表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
202/214

極限一刀


  ※※※※※ 注意 ※※※※※


 今回は7月28日から31日までの4日連続の更新となります。

 途中でこの作品の更新に気付いた方は、読み飛ばさないように気をつけてください。



 ――― レウス ※左翼 ―――




 皆に時間を稼いでもらい、自分が爆発するんじゃないかと思うくらいに集中させた魔力を一気に開放させると、体が燃えるように熱くなっていた。

 体中で暴れ狂い、今にも外へ飛び出しそうな魔力を気合で押さえつけていると、敵であるヒルガンが目の前まで迫ってきた事に気付く。

 けど、焦りはない。正直に言って歩くのがきつかったから、そっちから来てくれて寧ろ助かったくらいだ。

 そう思っていると、何故かヒルガンは剣を壁のようにして防御し始めるが、俺は構わず魔力と意思を剣へと込めながら振り下ろした。

 想像するは極限へ至る一刀。

 そして……剛剣ライオルが剣を振り下ろす姿。


「ぬりゃあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――っ!」


 自然と出た雄叫びと共に振り下ろされた剣は、地面まで深々と斬り裂いていた。

 あれだけ攻撃を受けても傷一つなかったヒルガンの剣が重なっていたのに、俺が振り下ろした剣は地面まで斬っても抵抗を一切感じられず、ただ空気を斬ったとしか思えなかった。

 空振りだったと勘違いしそうな感覚だったけど、それはないだろう。

 だって『剛破一刀流』の奥義……いや、真の奥義と呼ぶものを俺なりに放ったこの技は確実に決まったのだから。


「へ、へへ……何だよ、やっぱり見掛け倒しー…………あ?」


 何も感じなかったのか、馬鹿にするように笑うヒルガンが防御を解こうとした瞬間、六本の剣どころかヒルガンの肉体すら真っ二つになっていた。

 驚愕の表情を浮かべるヒルガンの肉体が二分されて左右に崩れ落ちていくが、すぐに俺は剣を放しながら一歩踏み出す。


「レウス!? 何をしてー……」

「ふぅ……」


 わかる。こいつはまだ、死んじゃいねえ。

 こいつがラムダの仲間なら、前線基地でジュリアが戦った偽ラムダのように心臓と同じような核が複数あってもおかしくないからだ。

 奴の体の中心から感じた嫌な感じは、今の技で斬った。

 後は左右に倒れていく左側の肉体……胸元だ。

 その一点を目掛け、残った魔力を込めた拳をぶちかます!


「シルバリオン……ファング!」


 この戦い方、過去に闘武祭で兄貴と戦った時と同じだな。

 あの時の兄貴は拳が当たると同時に後方へ飛んで、ガーヴ爺ちゃん直伝の『シルバーファング』の威力を半減させていたが、今度は違う。

 拳を当てて衝撃で撃ち抜く爺ちゃんのやり方ではなく、拳から放つ魔力を槍のように伸ばして一点を貫く技『シルバリオンファング』へと変えているからだ。これは姉ちゃんと俺の故郷を滅ぼした、ヒルガンと同じように剣が通じ辛い肉体を持つ魔物用に作った技だ。

 兄貴が、『れーざー』みたいとか言ってた魔力の槍はヒルガンの左胸に大きな穴を穿った後、二つの肉体……ヒルガンは地面へと崩れ落ちた。


「お、おお……やった……やったぞ!?」

「レウス殿がヒルガンを討ち取ったぞぉ!」

「全部隊と中央にも報告だ! 士気を上げろ!」


 周りの皆が歓声を上げて喜んでいるが、ちゃんとジュリアとキースに誰かが駆け寄っているので、とりあえず一安心かな?

 キースは気を失っているみたいだけど、まだ意識があるジュリアと目が合ったので、俺は感謝を伝えるように笑いかけた。二人がこんなにも頑張ってくれた御蔭で、俺は奴を斬る事が出来たんだからな。


