表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハーレム崩壊、十二年後  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第一章 伝説の女剣士のやり直し 錆びついた剣と言われても愛で研ぎ澄ますのみ!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/246

第63話 新ハーレムに聞く、客観的に旧ハーレムってどうなの、どうなのよ? まずはミオスから

 俺と新ハーレムのみんながとりあえず応接室に座る、

 メイドが冷たい水を出してくれて落ち着くもののさあ、

 これからどうするものか、一息ついて俺は四人に語りかける。


「とりあえず、これからなのだが」

「はい、ラスロ様は私の家へ泊まって下さい!」

「えっ、グレナダ公爵家にか?!」「父も母も歓迎されるかと!」


 細かい事情は省略するが家無しの俺にとってはありがたい話だ、

 十二年ぶりに戻ってからもずっとお城の客間に泊まらせて貰っていたが、

 さすがにいつまでも、という訳にはいかない、そういや十二年前、いやもっと前か、陛下が……


『無事、魔王を倒し平和になれば、それ相応の領地と城を考えておこう』


 と言っていたが、さすがに死んだとなっては話は流れたのだろう、

 どこを予定していたのか、城はすでにある物なのか、疑問は尽きないが、

 とりあえず封印が持つであろう一か月間の拠点をどうするか、宿って訳にはいかないか。


「ミオスの実家へ行くとしても、他の仲間が」

「あと三人くらいでしたら大丈夫ですよ、問題ないです!」

「ということは、ロズリ、ナタリ、ハミィか」「そうなりますね!」


 だったら旧ハーレムは……

 彼女達こそ城で護ってあげるべきでは?

 アリナは破壊した教会から、あと三人は結婚相手から……


(それについての気持ちの整理が、まだつききれていない)


 よし、率直に今、目の前のハーレムに聞いてみよう。


「道中、聞いた事の繰り返しが出て来るかも知れないが良いか」

「はい、確認ですね」「構いません」「会話は大事です」「なんでもお話ください」

「では聞くが……旧ハーレムの四人について、ここまで一緒に行動して、どう思った?」


 まずはサブリーダーのミオスを見る。


「はい、正直に申しますと羨ましかったです」「えっ、何が」

「ラスロ様との仲がです、思い出話も聞かせていただきましたが、

 十二年前、いかに信頼し合える婚約者同士、ハーレムであったかという事が垣間見られて」


 それが『羨ましい』のか。


「まあ連携については昔、仕上げたからな、あとはハーレムとしては……あんなもんだ」

「ですから私達も、あの域に達するようにラスロ様と、絶えず一緒に生活したいです!」

「いや、あの四人とのその、経験は真似し出来るものでは」「私は私、私達は私達ですっ!!」


 うん、言いたい事はわかる、

 極端に言えば『上書き』とでも言うべきか、

 これが何も考えてないような第三者が横から見たら、


『ハーレムの若返りが出来て良いじゃないか』


 とか思ったり言ったりしそうだが、

 やはり俺は『あの四人』が待っていると思って魔界で十二年間、戦い続けた……

 その想い、そして魔界へ落ちるまでの絆を考えたら、そう簡単に捨てて良いものかという思いもある。


(ただ、この新ハーレムの『俺への想い』というのが、どのくらいのものか)


 旧ハーレムについては、


『十二年ぶりに戻りました、

 十二年ぶりにハーレムも帰ってきました、

 十二年ぶりに何もかも元に、あの時の続きを再び始めましょう』


 と、簡単に行って良い訳がないんだよなあ、

 事実として『ハーレム崩壊、十二年後』という現実があるのだから。


「言いたい事はわかった、では現状整理のために聞こう、

 まず大前提として魔界の再封印、もしくは新しい魔王討伐、

 とにかく再びここを平和にするためには俺たち九人がまとまって協力するしかない」


 その言葉に頷いてくれる新ハーレムの四人。


「それが『最優先』であることは十分にわかっています」


 それだけは忘れて欲しくない、俺も忘れない。


「で、正直な気持ちを知りたいのだが、

 あの四人がまた昔のように婚約者として、

 俺のハーレムとして戻って来ようという気持ち、行動はどう思う」


 真面目な表情のミオス。


「まず昔のアリナさんの決意、行動は立派だと思いました、ラスロ様が亡くなったという前提でお話しますが、

 婚約者を、ハーレムの主を死なせてしまったその全責任を正妻として背負い、一生、外界と隔離された修道院に籠り、

 生きたまま命をラスロ様に捧げた、と同時にその自分の命、自分一人の償いをもって側室の三人を自由にしたという」


 うん、それは俺も思った、

 ある意味で俺のために純潔を守ったのはアリナだけだった、

 本当に俺の事を愛し、そしてその罪を償おうとしてくれていたのだなと。


「その自由にしていただいた三人、ヨランさんエミリさんネリィさんもそのアリナさんの想いを酌んで、

 ある意味、アリナさんの犠牲を無駄にしないためにも、新しい男性と一緒になる事を選んだのだろうと」

「それもわかっている、俺が死んでいたとしたらそれはそれで正しい決断だ、俺が死んでいたらなのだが」


 そして三人は子を作った、

 ヨランは茫然自失のままだったようだが、

 他の二人はどうだったのだろうか、そこはまだ詳しくは聞いていないな、直接は。


(違う側室の情報が重なると、冷静な判断が出来なくなるというアリナの判断だ)


 とはいえ、

 三人の子供はもう集まって来ているっぽいのだが。


「すでに新しい家庭を持ち、愛し合って子供も出来て育て、

 もうすっかりラスロ様の事を忘れているであろう状況で、

 完全に精神的にも関係が絶たれた所でラスロ様が戻ってきて、それって簡単に修復して良いものなのでしょうか?」


 ……言うなぁミオス、

 ここは『修復できるのでしょうか』ではなく、

 あえて『修復して良いものなのでしょうか』ときたか。


「確かにまあ、今の夫や子供に迷惑はかかるな」

「それを捨てて来た皆さんは、十二年前それほどまでラスロ様を愛していたのでしょう、

 生きていたと聞いて躊躇なく真っ先に駆けつけたとしたら、それは相当に重く激しく熱い愛情だったのでしょうね、と」


 確かに十二年前はそうだったし、

 俺はその愛情を信頼して十二年も頑張って来られた、

 必ず待ってくれているからと……ある意味でそれは正解だった、のだが。


「なんだか少し、俺にも罪悪感が」

「でしたら宗教関係のややこしい話になっているアリナ様はまず置いておいて、

 残りの三人は元の家庭に帰っていただくのが良いのではないかと」「……うーん」


 しかし本人達の意思がなあ。


「例えば俺が帰れと言って帰ると思うか?」

「かつてのハーレム、その主の命令であれば」

「それはそれで残酷では」「残された旦那さんやお子さんの方が残酷かと」


 言っていること、言いたい事はわかる、

 でもまあそのあたりについては俺が一方的には……

 いやもちろん今、この場での情報整理は旧ハーレムの本人不在でやってはいるのだが。


「ではロズリ、ロズリはどう思う」

「はい、私がお聞きしたいのは、まずラスロ様」「ああ、なんだ」

「夫を作り、子を複数産んだ元恋人、元婚約者を……今でも愛する事は、出来ますか?!」


 剣士らしく、

 いきなり心臓を貫かれたような言葉だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