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ハーレム崩壊、十二年後  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第二章 エルフに嫁いだ弓使い しかし本当に愛する人が戻ってきた以上、抱きしめずにはいられない!

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第95話 街で真っ先に報告 大森林に置いてきたドリアードがどんな魔物かというと、ってえええ?!

 ようやく中間の街に到着、

 いやあ俺の恥ずかしい昔話の数々、

 特に最初のハーピー事件は……ああするしかなかったんだよう。


(ヒント:ハーピーが一番大人しくなる捕縛方法とは?!)


 いや、別に魔物相手にどうこうは、

 まあ後ろから捕まえていて、もがく相手に勝手に、

 いや自然とああいう捕まえ方に……って今はそんな事を思い出している場合じゃあ、ない。


「お疲れ様です、勇者ラスロ御一行様!」


 行きの時に色々と説明してくれた騎士団員さんが先頭だ、

 街の入口から少し出た所でわざわざ敬礼して出迎えてくれた、

 何かあった時のために、大森林から昆虫の大群が本格的に来た場合の対処を準備していたのだろう。


「とりあえずは大丈夫だ、結論から言おう、魔界と繋がっていた」

「やはりか、しかし帰ってきたということは」「ああ、封印は成功だ」

「さすが勇者様」「いや、ここには来ていない聖者アリナ達の作った結界魔石を……」


 とまあ軽く説明する、

 中に入ってゆっくりでも良いのだが、

 ばりばり警戒中だからな、とはいえ俺たちを見て安心はしているようだ。


「なるほど、では虫たちは魔物に押し出されるように」

「ああ、昆虫が溢れて来たのは単純に逃げてきたのだろう」

「ではもう」「とりあえずは光魔法が防いでいる、もちろん永遠にという訳では無いが」


 仮封印の場所が増えただけ、

 ただ、このままだと更に新たなゲートが、

 魔界へと繋がる出入口が出現するかも知れない。


(そこは、今あるふたつのゲートを早く対処する事で、何とかできないか)


 いや本当にゲートが二桁とかになったら、

 あちこち防ぐ間も無くなるので本格的な手段、

 根本的な解決方法に出るしかなくなる、そう、魔界への殴り込みだ。


「勇者様、では我々の方で様子を見に行った方が」

「いやそれには及ばない、魔界から援軍が来た」「援軍?!」

「ああ、魔界と繋がった不幸中の幸いというか、あっちで俺の味方になってくれた連中だ」


 かなり驚いた表情だ、

 それもそのはず、十二年前の常識じゃ、

 魔物が人間の味方につくなんて発想がまず無いからな。


「それはいったい、どのような魔物で」

「大きな樹の魔物だ、名は『ディープドリアード』という種類で、

 顔の付いた樹の精霊だ、精霊の宿った樹とでもいうか、足は六本前後で」「ヨンダカ?!」


(えええ?!?!)


 その声を一斉に見る俺たち!

 振り返ると、居る! いつのまにか、

 ディープドリアードの隊長が来ていたあああああ!!


(すげえな誰も気付いてなかったのか)


 いや、馬車運転のエルフ、

 リンダディアさんだけは最初から構えていたみたいだ、

 だが俺らに知らせる前にもうすでに、といった感じっぽいな。


「ちょ、お前、いつのまにっていうか、ついてきてたのか?!」

「イヤ、ワスレモノだ」「あっそれは」「私の手裏剣、二枚も……ありがとうございます」

「そのために、わざわざ?!」「ソウダガ、ナニカマズカッタカ?」「いや、そうではなくてだな」


 もはやそんなレベル、

 いやそんな次元の話ではない。


「勇者様、この魔物が」「ああ、それにしてもほぼ道なりとはいえ、よく場所がわかったな」

「バシャニ、タネヲツケテオイタカラナ」「どれどれ……おう本当だ、後ろに芽が出ていやがる」

「コレデバショハ、ハアクデキル」「……それは良いんだが、まさか俺たちに例の手は使ってないだろうな?」「ナンノテダ?」


 そう、あの恐ろしくも、おぞましい……


「ほら、敵の身体に種を飛ばして中へ入れて、

 好きなタイミングで発芽させて乗っ取ったり、

 全身の穴という穴から芽や触手、樹を生やして殺す……」「テキジャナイニンゲンニ、スルワケガナイ」


 本当かなあ、

 コイツら気の良いドリアードだが、

 元はというか根本は魔物だからなあ。


「信じて良いんだな?」

「モチロン、ムシロラスロハ、

 アストノオムコサ」「という訳でだ! コイツらは安全だ、大丈夫だ、何も問題は、ないぞおおおおお!!!」


 これ以上は、

 余計な事を言わせてはいけない!!


「ラスロ、コエガデカイゾ」

「ご苦労だったもう戻ってくれ、

 よくあの手裏剣を二枚、見つけてくれたな感謝する」「オウヨ」


 街の兵隊さんにも紹介する。


「大森林を護ってくれることになった『ディープドリアード』だ、

 出入口の集落、でいいのかあそこ、あの詰所を直して警備してくれる、

 全員で十九体で良いのか」「ダンジョンニ、ジュウニ、ミハッテイル」「なら足して四十一体か、とにかく任せてやってくれ」


 肩を組んでアピール、

 さて、とっとと帰そう。


「ご苦労だった、ではまたな!」

「アスト、ニ、デンゴンハ」「来てるのか?!」

「テイキテキニ、ホウコクヲ」「ええっと、今はまだ無い! じゃあな」


 俺に促されて道を爆走して行く、

 いやほんと速いなあっという間だ、

 砂埃まであげて、それでいて足音とか一切無しで、気付かないはずだ。


(ふう、びっくりした)


 話をシメよう。


「という訳で、あの魔物が大森林を見張っている、

 無理に行く必要は無いが、どうしても様子が見たかったら、

 俺の(めい)って最初に伝えてくれ、まあ攻撃はされないと思うが」


 ということで、

 さっさと馬車は街へ入るのであった。


(ううう、ヨラン達の、謎の視線が痛い気がする……)


 やはり説明は、必要か。

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