「レウス、やったな!」

「ああ。皆の御蔭だな」


 気付けば馬がいなくなっているアルが歩いてやってきたので、俺たちは拳を打ち付け合った。

 集中している間は周りで何が起こっていたのかわからなかったが、アルは妙に泥だらけで剣も変わっているので、色々と頑張ってくれたんだろう。

 後でしっかり礼を言いたいから、何があったのか教えてもらおうとしたが、それよりも先にアルの方から質問をされた。


「しかしさっきのは凄い剣だったな。まるで剛剣が乗り移ったかのような剣だったよ。あれも剛破一刀流の技なのかい?」

「そうだけど、そうじゃねえとも言えるかな?」


 この戦いが始まる前日、俺はライオルの爺ちゃんとこんな話をした。


『なあ、爺ちゃん。前に見せてもらった『剛破一刀』、俺も使えるようになったぜ』

『何じゃ小僧。あんな児戯が使えるようになった程度で調子に乗るな。たわけが!』

『児戯って、未完成でもあれは奥義とか言ってなかったか?』

『ふん、確かにでかいのを斬る時は便利じゃが、あれはわしの目指す剣ではない。じゃから別の奥義を作ったわい』

『別の奥義!? それって一体……』

『そうじゃな。口で説明出来ぬから見せてやりたいところじゃが、今日はもう疲れる事はするなとエミリアに言われたからのう。次の機会を待つがいい』


 結局、その新たな奥義とやらは見せてもらってはないが、爺ちゃんの言葉から何となく予想はつく。

 そもそも爺ちゃんの剣は大きい相手を斬る為じゃなく、強い相手と戦いたい為だ。

 そして今の爺ちゃんが最も斬りたい……勝ちたい相手は爺ちゃんより小さい兄貴なので、魔力を使って刀身を伸ばすのは無駄だと考えたんだろう。

 だからその無駄に使っていた魔力と気合を剣だけでなく体にも込め、限界を越えた体で振るう剣で……斬る。

 とにかくそれが爺ちゃんの言う新しい奥義じゃないかと思い、俺なりにやってみたのがあの剣というわけだ。


「ふむ、聞いていた以上に深い流派なのだな。そういえば、さっき君自身が光っていたあれは何だったんだ? 今は消えているようだが……」

「何だそりゃ? 俺、光ってたのかよ?」

「あ、ああ。レウスが剣を振り下ろす少し前に、君の全身から銀色の光が溢れ出ていたんだ。あれは君の魔力なんだろう?」

「さあ? 俺はただ、貯めた魔力を爆発させていただけだからな」


 時間をかけて限界まで貯めた魔力が体中を暴れ回って辛かったけど、あの間は変身していた時よりも力が漲っていたような気もする。

 うん、考えてもよくわからないし後で兄貴に聞いてみればいいか。そう思いながら話を終わらせようとした時……俺の尻尾が急に逆立つ。

 それと同時に、俺たちを休ませようと周囲の魔物を相手にしていた兵士たちの大声が響き渡った。


「ほ、報告! ヒルガンが、ヒルガンが動き始めました! まだ生きています!」

「何っ!? 半身にされたのだぞ!?」

「落ち着け! ジュリア様、ここは我々にお任せを! 我々で一気に仕留めるぞ!」


 まだ右側の肉体に核が残っていたのか、片腕と片足だけで動いて左側の肉体にくっ付いて再生し始めているらしい。

 だが俺たちがいない事で皆も遠慮なく攻撃が出来るのか、兵士たちが一斉に矢や炎の魔法を放ち始める。

 更に大型の魔物……対ギガティエント用の大型の杭まで用意され、爆炎が晴れると同時に撃ち込もうと準備を進めているが、それよりも先にヒルガンが動いた。

 爆炎から魔物のように四つん這いで飛び出してきたかと思えば、そこにいた兵士だけでなく落ちていた魔物の死骸まで喰らい始めたのである。

 その間も槍や魔法による攻撃は続けられていたがヒルガンの食事は止められず、アルや部隊長が襲われないように距離を取れと指示を出したところで、ようやくヒルガンは立ち上がって俺へと向き直った。


