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ハーレム崩壊、十二年後  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第二章 エルフに嫁いだ弓使い しかし本当に愛する人が戻ってきた以上、抱きしめずにはいられない!

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第89話 恐るべき弓矢の能力 しかしアサシンも黙ってはいない、共に有能なのは間違いないのだが。

「うっわ、巨大蜂の群れだ!」

「お任せ下さい、私の弓でっ!!」


 走っている馬車、

 扉を開けて身を乗り出し、

 弓矢で子供くらいの大きさの蜂を撃ち落とすエミリ!


(いやこれ、ほんとにすげえ)


 十数匹の群れを、

 馬車と一匹たりともすれ違わせずに退治してしまった、

 この弓矢の腕前は確かに『エルフを超えた弓使い』と言える。


「ありがとう、戻ってくれ」「はいっ!」


 ラグラジュ大森林へ向けて走っている最中、

 ちらほらと通常ではありえない大きさの昆虫が出現しはじめた、

 皆、空を飛ぶタイプなのでおそらくは森からの先頭グループだろう。


(重さのせいか、あまり高く飛ばないのが救いだな)


 とはいえ普通の農民ならひとたまりもない、

 道なりがこれならそれ以外からも……まあ街は街で大丈夫だろう、

 ただ小さな村は心配だな、そりゃ放棄されるはずだ、と馬車はさらに夕焼けの中を進む。


(運転はリンダディアさんに戻ってはいるが……)


 異様な大きさの虫が出始めてから、

 本職に運転して貰いつつ両隣に俺とヨランが座り、

 前方にヤバそうな虫が出たら取り付けた馬車内へ喋る器具で知らせる。


(例の、ラッパの先みたいなやつな)


 そして退治をして貰うのだが、

 エミリがひょいっと身を乗り出して、

 あっという間に退治……取りこぼしがあれば斬ろうと構えていたヨランも微動だにしなかった。


「ラスロ、今度はあちらの川に!」

「おっ、あれは羽根蟻系か、あれはあれでヤバい」


 ヨランの声に馬車内へ通報、

 今度はエミリが出た側と反対だが……!!


「ここは私が」


 おお、ヨラン側の扉が開いて、

 今の声はナタリだ、毒針を投げるのかな、

 と思いきや予想外の物が! 観点する黒い十字の、あれは確か……!1


 シュルシュルシュルシュルッ!!


 いくつも投げられる物体、

 それが巨大な羽根蟻を切り裂いて、

 馬車まで戻ってくる……合計六枚か、凄いな。


「ナタリ、それは」

「手裏剣というものです!」


 それだけ言って馬車の中へ戻った、

 矢のように使い捨てではなく戻せるのか、

 あれは凄いな、と同時に走っている馬車であれをやるとは。


(どれだけ投げた軌道を計算しているんだ)


 しかも馬車の速度も入れて!

 もうこれはエミリもナタリも有能過ぎるな、

 魔法無しでどうなることかと思ったが、現地まではこれで大丈夫そうだ。


(しかし問題は……もうすぐ日が沈むということだ)


 夜到着の作戦としては虫対策としては問題ない、

 だが行く途中だ、馬車に魔石の灯かりがある以上、

 飛ぶ虫は真っ直ぐに向かってくる、そしてあのでかさだ。


「ラスロ様」「ああリンダディアさんの心配は、よくわかる」

「速度を落とすか、途中で休む方法も」「ヨランはどう思う?」

「しばらくは夜目の利くエミリに」「そうだな、あとはナタリも」


 こうして日が完全に沈んだタイミングで、

 運転するリンダディアさんの両隣をエミリとナタリに交代、

 ちゃんと武器を手にしている、まあ薄暗いうちは大丈夫だろう。


(むしろ、馬車を飛ばして貰った方が……)


 いやいや、

 ここからはおそらく虫も多くなる、

 気を付けていかないと、ここで馬車が壊れたらそれこそ大参事だ。


「ふう、ラスロ」「どうしたヨラン」

「夕食はどうする」「そういえば」「エミリさんナタリさんは食べ終えました」

「そういうロズリは食事中だったか」「リンダディアさんは」「……あっ、忘れてた」


 ロズリが食べ終えた所で、

 リンダディアさんと運転を交代して馬車内で食べて貰いました。


(さあ、いよいよラグラジュ大森林だ!)


 ……まさかとは思うが、

 ダンジョンが魔界と繋がっていたら……

 本当にもしもの場合は、魔界まで行くハメになる、かも?!


「それは絶対に避けたいな……」

「ラスロ?!」「いやヨラン、独り言だ」


========================================


 その頃、王城では……


「今夜にはラスロ達が到着ね」

「はいアリナ様、おそらくエミリ様が上手くやって下さるかと」

「ミオスと一緒に開発したアレ、きっとびっくりするわ、ラスロも」


 という聖女ふたりに対して……


「叔母さん、結局はどうやって帰したんですか、あの子達」

「ああ、私の長男と長女だったおふたりのことですカァ」「だった、って」

「必ず帰ると言っただけですヨォ」「それは、いつ」「さあ、百年後ですかネェ」


 という会話が落ち着いたのち。


「さあみんな、ラスロのために新しい封印を、

 今度は一か月どころか一年は持つものにしましょう」

「「「はいっっっ」」」


 果たして順調に行くのだろうか、

 そして封印が完成したとして、ラスロの選択はいかに……?!

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