フレイムナックル』の炎ってどうやって飛ばせばいいと思う? 今日『火槍フレイムランス』を見たけど、あんな感じでいいのか?」

「お、よく自分で気付いたな。そうだな、あの飛んでいく炎をイメージしながらやってみるといい」

「でもイメージって難しいんだよなぁ。兄貴はどうしてそんなあっさり出来るの?」

「秘密だ」


 そりゃあ、前世で実物を見たり扱ったりしたからです。

 落ち着きがなく子供っぽい(実際子供だが)行動が多いレウスだが、俺や母さんの教育もあって頭は悪くないし本を読むのに苦を感じない子だ。ただ……彼は剣に偏りすぎているだけで、天然も合わさってバカっぽく見えるだけである。ライオルの影響をもろに受けているので、今度あったら一発殴ろうと思う。

 図書館は魔法厳禁なので、火の魔法書を片手にイメージトレーニングしているレウスを眺めていると、エミリアが一人引き連れて帰ってきた。


「シリウス様、紹介します。彼女の名前はリース、私のルームメイトで同い年のお友達です」

「は、初めまして。私はリースと申します!」


 エミリアの説明通り、腰まで伸びた青髪が似合う可愛い女の子だった。少し癖っけのある髪であるが、それがまた彼女の可愛らしさを引き立てている。純粋で透き通るアクアマリンを模した瞳に、整った鼻と口は将来必ず美人になるだろう。エミリアとは少し違うが、素朴で可愛い美少女だった。


「こちらこそ初めまして。エミリアから聞いていると思うけど、俺がシリウスだ」

「レウスだよ」

「はい、とても素晴らしい方だと、エミリアから毎日聞いています」

「ちょっと過剰だと思うんだけどね。面倒だと思ったらいつでも報告してくれ」

「いいえ、私も面白い話を聞けて楽しんでいますから。あ、ごめんなさい。調べ物の途中でしたか? 私の事は終ってからでもいいので、続きをどうぞ」

「ん、ああ大丈夫だ。これはもう終っているから」


 俺が本とメモ帳を広げているのを見たゆえの台詞だろう。周りをよく見て、空気を読む良い子だな。

 まあ今やってるのは趣味だ。中途半端に切り上げても問題ないし、さっさと棚に戻して話を進めよう。途中、本のタイトルを見てリースは驚いていたが、一体何に驚いたのやら。


「さて、今からダイア荘に向かうわけだが、そこは俺達以外に人がいないんだ。得体の知れない男の俺に付いてきて大丈夫なのかい?」

「エミリアのご主人様ですから心配はしていません。それに、本当に酷い人ならそんな事言いませんよ」

「男なら俺もいるよ?」

「レウス君……だったよね? 君はエミリアの弟だから心配していないわ」

「そうなのか? ねえ、姉ちゃんと同い年だと言っていたし、リース姉って呼んでもいい?」

「良いわよ。ふふ、弟が出来たみたい」


 彼女は疑う余地も無く素朴な笑みを向けてくれた。どうやら本気で俺達を信頼しているようだ。この礼儀正しさに、獣人だろうが分け隔てなく接する優しい心の持ち主……エミリアが心を許すだけはある。


「ここだと小声になるから、ダイア荘に向かいつつ話そうか」

「そうですね。リースもそれでいいかな?」

「いいわ」

「じゃあ行こう!」



 俺達はリースを引き連れダイア荘へと続く山間を歩いていく。その間に彼女と互いの自己紹介を済ませた。


「リース様は貴族でしたか。先ほどは敬語を使わなくて申し訳ありません」

「あ、いいんです! 私の事は呼び捨てで構いませんし、普通に話してくださいませんか? 貴族になったのはほんの数ヶ月前で、それまでずっと平民だったので、普通に相手してくださる方が嬉しいんです」