「ぐふ……はぁ、さすがに今のはやばかったぜぇ」

「俺たちの事をしぶといとか言ってたくせに、お前はそれ以上だな」

「俺様はいいんだよ。つーかあの野郎、俺の知らないところで細工なんかしやがって。腹が立つと思わねえか?」


 奴がへらへら笑いながら叩いている右の脇腹、真っ二つにする前には何も感じなかった場所なのに、今は妙な感じがする。

 死ぬと発動する仕組みなのか……と、色々分析しているアルが何か呟いているが、とにかく回復したのならもう一度戦うしかねえみたいだ。

 奴が起き上がった時に地面から抜いた相棒を構えていると、隣で同じく剣を構えていたアルが驚いた様子で俺を見た。


「レウス!? その剣……いや、腕はどうした?」

「ああ、ちょっと無理し過ぎたみたいだ。でも、まだ行ける」


 俺と共に戦い続けてくれた相棒である大剣は、刀身の半ばから折れていた。

 手入れは欠かしていなかったけど、長い付き合いだからな。だから寿命だとは思うが、この感じだとさっき放った技に剣が耐え切れなかったのかもしれない。

 更に身体強化用の魔力を『シルバリオンファング』に回したせいか、技を放った左腕に相当な負担が掛かったらしく、先程から震えが止まらないので剣を上手く握れないのだ。

 折れた剣に満足に動かない左腕と、状況は悪くなるばかりだが、まだ戦えないわけじゃない。


「へへへ、そんな剣じゃあ、さっきのやつはもう使えねえだろ。それでもまだやるってのかい?」

「お前こそ、俺たちのより硬いとか言ってた武器が全部斬られてるじゃねえか」

「これくらい関係ねえよ。俺様の天王剣に武器は関係ねえんだ」


 食事を終えてから拾ったのか、俺と同じように刀身が半分になった六本の剣をヒルガンは構える。

 つまり剣から短いハンマーに変わったようなわけか。そうなるとこいつはもう完全に……。


「最初から思ってたけどさ、お前って剣士でも何でもないよな。そんなので天王剣とか名乗ってんじゃねえよ」

「うるせえ! 天王剣は俺自身だ! 役に立たねえ折れた剣で粋がるな雑魚がぁ!」

「剣は折れても、心が折れなきゃ負けじゃないんだよ!」


 兄貴と爺ちゃんに負け続けてきた俺の心が簡単に折れると思うな。

 それに心が折れてないのは俺だけじゃねえ。


「ふ……レウスの言う通りだな。私もまだ……戦えるぞ」

「悪い、ちょっと寝ちまってた。武器は駄目になったが、まだ親父譲りの拳が残ってるぜ」

「微力ながら私もだ。少しだだが、奴の動きが見えてきたところだ」

「「「我々もお手伝いします!」」」


 回復魔法を受けて何とか立ち上がれるようになったジュリアとキースも、やる気満々で俺の隣に立っていた。

 更にアルだけでなく親衛隊の皆も同じようで、俺たちの背後に並んでヒルガンを睨みつけている。はっきり言って、皆ただ強がっているとしか思えない程にボロボロだ。

 けれど、奴へ宣言したようにまだ負けじゃない。諦めるのは死んでからすればいいんだ。

 あの野郎の弱点である核の位置もわかっているし、皆で連携して戦えばいける!


「くそが! わざわざ雑魚共に合わせてやっていたら調子に乗りやがって!」

「合わせていたとか、余裕を見せていたのもお前だろうが」

「うるせえ、あの野郎の命令なんだよ! けどよう、ここまでされたらもう遠慮はいらねえよな。結局、戦いってのは何をやろうと最後に立っていた奴の勝ちだからなぁ!」

「じゃあ、僕も遠慮なく斬らせてもらいますね」

「ああ!?」


 突然、いる筈もない相手の声が聞こえたかと思えば、右翼方面の魔物たちの首が数体同時に飛ばされ、更に一つの影が高く飛び上がり上空からヒルガンへと迫ったのである。

 乱入者に驚きながらもヒルガンは武器で相手を叩き落とそうとするが、六本の武器による攻撃は全て華麗に避けられ、更に反撃までされて腕の一本を双剣で一閃されていたのだ。


「……あれ? 斬り落としたつもりだったんだけどな」

「この、小さい癖に生意気な!」


 怒るヒルガンの攻撃を再び避けて俺たち前に着地したのは、右翼で姉ちゃんと爺ちゃんたちと戦っていた筈のベイオルフだった。

 しかし今のは凄かったな。爺ちゃんに鍛えられた御蔭か、空中にいながらもあんなにも綺麗に避ける……って、違う。


「何でここにいるんだ? 右翼は、姉ちゃんたちはどうしたんだよ?」

「その辺りは長くなるので、後で説明します。ところで、あれが例のヒルガンという方でしょうか?」

「ん? ああ、あれがヒルガンだ」

「なるほど……」


 確かに姉ちゃんたちは気になるが、ベイオルフの様子からして酷い状況とは思えなかったので、今はヒルガンに集中するべきだな。

 ただ、初対面とはいえわざわざ敵の名前を確認するのは何でだ?


「おい、何をこそこそとしていやがる。特にそこの羽虫! 俺様の邪魔をして、ただで済むと思ってんだろうなぁ?」

「怒っているところ申し訳ないのですが、僕はもう貴方と戦えないので諦めてくださいね」

「意味のわからねえ事を言いやがって、まさか逃げる気か? 逃すと思ってんのかよ!」

「いえいえ。貴方とどうしても戦いたいという方が……」


「ぬりゃあああああぁぁぁぁぁ――――っ!」


 そこまでベイオルフが口にしたところで、先程と同じ方角から凄まじい雄叫びと破壊音が響き渡った。

 百を超える魔物が細切れになりながら吹き飛び、砂埃と瓦礫の向こうから現れた存在を確認したベイオルフは、ヒルガンに憐れみの目を向けながら続きを口にする。


「間違えました。貴方と戦いたい方ではなく、滅多切りにしたい方がいる……でしたね」

「小僧っ! 痴れ者はそいつか!」

「ええ、この方がヒルガンだそうですよ」


 ここまでくれば誰が……なんて説明するまでもない。

 数百に及ぶ冒険者や傭兵たちを引き連れたライオルの爺ちゃんは、異様に怖い笑みをヒルガンへ向けながら堂々と現れた。




「いいか小僧共! わしの獲物に手を出すなよ!」

「「「はい!」」」


 あの冒険者と傭兵たち、戦いが始まる前より素直になっていないか?

