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ハーレム崩壊、十二年後  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第二章 エルフに嫁いだ弓使い しかし本当に愛する人が戻ってきた以上、抱きしめずにはいられない!

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第80話 陛下から依頼で森林調査 魔物の仕業かもしれないし、そうでないかもしれないと。

「昆虫の大量発生かぁ」


 馬車は南東にある『ラグラジュ大森林』に向けて走り出している、

 途中で大きな街で一泊するくらい離れた場所だが逆に言えば二日で到着できる、

 なので比較的、近いと言えば近いのだが……さすが王家の馬車、畑の方からも領民に頭を下げられている。


「ラスロ、改めて説明するわね」

「ああエミリ確認だな、よろしく頼んだ」

「ラグラジュ大森林は自然あふれる豊かな森だったんだけれども……」


 その面積は小国くらいあって、

 その中に様々な動物が住んでいるが、

 かつては魔界と繋がるダンジョンもあったとか。


(ただ、十二年前に魔物が出なくなった)


 で、大森林は魔物による危険がなくなり、

 豊富な資源をもたらす場所となったため、

 近くに村も増えた、樹なんか切ってもすぐ生えてくるとか。


「それで最近になって、森から村や外へ異常な数の虫が出てきたと」

「ええ、村自体は基本的には魔よけの結界が生きているものの相手は普通の虫、

 もちろん通常結界もまったく効かない訳じゃないけど、村の外が酷くて……」


 で、このままだと森の開発に支障をきたすだけじゃなく、

 村に住んでいる人も逃げて行くというので調査に乗り出す事になった、

 かつてのダンジョンから魔物が出ているのか、それとも……ということでだ。


「虫って事は大量に飛んでくるんだよな、ヨラン、剣でどうにかできるか」

「この聖剣であれば追い払う事は出来る、が、私の周囲だけだ、本領発揮は森の奥だな」

「ロズリはどうだ」「はい、飛ぶ虫を斬るのは得意とまでは言いませんがお任せ下さい、ただやはり数が」


 そのあたりなあ。


「エミリの弓だと厳しいか」

「巣を攻撃するのには有効だと思うけど……」

「どうした」「火の矢はまずいわよね」「ああ、さすがにな」


 別の大参事になっちまう。


「ナタリはどうだ」

「はい、私は煙幕が使えるので」

「ああ、そういう爆弾か」「ただ、数には限りがありますね」


 やはり魔法組が居ないのがきついな、

 いくら新しい結界の開発に集中しているとはいえ……

 だが今回はあくまでも偵察、様子を見に行くだけであまり深くへは行かないはず。


(おっ、馬車が減速した)


 水場か。


「馬に水を飲ませますね」

「おうありがとう、リンダディアさん」


 年齢不詳なエルフの男性、

 今回の馬車は王宮エルフ隊の副団長、

 十二年前にちらっと面識がある、やたらエミリを褒めていた人だ。


(言ってたな『まさにエルフを超えた弓使いだ!』とか)


 というメンバーで今回の依頼だ、

 しばらくは平和だからのんびりとした旅、

 とはいえエミリは今回の資料を読みふけって対策に余念がない。


「ラスロ、凶悪な虫は魔物となんら変わりはないわ」

「そうだな、動物にも言えるが、普通に人を襲ってくるからな」

「でも動物なら倒せば食料に出来るわ」「魔物だって喰えるぞ」「えっラスロ」


 あっ、エミリがちょっと引いた。


「いや、魔界で十二年も暮らしていたら、ある程度はな」

「それだけ過酷な環境だったのね、ラスロ、もう私が、私達が居るから安心よ」

「わかったからエミリ、抱きしめようとしないでくれ」「あら、軽いハグよ」「いや重いから」


 そういえば。

 軽い重いで言えば……


「エミリの子供、エミリが遠征中ってわかっているのかな」

「私は直接教えてはいないわ、ただおそらく、あの人が……」

「あぁ、エミリの元旦那さん」「ええ、ただエルフの世界は戸籍とかないから」


 あるのは掟だからね、

 文章どうこうで残すって言うのは、

 エルフの世界ではあんまり意味をなさないらしい。


(さすがに『人の国』と『エルフの国』の間では書面を残すらしいけど)


 でもそれだと、

 人とエルフが一緒に暮らす集落だと、どうなるんだろ。


「ちなみにその旦那さん、名前は」「ハルラよ、いえ、ハルラさん」

「十二年前、会ったはずなんだけどなあ」「あの頃は王都にエルフも多かったから」

「平和になって一気に引いた感じ?」「そうね、私もそれで持ち帰られたわ、こうして戻ってきたけど」


 このあたりも、

 ヨランの一件が一応は片付いたんだから、

 詳しく聞いておくべきかな……でも俺から話せって言うのはなあ。


(復縁を確定させる方向に行きそう)


 ここでナタリが。


「そのハルラさんは今、王都では」

「色々な雑用をやっているようよ、仕事しないと人の国では生きていけないから」

「……まるでエルフの国では仕事しなくても良いみたいだな」「ええ、それに近い生活だったわ」


 そっちの生活、

 エミリの日常もちゃんと聞いてみたい気が。

 そう思っていると、今度はヨランが話しかけてきた。


「順番だ、私の元夫が片付いた、次はエミリの身辺を片付けるべきだ」

「そうね、ラスロ良いかしら、私の、ラスロと別れて戻って来るまでのこと」

「話してくれるのか」「むしろ聞いて欲しいの、懺悔の意味も込めて」「懺悔かぁ」


 ということで早速、

 エミリの昔語りが始まったのだった、

 俺が魔界に落ちた、あの時からの出来事を……!!

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