第76話 パレードが終わり陛下から改めてのお言葉 安堵する旧ハーレムに対し新ハーレムに何かを感じる……。
「パレードご苦労であった」
「「「「「「「「「「はははっっっ」」」」」」」」」」
国王陛下謁見の間、
例によって俺たちは綺麗に並び跪く、順番や並びは……
今更どうでもいいか、俺たちは花婿花嫁のような姿のままだ。
「これで我が国民も安堵するであろう」
「もったいなきお言葉、ありがとうございます」
「それで今後であるが、封印は1か月はもつのだな?」
頷くアリナとミオス、
俺が代表して答えておこう。
「監視は必要ですが、それくらいならなんとか」
「よし、予算を出せるだけ出そう、人材もだ、隣国にも出資を募る」
「ありがとうございます、本当にいざとなったら、この身で魔界へ打って出ます」
うむ、と白髭を撫でる国王陛下。
「さて、式も済んだ事だし、籍はどうする」
「……は?!」「いや、立派な結婚式であったぞ」
「パレードでは」「パレードはパレードだ、それはそれ」
どういうことだ?!
「あの陛下、俺はいつ式を」
「教会の前で花束を受け取ったであろう、
枢機卿が顔を出して祝福をした、国教の立派な式だ」
は、はっ、はめられたあああああ?!?!
「いやその」「という訳で新聖女アリナよ」「はい」
「式の感想はどうであった」「嬉しいです、安心しました!」
「ヨランは」「安堵致しました」「エミリは」「はい、や」「ちょ、ちょっと待ってくれ!!」
国王相手でも、もういいや。
「どうしたラスロよ」
「俺は承知していない!!」
「……冗談じゃ、あくまで『形式』をやったまでだ」
いやいや冗談じゃ済まないよ!
しかし、慌てふためく俺に構わず話を続ける陛下。
「ではそちらの、ミオスはどうだ」
「はい国王陛下、私の心の中へ仕舞っておきます、今は」
「そうか、いわば黙認であるな、あいわかった」「陛下……」
俺はもう、
その『陛下』の言葉しか出なかった。
「ラスロはあれは式では無いと思う、
それはそれで良い、ラスロの中ではな、
だがワシも昔の約束がある、憶えておらぬか」
ええっとつまりは……
「アリナ達との婚姻、ですか」
「そうだ、魔王退治へ出発する前、
帰ってきたら式は任せよと言った、その約束をまずは果たした」
すっかり忘れていたが、
まあおそらくそう言われていただろう。
「では、新しいハーレムは」
「その約束も一応はな、盛大であっただろう」
「まあ観衆は」「これでワシの約束は果たした、という事にならぬか」
……ちょっと俺も安心したのは、
これが俺に結婚を強いるようなものではなく、
国王陛下が両方の約束を果たすためにやったという訳だ。
「……ありがとうございます」
「という訳で後は知らん」「そんな」
「いや、完全に平和になってまたやりたいのであれば、ワシは一向に構わんっ!!」
そう言って立ち上がった、
もう去るようだ、文句を言うなら今だが……
アリナもミオスも『もういいでしょう』といった表情だ。
(なら、礼だけ言うか)
「陛下、今回はありがとうございますっ」
「うむうむ、完全な解決に向け頑張ってくれ」
「「「「「「「「「「はははっっっ」」」」」」」」」」
……こうして謁見は終わり、
廊下に出た俺を取り囲むのはまず旧ハーレム達。
「ラスロ、新たな思い出が出来たわね」
「これで一歩前進した気がする」「ブーケトスを忘れてしまいました」
「ねえラスロサマァ、結婚式とくれば次は披露宴ですネェ」「いいから着替えてきて!!」
しばらく相手をしたのち、
興奮の治まった旧ハーレムは花嫁控室、もとい今回のパレード更衣室へ……
俺は来賓応接室の方へ行くと新ハーレムもついてきた、アリナ達の着替え待ちかな?
(メイドとかが入ろうとするのをナタリが阻止した)
俺と新ハーレムだけの空間にしたいらしい、
ちなみに一番後ろで跪いでいたダンジュくんとは、
ちゃんと手を振って別れたよ、まあ用があればいつでも会えるだろう。
「ふう」「ラスロ様、お疲れ様でした」
「ミオス、妙に落ち着いているな」「私達にも良い式でしたよ?」
「いや、その、何というか……そう感じるんだ、うまくは言えないけれども!」
確かにミオス、ロズリ、ナタリ、ハミィに何かを感じる……。
「あら、気付かれましたか」
「ひょっとして……何かを企んでいるのか?!」
「秘密にするなら、お教え致しましょう」「……頼む」
果たして、新ハーレムの企みとは?!