 しかもジュリアの親衛隊に負けない勢いと攻めを見せており、左翼の部隊と協力して魔物を次々と倒してくれるので、ヒルガンによって乱された部隊の陣形や士気が戻りつつあった。


「それで僕たちはルカと遭遇したのですが、彼女が中々厄介でして……」


 御蔭で俺たちにも余裕が生まれたので、親衛隊の人に回復魔法をかけてもらいながらベイオルフから右翼の話を聞いていた。

 向こうも激戦だったようだが、戦況の為に姉ちゃんを置いてきた話を聞くなり、ジュリアとアルがかなり動揺している。


「なっ!? エミリア殿が……義姉上あねうえが一人でだと!?」

「くっ……レウス、すぐに向かうかい? おそらくここはもう剛剣殿がいれば何とかなる筈だ」

「……姉ちゃんが大丈夫って言ったのなら平気だろ」


 リース姉とフィア姉の力を借りるような話もしていたし、何よりあの姉ちゃんが勝てない戦いをするとは思えない。俺たちは兄貴から生き残るという事をしっかりと叩きこまれてきたからな。

 というか、もし姉ちゃんがルカを倒したとしたら、今の俺たちって凄く情けなくねえか?

 四人掛かりで挑んで追い込みはしたものの、結局爺ちゃんに頼るのはどうかと思う。

 だから俺が姉ちゃんをあまり気にしていない事と、爺ちゃんに甘えているという事を皆に伝えれば、目が覚めたかのようにジュリアとキースが目を見開いていた。


「確かに……な。我々は負けていないと、先程口にしたばかりではないか」

「だな。散々あれで殴られた借りを返してねえし」

「その気持ちは僕もわかりますよ。ですが、問題はあの人が止められるかどうかですね」

「わ、私としては、これ以上皆の怪我を増やすのは……」


 ちなみにこうしてゆっくりと会話が出来るのは、ヒルガンが爺ちゃんの姿を見るなりずっと固まっているからだ。

 恐れているのではなく、大好きな人をようやく見つけたかのような喜びに満ちた目をしており、互いが残り数歩分の距離になったところでヒルガンは笑い始めた。


「ふ、ふへへ……ラムダから聞いているぜ? てめえが、てめえがあの剛剣だな?」

「…………ふん」

「だんまりかよ。まあいいや、それじゃあ俺と殺り合おうぜぇ!」


 そして碌に返事もしない爺ちゃんへと迫りながら六本の剣を振るってきたので、爺ちゃんは迎撃するように剣を振るってぶつけていた。

 すると俺たちの時より遥かに大きい轟音が響き渡り、その凄まじさは衝撃波さえも生み出して敵味方に被害を出す程だ。

 そんな化物のような二人の力比べだが、最終的に押し負けて弾き飛ばされたのは……。


「うおらあああああぁぁぁ――――っ!」

「ぬう!?」


 驚いた事に爺ちゃんの方だった。

 戦いにおいてほとんど地から足を離さない爺ちゃんの体が僅かに浮き、こちらに向かって飛ばされてきた爺ちゃんだが、両足で地面を砕きながら踏ん張り俺たちの前で止まった。


「は、うはははははぁ! やっぱりだ! 俺様の力は……剛剣を超えたんだぁ!」

「剛剣殿!? 私も助太刀します!」

「爺さん、俺も手伝うぜ!」


 剛剣が力負けしたという状況に誰もが驚愕し、ジュリアたちが加勢すると騒ぎ始める中、俺は何か違和感を覚えていた。

 あの爺ちゃんが弾き飛ばされたのは本気で驚いたけど、何か様子が変じゃないか? 普段より大人しいというか、別の事を気にして本気で剣を振るっていなかった気がする。

 そんな事を考えながら相変わらず大きいその背中を眺めていると、爺ちゃんは顔だけ振り返り、俺が持つ折れた剣を見ながら口を開いた。


「その剣……耐えられなかったか?」

「お、おう。ずっと俺を助けてくれた剣なのに、こんな事で情けねえよ」

「ふん。未熟者じゃな」

「そのような言い方はお止めください! 確かに貴方に比べればまだまだですが、レウスの剣は多くの者を救った素晴らしい剣なのです!」

「たわけ。未熟者なのは、その剣を打ったあの爺の事じゃ! 小僧の成長を見極められず、技に耐えられぬなまくらを作りおってからに」


 いや……え?

 未熟だと怒られても仕方がないと思っていたのに、何でそんなにも穏やかな目で俺を見ているんだ?

 それに、俺の技に耐えられないって……。


「さっきの剣、見たのか?」

「見えるわけがなかろう。じゃが、見なくともわかる。わしの魂を震わせる一撃を小僧が放ったとな」


 魔物が壁になって見えなかった筈なのに、爺ちゃんにはあの剣を感じたらしい。

 どういう事だとアルとキースは呆気に取られているが、ジュリアとベイオルフだけは納得するように頷いていた。

 普段からは考えられない態度に俺が困惑していると、顔を正面に戻した爺ちゃんは剣を構えながら背中越しで語り続ける。


「じゃから、今度はわしのを見せてやろう。小僧はそこで大人しくしておれ」

「こ、こんな状況で大人しく出来るかよ! 力で負けた癖に強がってんじゃねえ」

「やかましいのう。機会があれば見せてやると言ったじゃろうが。じゃからわしのを見て更に強くなれ……レウスよ」

「ふざけー……」


 あれ……今、俺の名前?

 爺ちゃんが相手の名前を呼ぶのは、心から認めた相手だけで……まさか?

