↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
42/42

42_ホーリーレイの習得

ちょうど周辺含めた地名がある程度、出そろったのもありまして実質的な前日譚になる「星の降る夜」という短編を別作品として投稿しました。

繋がりはありますが、毛色が少し違うため別投稿をしております。

あちらで登場するシュナーノヴィアーナは本編にも後程、登場します。(結構先になってしまうと思います・・・)

ぜひ一緒にお読みいただければと思います。


また、こちらは極力残酷な表現を行わないように執筆しておりますが、星の降る夜の方は少しだけですが残酷な表現が入っていますのでご注意いただければと思います。

 とりあえず神聖属性の変化ができるようになったということでバッキーの教会にきた。色々情報収集もしたい。


「というわけでさ、わたしも神聖魔法が使えるようになったんだよ。ほらほら」

「ウッキー! 私が死ぬ気でやり遂げたあの修行の日々は何だったんですか!返してください!キャッシュで!」

「ドルントみたいな鳴き声するなよ。だいたい、大した修行もせずできるようになった天才です(笑)とか言ってただろ。ま、私の方が天才だったけど」

「ウッキキー! ずるいです!ずるいです!私だってカッシュで美味しいお酒と高級ステーキ食べたかったです!補填してください!キャッシュで!」

「土産やっただろ、というかワインのボトルをそんな赤子を抱くみたいに大事に抱えながら言われても何も説得力ないぞ。つーか、こないだはお酒券でもいいとか言ってたのに、今日はキャッシュがいいのかよ」

「現ナマが一番万能ですからね」


 これまでの礼も兼ねてスパークリングワインを一本渡してやったらそれだけで上機嫌なようだ。


「まあまあ、冗談はそれくらいにして、これで基礎は完了だろ? 次のステップに進みたいんだけどアドバイスくれよ」


 そう、なにも単純にお土産を渡しにきただけ、というわけではない。

 狙いは二つ。属性変化ができるようになった後はどうやって神聖魔法を身につけていくのが効率的なのか教えてもらうこと。それから聖職者が魔物と対峙する時の装備についての確認だ。


「もう1本・・・」

「ん?」

「もう1本、ワインを希望します!」

「はぁ、お前のことだろうから、そう来ると思ってな。ネイア」

「はいはい、どうぞ」


「これも高級なやつじゃないですかー!! お嬢様! 一生ついていきます!」

「いや、ついては来なくていいから、さっさと教えてくれよ」


 バッキー曰く、属性の変換ができるようになった後に最初に訓練するのは聖水作りらしい。

 変換した魔力を他の物に馴染ませるというのが浄化の基本らしく、特に水は溶かしやすいそうだ。そこからさらに派生して物を浄化する。これによってアンデッドの発生を抑える魔道具や、それこそ魔物避けの魔道具みたいなものでも使えるんだとか。

 さらには装備品にも神聖属性を付与することで一部の魔物には特攻にもなるとのこと。ここまで聞くと神聖属性の魔法って万能じゃん、なんでマイナーなのってなるが、現実はそれほど利用の場面はないらしい。


 そもそもこの辺はアンデッドがでない。出るとすれば墓地のような霊魂が集まる場所や遺体が依り代になって、ということだが、このご時世、そういったことはきちんと管理されているし、例えば冒険者がダンジョンと呼ばれる魔物が多い地域で魔物を倒しても、ダンジョンのような魔力の高い土地だと遺体はすぐに土に吸収されるらしく、ちゃんと埋めるとアンデッドになることは稀らしい。このような事情から実用という面でメリットが少ないことや、才能の選別でもなかなか厳しいらしく、南側のようにアンデッド出現場所が近くにあるような切羽詰まった場所や信仰の厚い国以外での成り手は少ないそうだ。


 さらにいうと別に神聖属性じゃなくても魔物は倒せる。なんなら聖水はストックできるからそれを使う方が手っ取り早いこともあって魔術師という括りだとエレメンタルの攻撃魔術、いわゆる炎とか氷とかのやつが主流になっているそうだ。