 丁寧な物言いといい、彼女からは貴族のような気品は感じたが、どこか付け焼刃っぽい気がしたのはそのせいか。


「平民から貴族か。色々とあったんだろうね」

「色々ありました。私は母様と一緒にとある村で暮らしていたんです。ですが、一年前に母様が病気で亡くなられた後、父様の使いと名乗る者が現れまして、私をエリュシオンへ連れてきたんです。その時になって初めて母様はとある貴族の妾だと聞かされまして、気付いたら貴族の一員にされてました」

「おいおい、初対面の俺にそこまで話していいのか? それに、君こそもっと砕けてもいいんだよ?」

「エミリアにはすでに話してありますから良いんです。この言葉遣いは母様の教育の御蔭ですから気になさらないでください。今にして思えば、母様はこうなる事を見越して私に厳しかったのでしょう」

「何かすまないな。母親の事を思い出させてしまった」

「もう割り切ってますから大丈夫です。それに、エミリアとレウス君に比べてたら私なんて……」

「話したのか、エミリア?」


 隣にいるエミリアを見れば、悪戯がばれた子供のように項垂れていた。勝手に話したのを俺が怒ると思っているのだろうか? そこまで落ち込まなくてもいいのにと思っていると、リースは慌てて彼女を庇うように前へ立ち塞がった。


「待ってください! エミリアは自分の過去しか話していません。シリウス君の事は自慢以外に何も話してませんから。叱らないであげてください!」


 傍から見れば主人と従者の問題だというのに、彼女は身を呈してエミリアを庇っている。彼女の優しさに思わず口元が緩んだ。


「叱るわけないだろ? エミリアが自分で考えて話してもいいと思って行動したんだ。そんな信頼する友達が出来た事を喜びはしても、叱るなんてありえないだろう。ほら、顔をあげなさい」

「シリウス様……えへへ」


 たとえ俺の過去を話していたとしても、彼女にかける言葉は変わらない。頭を撫でてやると、隣のレウスが袖を引っ張ってきたのでそちらも撫でてやる。やれやれ、甘えん坊だねぇ。


「ふふ……シリウス君は、二人のご主人様と言うよりお母さんみたいですね。エミリアが慕う理由がわかった気がします」

「おいおい、この年でこんな大きな子供は勘弁してくれよ」


 とは言うが、俺の精神年齢からすれば子供みたいなものだけどな。エミリアは少し恥ずかし気に、レウスは全く気にせず撫でるのを受け入れる姿にリースと一緒に笑いながら眺めていた。



 そして俺の住処であるダイア荘へと着いた。


「あの……ここは何年も手入れされていない廃墟だったと聞いたんですけど」

「うん、確かに廃墟だったが、色々弄ったんだよ」


 リースはダイア荘の外観を見て唖然としていた。

 荒れ放題だった草や木はレウスによって綺麗に刈り取られ、ボロボロだった家の壁も屋根も白い塗料によって綺麗に塗られ、朽ち果てていた井戸も復活し、魔法陣を使った汲み上げポンプも取り付けてある。

 見た目は下級貴族の別荘に見えなくもないし、廃墟と聞いていた彼女からすれば、別の場所に来たんじゃないかと錯覚しているのかもしれない。


「そんな所でぼーっとしてないで、上がったらどうだい? エミリアはもう入っているよ」

「は、はい。それではお邪魔します」

「リース姉が初めてのお客さんだね」


 玄関の扉を開けると、そこにはメイド服に身を包んだエミリアが立っており、綺麗な御辞儀で迎えてくれた。


「お帰りなさいませ、シリウス様、レウス。そしていらっしゃい、リース」

「えっ!? あれ? さっきまでローブだったのに……何でメイド服を着ているの?」

「私はシリウス様の従者だからよ。どうぞシリウス様。あ、リースもこれ、スリッパね。ここで靴を脱いで、これを履いて家に入ってほしいの」

「う、うん、わかった。靴じゃ駄目なの?」

「兄貴が定めたダイア荘の決まりなんだよ。最初はちょっと気になるけど、慣れると楽になるんだよね」

「土で汚れないから、掃除が楽で助かるのよ?」


 今更説明するのも何だが、この世界は家の中でも土足だ。俺の生まれた家は父親だった貴族の物だから土足でいたけど、ここは新しい俺の家だ。だったら好き放題やってやろうかと思い、その内の一つが土足厳禁である。