 何だよ。この爺ちゃんは兄貴に近づく為の踏み台なのに、倒す相手なのに、何でこんな……。


「う、うるせえな! 見るなら隣でもいいじゃねえか」

「ええい、邪魔だと言わんとわからんか! 先にお主を斬るぞ!」


 ったく、むかつくけどやっぱりいつもの爺ちゃんだな。

 でも何か気が抜けたというか、ああなったらもう止められないので、もう俺は大人しく爺ちゃんの戦いを見守る事に決めた。

 俺たちのやり取りに皆も様子を察して諦めたようなので、俺たちは歩き始めた爺ちゃんの背中を静かに見送る。

 その頃、力で勝てたのが嬉しくて長々とはしゃいでいたヒルガンだが、爺ちゃんが再び近づいてきたところでようやく笑うのを止めた。


「勝てる……今の俺様なら勝てる! ここで剛剣を殺し、俺が世界最強の剣士になるんだぁ!」


 俺はあまり興味はないけど、あいつは最強という称号に憧れていたのかもしれない。

 エリュシオンの学校にいた頃、自分の強さに限界を感じて絶望し、傭兵になって悪い事を平然と出来るようになった男を俺は知っている。

 きっとヒルガンもその傭兵と似たような感じで、諦めていた時にラムダと出会って力を貰ったのかもしれない。兄貴がいたなら、人の身を捨ててまで強さを求めた男の末路……とか言っていただろうな。

 どこか哀れとも言える男は心の雄叫びを上げているが、爺ちゃんはいつも通り剣を構えるだけだった。


「御託はいいから、さっさとかかってこぬか」

「へへ……勝つのは、俺だぁ!」


 そして再び互いの剣がぶつかり合い、力と力による押し合いとなった。

 しかし今度は爺ちゃんも本気なのか力は互角であり、互いの剣が擦れて火花が散っている。


「ぬおおおおおぉぉぉ――――っ!」

「おああああああぁぁぁぁ――――っ!」


 そして同時に剣を戻したところで、今度は手数で攻めようとヒルガンは六本の剣を自在に動かしながら爺ちゃんへと襲い掛かる。

 しかし一撃が軽くなった分、爺ちゃんも剣を速く動かせるようになったのか、六本の剣を全て正面から受け止めていく。

 剣を極めし者と、強さを求め人を捨てた者による正面からの殴り合いはしばらく続いたが、あまりにも激し過ぎて目が離せずそれに気づくのが遅れてしまった。

 ヒルガンの背後から密かに近づいていたのか、地を這っていた細長い蛇のような魔物が飛んで爺ちゃんの片腕に絡んだのである。


「むっ!?」

「うひゃはははぁっ!」


 蛇の魔物は爺ちゃんが腕を動かす勢いで剥がれたようだが、その僅かな違和感が達人同士では致命的な隙となり、ヒルガンの武器が爺ちゃんの肩に直撃してしまったのである。

 あの笑い方……絶対あいつがやりやがったな!

 俺たちが怒りの声を上げる間もなく、肩の一撃で大きく横へ体勢を崩した爺ちゃんは何とか踏み止まってはいたけど、その隙を逃さずヒルガンは残った五本の剣を振り下ろしていた。


「勝てばいいんだー……」

「……ぬうあっ!」


 だが、そんな状態でも爺ちゃんが強引に振るった剣は、迫る五本の剣どころかヒルガンさえも弾き飛ばしていたのだ。

 あんな不利な姿勢で押し勝つなんて、一体どれだけ馬鹿力なんだよ?