「とは言っても、使えるようになるまでが大変というのもあって、使えるとこれがなかなか便利ではあるんですよ。特に聖水は飲んでよし、撒いてよし、塗ってよし、さらには物にぶちまけても一時的に神聖属性にすることもできたりするので、重宝するんです」

「そういや、入り口でも売ってるくらいだもんな」

「教会全体で売値が決められていなければもっとつり上げられるんですけどねぇ。別に製作者の私に割合で入ってくることもないですし・・・」


「あ、あれって売り上げの一部がシスターバッキーにいってるんじゃなかったんだ」

「私の懐に入っていたら、今頃お金持ち!って言いたいところですけど、瓶の原価が高くて大して利益ないんですよね」

「さっきの話だと聖水って利用頻度高そうだけど、ここで買ってるやつ見てないぞ」

「それはそうですよ。色んな所に大量に卸してますから普通に道具屋で買った方がポイントがつきますし、わざわざ聖水だけを買いにここにはきませんね。この直売所で買えば使用期限は気持ち長いですけど、元々長いですから誤差みたいなものです」

「そんなもんか」


 実際、使用期限というと聖水を作った直後から徐々に効能が霧散してしまうらしくバッキーがいつも作ってるバケツにいれたままだと半日から1日くらいで普通の水に戻るそうだ。

 それが専用瓶に封入すると開けなければほぼ無期限らしい。それでも瓶の物理的劣化なども想定し、通常は製造日から10年と目安に卸しているそうだ。

 瓶は魔力の霧散を遮断するために魔物の素材が練りこまれているもので、そのせいで値段が高いらしい。ただ、聖水をケチるとリスクがあるということで教会全体として利益率が設定されていて値段を勝手に変えられないんだと。


「まあ、聖水についてはだいたいわかったよ。じゃあ、神聖属性の攻撃魔術のやり方を教えてくれ」

「いや、だから話聞いてました? 聖水ですよ聖水、まずは聖水を作れるように訓練なんです。簡単そうに見えたかもですけど、あれだって大変なんですよ! 水は神聖魔法と相性がよくて溶けやすいからどんどん溶けて魔力が無駄になるんです。適当に混ぜるだけだと魔力が溶けても馴染まずに霧散するから粗悪品になって効果がでません、綺麗に馴染まないときちんとした聖水にならないんですよ。そもそも何度もやって最適化ができてないと無尽蔵に溶けるのでビックリするくらい魔力を使うんです。半年は最適化の練習も兼ねて聖水作りからですよ」


 そうは言うが、この後のわたしの計画を考えると攻撃魔法については確実に一つだけでも先に覚えておきたいのだ。


「こないだ見せてくれたホーリーレイでいいよ。聖水の方は暇なときに練習しておくからさ。ただ混ぜるだけだろ。先にホーリーレイ教えてくれよ」

「ダメです。順番通りにやらないと覚えるの難しいですし、役に立つ順番っていうのがあるんです」


「ネイア、あれを」

「はぁー、はいはいこれですね」

「先に言ってくださいよ。いつでも教えてあげます!」


 袋から三本目のワインがでてきたらこれだよ。こいつの扱い方がだんだんわかってきた。

 とはいえ、実際覚えれるかは微妙なところだと思う。


 ラングインの言っていたロック状態、あれは状況から考察してもほぼ間違いない。そして模擬戦ではダメだったことから魔物を倒すか、身体的成長を待つというのが今後頻繁に必要になってくると思われる。そうなった場合、身体的成長を待つという選択肢はなしだ。成人して少しくらいで魔力成長も止まるという話だったが、あまりに時間がかかりすぎるし、どのくらいまで成長できるのかも不透明だ。

 となると手っ取り早いのは魔物を倒すこと。


 こないだはたまたまクソザルにブチ切れて倒すことができた。ただ、あれは偶々できたことにすぎない。シャチが私の水魔法のことを事前に知っていれば、私が追いかけようとした時点で止められていただろう。