「とにかくようこそ、ダイア荘へ。まずはお茶でもいかが?」

「お、お願いします」


 若干及び腰なまま、リースにとって未知なる世界はこうして幕を開けた。




 ダイニングキッチンのど真ん中に置かれた、五人は座れる大きな机に人数分の紅茶が並べられ、お茶請けに作り置きしておいたケーキを出す。


「これは何でしょうか? お菓子……ですよね?」

「ケーキと言って、シリウス様が作られたお菓子よ。フォークで切り分けて食べてね」

「これが……ケーキ? 私が知っているのと全然違いますよ?」

「いいから食べてみなよ。最高に美味いぞリース姉!」

「うん……んっ!?」


 一口サイズに切り分け口に運ぶと、恐る恐るだったリースの顔が蕩けるような笑みに切り替わり、頬を押さえながら幸せな甘味に浸っていた。


「とっても甘くて……柔らかくて……こんなの初めて」

「これ食べると皆同じ反応するね。ノエル姉もこんな感じだったよな」

「こんなに美味しいんだから当然よ。私だってもっと食べたいし」

「あまり食べ過ぎると太るし、たまに食べるから美味しいんだぞ」


 結局リースは、ケーキを食べ終わるまで現実に帰ってこなかった。最後の一欠けを飲み込んだところでようやく気付き、今は恥ずかしげに俯いて紅茶を飲んでいた。


「用意していただいた物を、感想も言わず黙々と食べちゃって……ごめんなさい」

「感想なら見ただけでわかる。気に入ってくれて何よりだ」

「リース、もう一杯飲む?」

「……いただきます」


 温くなった紅茶を飲み干し、新たに注がれた紅茶を皮切りに空気が変わった。ここからが本題なのであろう。


「まずは私をお招きいただき、ありがとうございます」

「ああ、こちらとしては初めての来客だから、粗相があったら遠慮なく言ってくれ。それで……エミリアから聞くと相談があるとか?」

「はい。実は……私の魔法を鍛えてほしいんです」

「……詳しく頼む」

「当然知っておられるとお思いですが、四属性の初級魔法はご存知ですよね?」

「ああ、『フレイム』『アクア』『ウインド』『アース』の事だろう?」


 火の玉を生み出し、竈の火種や松明代わりに使われる『フレイム』。

 水の塊を作り、生活用水や火災鎮火としても様々な用途を持つ『アクア』。

 風を吹かせ、空気を循環させたり扇風機代わりにもなる『ウインド』。

 指定した土を変動させ、壁や穴を作る他にも道路整備にも使われる『アース』。


 以上の初級魔法は、適性属性であれば難なく使え、たとえ適性属性でなくても多少の訓練を積めば出来るようになる。


「私の組では、その初級魔法を全て使えないと駄目なんです。先生曰く、それくらい出来ない者は屑だと申しておりまして」

「リースのアイオーン組の担任は……グレゴリだったな?」

「はい。あのグレゴリですね」

「言ってる本人が屑のグレゴリだな」

「呼び捨て!? えーと……それで私は一つだけ出来ないのがありまして、組の生徒全員から指を指されて笑われてばかりなんです」


 アイオーン組の生徒は、あの傲慢なグレゴリが自分の独断と偏見で集めた生徒達だ。高貴な身分のみを集め、傲慢の塊であるあの組で劣等生となれば、どれだけ酷いことを言われるか想像もつかない。