 渇いた笑いすら漏れる俺たちと同様にヒルガンも驚いたようだが、すぐに肩へ一撃を食らわせた事を思い出したのか笑みを浮かべていた。

 頑丈な肉体の御蔭か、遠目からすると爺ちゃんは打ち身だけで骨が砕けているような様子はなさそうだ。けど、剣への影響は大きいだろう。

 あの野郎と違ってすぐに怪我が治るわけではないので、徐々に追い詰められつつある状態なのだが、そこで不意に爺ちゃんは呟いた。


めじゃ」

「……ああ?」

「「「「は?」」」」


 その言葉にヒルガンだけでなく俺たちも間抜けな声が出ているが、爺ちゃんはつまらなそうに溜息まで吐く。


「わしと打ち合える者は久しいから、少々付き合ってやったが……もう飽きたわい」

「な……ああ!?」

「よいか。わしはのう、強き剣士か戦士と戦いたいのじゃ。お主のような魔物とは数え切れぬ程やってきたから、すぐに飽きるんじゃよ」

「魔物と一緒だと!? 俺様の天王剣が魔物なんざに使えるとー……」

「その程度でか? わしからすれば、借り物の力で玩具を振り回す餓鬼のようにしか感じぬわい。そもそもその程度の技で剣士のような事を口にするな、このたわけが!」

「か……ぐ……」


 名声を含めて明らかな実力者によるど直球過ぎる言葉に、ヒルガンはまともな返事が出来ないくらい怒り狂っているようだ。

 まさか挑発で相手の隙を誘って……んなわけないか。言いたい事を隠すような爺ちゃんじゃねえからな。

 それと、止めるとはこの戦いを終わらせるという意味もあると思うので、一体何をするのかと見守っていると、隣のベイオルフが何かに気付いて声を上げた。


「あ、終わらせる気ですね。あれを使うようですから」

「あれって、もしかして前に聞いた奥義の事か?」

「ええ。名前は『剛破一閃ごうはいっせん』。敵に向かって使うのは、まだほんの一、二回でしょうか?」


 どんな奥義なのかと胸を弾ませていると、爺ちゃんは普段と同じ構え……剣を天高く掲げる上段の構えを取った。

 そこまではいつも通りだが、急に雰囲気が変わり、爺ちゃんの姿がヒルガンよりも遥かに大きくなったように感じたのだ。


「これは……さっきのレウスと同じ?」

「何という気迫だ。武者震いが止まらないじゃないか」


 あの時の俺と違って爺ちゃんの体から光や魔力が出ていないそうだが、周囲の魔物が恐怖で離れ始めている点は同じらしい。


「この……爺がぁ!」


 一方、怒りで冷静さを完全に失っているのか、あるいは俺ので慣れたせいなのか、ヒルガンは本能すら捻じ曲げて爺ちゃんへと迫っていた。

 そして爺ちゃんの剣が届く範囲に入った瞬間……ヒルガンの左腕の一本が宙を舞った。


「……ぬかったわ」


 は、速い!? 俺たちには爺ちゃんの手元がぶれたようにしか見えなかった。

 でも、何で俺みたいに体を真っ二つにしなかったんだ? しかも失敗したような事を呟いているし、手元でも狂ったのか?


「おお……あの御方は、どれだけ私の予想を上回ってくれるのか。素晴らしい!」

「あの爺さん、あれで肩を殴られたよな? それであれって、どういう体してんだよ」


 しかし一番驚くところは、剣を振り終わった爺ちゃんが、気付けば元の構えに戻っている点だ。

 そんなの当たり前だとは思うけど、極限の一刀とも言えるあの技を放とうとすれば、剣だけでなく体への負担がとんでもなく大きい。だから俺も魔力で破裂しそうなくらい体を強化したし、消耗も激しいから一度振り下ろすのが限界だった。

 それなのにもう一度構えているという事は、爺ちゃんはこの技をまだ放てるというわけだ。それは正しかったようで、腕の次は別の手の指を斬り落としている。

 腕の一本の時点で突撃を止めなかったヒルガンであるが、予想を遥かに超える攻撃の速さで冷静になれたのだろう。

 すぐに止まって一旦距離を取ろうとしていたのだが……。


「あがぁっ!?」

「……どこへ行く」


 地を蹴ろうとしたヒルガンの足首を斬り飛ばし、動きを封じる。

 倒れた勢いで多少離れられても、その程度なら爺ちゃんは地面を滑るように移動して詰めた。一切足が浮いていないのに速いので、傍からすると気持ち悪い動きに見えなくもない。

 そして相手が顔を上げるのを待ってから、爺ちゃんは更にヒルガンを斬り刻んでいった。爺ちゃんならすでに気付いているであろう、脇腹の核をわざと避けながらだ。


「レ、レウス。そろそろ……じゃないかな?」

「止まるかな?」


 正直に言って……俺たちは若干引いていた。

 まるで拷問のように指から腕へ、足から太腿へと体の中心に向かって徐々にヒルガンの体を斬り落とす爺ちゃんの姿を見ていると、もうどちらが敵なのかわからない。


「止めましょう。今回は絶対に無理ですよ。だってあの人、言ってたじゃないですか」

「あ……」


『そうか……そうか。その阿呆は腕と足だけでなく、指から斬るとしよう』


 言った……ヒルガンが姉ちゃんを狙っていたという話を聞いた時、確かに爺ちゃんはそう言った。

 え、それを本気で実行していると? さっき失敗したような事を呟いたのも、まさか指じゃなく腕を斬ってしまったから?