 そう、子供のわたしが魔物を倒すと言った所で危ないからと止められて終わる。許されるのはせいぜい、その辺で跳ねているパルーンを倒すくらいだろう。しかしスライムと言えば雑魚モンスターの定番だ。たぶん経験値1とかだろう。それだといつになってもレベルアップできない。

 じゃあ、どうするかというと魔法で後ろから狙撃して安全圏から倒す。弓矢なんて使ったことがないから絶対無理だしこれしかない。

 どうせ攻撃魔法はどこかで覚える必要があるのだ。それであれば先に攻撃手段を確保しておいて魔物を倒してレベルアップしてから補助魔法を使えるようにしていけばいい。


 しかし、今すぐ覚えられるかどうかというと賭けだ。こないだのドルント一匹でどれくらいレベルアップしたのかわからないが、今の魔力量で使えるようになるのはどこまでなのか、神聖属性の変換までで、またロックになっている可能性が高いんじゃないかと思っている。できれば一つでいいから攻撃魔法を覚えたいので、聖水の方を修行する余裕はないのだ。


 前回同様に墓地前の広場の方に移動して教えてもらう。


「ホーリーレイはアンデッドを浄化するというより、魔力を単純にぶつける攻撃魔法です。結果として魔力が神聖属性を帯びているというだけなので、多分他のエレメンタルの魔法とあまり変わらないと思いますよ。ターンアンデッドやさらに上位の魔法だとアンデッドに対する浄化の意識が必要なので一気に難易度があがりますけどね」


 そう言うとバッキーは前見た時のように手のひらに神聖属性の魔力を集中させる。


「とりあえず一回見せますね。ホーリーレイ」


 ピュンと空に向かって魔力砲撃が放たれた、前回見せてくれたのよりはかなりおとなしい威力になっている。


「最低ラインがこんなものですかね。お嬢様は魔力制御はできてるみたいなので、同じように手の平の上に魔力を集めてみてください」


 そう言われて手のひらにの上に魔力を集める、色もちゃんと白くなっていて神聖属性の変換はうまくいっているようだ。


「最初なので、呪文をきちんとやりましょう」


 そういえば呪文とかあったな。確かゴブリンでもわかる教科書だと、魔法を最適な形で形成するために研究されたプロセスとかだったかな。とりあえず初心者はイメージできないから呪文からやるんだとか。


「復唱してくださいね。聖なる白よ、ここに我が祈りを紡ぎ敵を撃て」

「聖なる白よ、ここに我が祈りを紡ぎ敵を撃て」


 一応イメージしながら手のひらを空に向けて詠唱した。なんとなく、魔法が発動しそうなむずむずがある。


「ホーリーレイ!」


 プシュー


 結果ダメだった。出そうな感じがあったがシューっと手のひらに集めた白い魔力は霧散していった。


「おおー、やっぱりすごいですね。できてますよ」

「どこがだよ、全然ビームになってないぞ」

「いやいや、発動しただけもすごいんですって、魔力が放出された時点で発動自体はしかかってますから!」


「ここからはどうすればいいんだ」

「どうするも何も訓練ですね。発動できるっぽいですから、何度もやってちょっとずつ慣れるしかないと思います。あ、やるときは相手を思い浮かべるのがいいですよ。憎い相手を思い浮かべておりゃーって!」


 一応アドバイスももらって、その後も2回やったが結果は同じ、そんな気はしていたが、やっぱりだ。これ多分ロックがかかってる。練習あるのみですよ~っと言われたが多分ダメだろう。


 その後は一応、聖水の正しい作り方を教えてもらうことになった。こないだのバケツに直接手を入れて作ってたあれは我流だそうだ。だろうな。


 教会の奥の方に併設されている建物にいく、ここで聖水を作っているらしい。中に入ると聖水用の茶色い空瓶がたくさん保管されている。前世で飲んでいたオ〇ナミンCの瓶を彷彿とする形とサイズ感だ。