「私が笑われるのは良いんです。だけど、関係のない母様の事まで悪く言って笑われるのが耐えられないんです。たった一つ出来ないだけで……何でそこまで」


 彼女は拳を握り、零れ落ちそうな涙を必死に堪えていた。エミリアがハンカチを差し出して慰めている光景を見ながら考えると、少し腑に落ちない点が浮かんだ。


「リースだけって事はないと思うんだ。我侭な連中ってのは練習嫌いが多いし、君以外にも出来ない奴はいると思うんだけど」

「先生に袖の下を通して……攻撃するなと厳命されるそうです」

「はぁ〜……」


 全く……担任も屑なら生徒も屑ばかりか。何で彼女の様な娘がそんな所に入れられちゃったのやら。いや……それは後回しにして彼女の問題解決からにしよう。


「理由はわかった。それでリースは何が駄目だと?」

「『フレイム』です。何度やっても、火の玉が維持出来ず消えてしまうんです」

「適性属性は? あと、どれくらい出来るか知りたいな」

「適性は水属性です。中級までなら何とかなりそうで、回復が得意です」


 水に火か。相反する属性だから苦手という話は聞くが、初級なら少し頑張れば出来る筈だ。エミリアから努力している姿をよく見ると聞いているので、練習が足りないってわけじゃないと思う。


「やはり実際に見た方が早いか。外に出て見せてもらえるかな?」

「はい、お願いします」


 ダイア荘から出て、家の前の広場でリースの魔法を見せてもらった。

 まずは土の『アース』だが、彼女は特に問題なく使いこなし、彼女の前に小さな穴が無数に出来上がっていた。

 続いて風の『ウインド』は、前世の家庭用扇風機を最大レベルにしたような風が巻き起こる。適性属性でもないのにこれだけ使えるという事は、彼女はかなりの魔力量を持っているのがわかった。

 ちなみに風の適性があるエミリアが本気で『ウインド』を使えば、長続きはしないだろうがダイア荘が分解して吹っ飛びかねない風圧が出ると思う。

 そして適性属性である『アクア』だが……これが予想以上の強さだった。

 本来『アクア』は三十センチサイズの水の玉を生み出す魔法だが、彼女の場合は倍の大きさであり、空中操作も容易に行っていた。


「すげー! このまま飛び込んだら気持ち良さそうだな」

「すごいわリース。私こんな見事な『アクア』見た事ないわ」

「水属性だけは得意なの。怪我とかしたら言ってね、私が治してあげるから」

「素晴らしいな。じゃあ次は『フレイム』を頼む」

「わかりました!」


 リースは魔法を解除し、問題である『フレイム』の詠唱に入る。途中、彼女に『サーチ』をしてみるが魔力は完璧に循環しており、魔法の発動には全く問題が見当たらない。何度も唱えたであろう詠唱を完璧に言い切り、そして彼女は魔法名を告げた。


「『フレイム!』」


 しかし火は一瞬発生するだけで、煙を残して跡形もなく消えてしまった。

 彼女は膝をついて崩れ落ち、悲しい瞳のまま俺を見上げていた。


「これが私の『フレイム』です。何度やっても、何度やってもこんな……結果なんです」


 ついに堪えきれず彼女の目から涙が零れてしまった。エミリアは彼女の肩を抱きながら見上げ、レウスはまるで自分の事のように悔しげに俺を見つめていた。


「シリウス様……」

「兄貴……」


 二人は何とかしてほしいと懇願しているのだろう。

 エミリアはともかく、レウスは会って間もないのに本気で心配している。姉弟揃って、本当に優しく育ったもんだ。

 正直に言えば……原因は判明した。

 だが、それを言って良いものなのかがわからない。あまり公にする事じゃないし、このまま適性属性を鍛え続ければ、あるいは認められるかもしれない。


「何とかなりませんか?」

「見ていられないよ兄貴……」


 二人の視線が突き刺さって痛い。

 はぁ……本当に俺は弟子に甘い。覚悟を決めるしかないな。

 彼女が知っているのか、知らないのかはわからないが、周囲に人が居ないのを確認して切り込んだ。


「リース……君は、精霊が見えるんだね?」



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