「もう何も出来そうにないな」

「ええ。諦めが肝心ですよ」


 実際は言い寄られたくらいで、あいつは姉ちゃんに触れてすらないんだけど、爺ちゃんにとっては汚らわしい目を向けただけで許せなかったらしい。

 色んな意味で大きいのか、小さいのかわからない爺ちゃんの暴走は止まる事を知らず、俺たちはただ見ている事しか出来なかった。


 その後も爺ちゃんの一方的な攻めは続くが、当然ながらヒルガンも抗おうとしていた。

 斬られた腕を拾ってくっ付けたり、斬られる覚悟で強引に爺ちゃんに組み付こうとしていたが、その抵抗も爺ちゃんの剣の前では全て無駄に終わった。

 最後には両足と六本もあった腕が全て斬り落とされしまい、そこで遂にヒルガンは観念するような声を上げたが……。


「もう止めー……」

「ぬりゃあああああああああぁぁぁぁぁ―――――っ!」


 脇腹の核を斬られ、その言葉を最後まで口に出来ず黙る事になった。

 まだ他に核があって生き返ろうにも、勢いが止まらない爺ちゃんがヒルガンの体を更に細かく斬り刻んでいたので、さすがにもう復活は出来ないだろう。


「誰か、あの肉片を焼却しておけ。なるべく近づかないようにな」

「はい!」


 念の為ジュリアが指示を出して、肉片の塊となったヒルガンは炎の魔法で完全に燃やされた。

 辛く苦しい戦いだったが、今度こそ……終わったな。

 何だかんだで美味しいところは爺ちゃんが全部持って行った気がするけど、優先目標だったヒルガンを倒せたのだから良しとしよう。

 ヒルガンが消えた事により、動きが変わった周囲の魔物たちは兵士の皆が押さえてくれるそうなので、俺たちは少し落ち着いて休む事が出来そうだ。


「勝った……な」

「ああ。己の未熟さは悔しいが、今はヒルガンを倒せた事を喜ぶとしよう。この戦いは私個人のものではないのだからな」

「さすがに、最後はやり過ぎだと思いますけど」

「気にすんな。俺はよく知らねえが、あの野郎は相当酷い事をやってきたんだろ? その罰を受けただけさ」


 キースの言う通り、同情する必要はない。

 ラムダに改造されたせいとはいえ、欲望のまま暴れ回るあいつが生きていたら更に多くの犠牲者が生まれていただろうし。

 気持ちを切り替え、休みながら武具や己の状況を皆で確認し合っていたが、俺たちの消耗は予想以上だった。


「剣は折れちまったが、まだ使えそうだな。そっちはどうだ?」

「私の剣は大丈夫そうだが、体が言う事をきかん。でも馬上であればまだ戦えると思う」

「俺の武器はもう駄目だ。適当なのじゃ軽過ぎるし、しばらくは殴るしかねえな」

「確認してきたぞ。乱戦で部隊全体の損害が大きいが、士気は高いままだし、剛剣殿が連れてきた部隊と合流した御蔭でまだ戦えるとは思う」


 武器と体力が心許ない状況だが、一度下がって補給を受けようとは誰も口にしなかった。

 何故ならヒルガンを倒しても爺ちゃんの興奮は冷めず、そのままの勢いで周りの魔物を斬り飛ばし続けているからだ。ベイオルフもそれに加わっており、はっきり言って俺たちの出番が必要ないくらいの勢いで殲滅している。

 なら怪我人と俺たちだけでも戻ってもいいのかもしれないが、落ち着いて戦場を見渡した限り、休んでいる暇はなさそうだ。

 これまでヒルガンに集中していたので気付かなかったが、戦いが始まる前にはなかったものが、敵陣中央の奥深くに生まれていたからである。


「途中、ラムダの妨害があったが、それも途中から止まっていたな」

「つまり、あれがその理由ってわけかよ」


 戦場のどこからでも見えるそれは、山のように大きいギガティエントよりも巨大な樹だった。

 異様なのは大きさだけではなく、その樹から無数の触手が生えていた。

 そしてその触手が何かと戦っているように滅茶苦茶に動き回っているのだ。

 植物という関係からラムダの仕業で間違いないだろうし、爺ちゃんがここにいる以上、あんなでかいのを相手に戦えるのは一人しかいない。


「戦っているんだ……兄貴が!」


 消耗した俺たちが行ったところで何も出来ないかもしれないが、だからって遠くから眺めているだけなんて出来る筈がない。

 皆も同じ気持ちらしく、俺たちは休憩もそこそこに兵士の人たちが連れてきてくれた馬へと乗ったのだが、とある問題に気付いたアルが歩き出そうとする俺たちを止めた。


「ちょっと待った。剛剣殿はどうするんだい?」

「もう放っておいていいんじゃねえのか。だってあの爺さん、まだ止まりそうにないぜ」

「そうはいかん。剛剣殿の力は必ず必要となる。何とか方角だけでも誘導出来ればいいのだが……」


 俺たちの中で一番付き合いの長いベイオルフによると、俺の成長が嬉しくて気持ちが中々静まらないのでは……とも言っていた。少し気恥ずかしいが、本当にそうであれば嬉しく思う。

 ただ、このままだと本気で爺ちゃんを置いて行く事になりかねないのでジュリアが困っているようだが、それもすぐに解決しそうだ。


「レウス! 皆さん! ご無事でしたか?」


 魔物を掻き分けながら突如現れた部隊の中に、笑みを浮かべる姉ちゃんの姿があったからだ。

 向こうも激戦だったようでかなり疲れているようだけど、姉ちゃんは無事にルカを倒せたようだな。


「おお!? 無事だったか。エミリア殿が来てくれたのならば、剛剣殿も落ち着くだろう」

「しかも右翼の部隊まで。これだけ揃っているのであれば十分行けるぞ!」


 ルカとヒルガンを倒した今、優先目標である敵はラムダのみ。

 フィア姉のいる中央の部隊も順調に進軍しているようなので、俺たちが進む先は一つだけだ。

 