「私クラスになると泥水からでも聖水は作れるんですけど、本当は魔力が豊富な清い水が一番いいんですよね。なので、山奥の清流の水とかがいいんですけど、街中では流石に無理なので、普通に飲料水と同じように水生成魔法の魔道具からでる水を使います」


 そう言うと蛇口をひねって次々に小瓶に水をいれていく。


「水を入れた後は、この棒を使います。これは神聖属性の魔力を伝達する白棒です。棒を瓶に入れて魔力を流して聖水にするんです」

「バケツで作って瓶にいれたらダメなのか?」

「あれだと雑菌が入るじゃないですか、雑に作っているのでその辺に撒くくらいだと十分なんですけど、売り物になると基準を満たさないんですよ。一応、マニュアル通りにやっていないと抜き打ちで立ち入り検査がくるとヤバいですしね」


 その後、できた聖水は1本ずつ検査をするらしい。また別の棒がでてきて、そっちは灰色だ。灰色の棒をつけて、色の変化で聖水の強さをみるらしい。

 検査した後に問題なければ封をして完成だ。蓋も瓶と同じ素材のものを取り付け、さらに隙間はテープを巻いて完成だ。


「これで蓋を開けるまでは、ほぼ劣化せずに使えるようになります。蓋はどうでもいいですけど、この棒で制御しながら魔力を流すのは魔法制御の訓練としてはいいと思いますよ」

「ちなみにその棒って売ってるのか?」

「専門店なら売ってると思いますけど、私も自分で手配したことはないのでわからないですね。聞いときますよ」

「まあ、聖水工場で働きたいわけじゃないから、別にいらないかな」


 バッキーはほぼ毎日作ってるらしい。ご苦労なことだ。


「そういえば、飲んでよしとか言ってたけど、聖水って飲むとどうなるんだ?」

「別に普通の綺麗な水ですよ。味はしないですね。あとは、解毒作用がありますから二日酔いの時なんか効くんですよね」


 そういって、さっき作ったうちの一本をごくごく飲んでいたが、用途が残念すぎるだろ。


「あと、そうだ武器について聞きたかったんだ。バッキーの武器はなんだ?やっぱり錫杖とか杖とかか? それとも定番のナックル? 酔っぱらって殴ってそうだし」

「さすがに酔っぱらっての喧嘩はたまにしかしませんよ。私の武器はそう!聖剣です!」


「はあ?」

「疑ってますね。ちょっと待っててください。家から持ってきます」


 そういうとバッキーは走って取りにいった、実家が近いとか言っていたからすぐ戻ってくるだろう。


「これです」

「なまくらっぽいな」

「何言うんですか!聖剣ですよ!聖剣!色が白いでしょう? 確かにちょっと古いですけど・・・」


 バッキーが持ってきたのは古そうなデカくて白い剣だった。刃は潰れていて剣というよりは鈍器に近いのかな。


「ネス子、お前、剣は詳しかっただろ、これっていいやつなのか?」

「ちょっと見せてください。ふむ。でかいだけの、ただのなまくらですね」

「ほら」

「いやいや、この白さ! 神聖属性を通しやすい素材なんです。きっと!」

「神聖属性を通してどうするんだ」

「それは~こう!こうやって殴ります」


 見せてくれたのはキレキレのフルスイングだ。神聖属性関係ねぇだろ。


「そうか、武器は自由だってことがわかったのでよしとしよう。聖職者ってモーニングスター的なやつとか錫杖とかだと思ってたがなんでもいいんだな」

「確かに南だとモーニングスター持ってる人も結構いましたね、流行なんですかね。聖騎士だと皆さん剣でしたけど」

「ちなみに、なんでそのなまくら使ってるんだ?」

「ああ、修行の旅をしている時に落ちてたのを拾ったんです。それまでは短剣しかもってなかったんですけど、これだと魔物も力任せで一発ですから使い勝手はいいですよ。ちゃんとした武器は高いですからね。無料が一番ですよ。魔力を通せば強化できますし、この聖剣ちゃんはまだまだ使えます!」


 今は剣術メインで習っているし、私はこのまま普通の剣にしよう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。