「よし! 皆、兄貴の下へ行くぞ!」

「「「「「おおぉ―――っ!」」」」」


 思わず俺が号令を出してしまったが、皆は当然だと言わんばかりに応えてくれた。

 多くの雄叫びが重なり、士気も最高に上がったところで、俺は手綱を握り馬を走らせるのだった。





おまけ 剛破一刀流の奥義について




剛破一閃ごうはいっせん


 回避能力の高いシリウスに勝つ為に、剛剣ライオルが編み出した剛破一刀流の奥義。

 相変わらずただ剣を振り下ろすだけだが、対象の防御、斬る際の抵抗を全て無効化する剣を光速で放つ。


 ライオルは肉体を魔力で極限まで高めているので、その魔力が尽きるまでは素振りのように何度も使える。ただしそれなりに疲れるし、戦いが面白くなくなるので滅多には使わない。

 実のところ、これは技というより『能力強化ばふ』のようなものに近かったりします。

 ゲーム的な表現だと、発動すると数ターンの間……『全能力三倍』『防御無視』『攻撃力四倍』みたいな感じですね。


 わからない方もいると思いますが、例えるなら……某少年が跳躍する週刊誌に載ってた、さすらう剣客が使う、天を飛ぶ竜が閃く技を、上段振り下ろしバージョンで連発出来る感じです。逆にわかり辛いかな?

 まあ、物語がもっとぶっ飛んでいた内容だったら、間違いなく次元や空間を断てるような剣になっていたでしょう。




銀牙一刀ぎんがいっとう


 今回、レウスが使った技。

 本編では名前をまだ付けていませんが、いずれ『銀牙一刀』と名付けられる予定です。ネタばれ? いやぁ……そこを書くかどうかわかりませんし、忘れそうなのでとりあえず公表しようかな……と。

 ライオルの『剛破一閃』とほぼ同じだが、ライオルの生き様をヒントに、レウスが自分なりに答えを出して開発した技なので、別の名前を付けて使うようになります。

 最後まで教わっていないのに、何だかんだで剣の師と同じ技に至ってしまうレウスでした。


 この技を使う際は、魔力を集中させる為に無防備な状態をしばらく晒すだけでなく、消耗が激しいので今のレウスでは一振りが限界です。

 一見すると『剛破一閃』の下位互換に見えますが、レウスはまだ成長途中であり、更にシリウスによる特殊な鍛え方をしているので、まだまだ伸び代がある技なのです。

 ただ、加減が出来ず一発に力を入れ過ぎているという面もありますので、一発の攻撃力ではこちらの方が上だったり。

 とはいえ、どちらも切断という面では極限レベル……つまりオーバーキル(行き過ぎ)状態なので、あまり意味がなかったりします。


 そしてレウスの体が銀色の光を放っていたのは、体内の魔力が完全に留め切れず漏れているからです。ライオルは魔力を完全に体内で留めているので光りません。

 ちなみに、この時のレウスは変身していた時より強くなっています。

 これもまたわからない人もいると思いますが、竜の玉を集めるアニメに出た、スーパーな野菜人四みたいな感じですね。変身時の力を人の身に濃縮させている……そんな感じ。





※以下、ちょっとした小話


 剛剣、遂にレウスにもデレる。

 普段の接し方は圧倒的に違えど、エミリアだけでなくしっかりレウスも大好きなお爺ちゃんなのでした。


 しかし今回のライオル、弱い者いじめみたいに相手を滅多切りしている悪い面が出ておりますが、彼はそもそも正義の味方ではないのでやる時は徹底的にやります。

 まあ、ヒルガンは外道でもあったので、相応の罰があってもおかしくないでしょう。でも、もっとヒルガンのクズっぷりを出すべきだったかなとも思っています。


 そしてレウスたちが散々苦戦したヒルガンが、ライオルを相手にするとあっさり終わった点ですが、これはあくまでレウスがメインであり、ライオルはおまけ話な感じで作っていたからです。

 それでもライオルが目立っていますが、そこはもうそういうキャラだからという事で何とか……うん。




 というわけで、連日更新はここで終わりとなります。

 最近は執筆の進みが異様に遅く、何を書いても上手く表現出来ず頭を悩ます日々です。

 そんな状態で更新したわけですが、ぶっちゃけますと今回の連日更新は、書籍の関係で一気に書く必要があったからです。

 ネタが浮かばず、気分を変えようとあれこれやりたい事をしていたら、時が進むのが早いのなんの。もう完全に夏休み最終日の宿題状態でここまでは書きました。

 本当はシリウスとラムダの決戦までやりたかったのに、弟子たちの活躍はきちんとしないと駄目だと思っているのでかなり長くなってしまい、ここで区切る事になったのです。


 次はいつの更新になるかわかりませんが、ここまで読んでくださっている皆様、時々でいいから更新状況だけでも確認してやってください。

 それではこの辺で。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] もはや人の身で放つ対城宝具
[一言] まぁライオルって別に聖人じゃないですもんねー いい人ではありますが 連続更新お疲れさまでした!
[良い点] 連続更新お疲れ様でした。 [気になる点] つまりライオルは 『千両役者』 [一言] おまけで出てきても 主役を食っちゃうお爺ちゃん。笑
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