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ハーレム崩壊、十二年後  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第一章 伝説の女剣士のやり直し 錆びついた剣と言われても愛で研ぎ澄ますのみ!

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第64話 揺れる俺の心はお見通し 新ハーレムの意見は俺を愛するからというより……

 俺は新ハーレムの剣士ロズリの言葉を一気に要約する。


「つまり、『相手は汚れているが良いのか』ということか」

「事実だけ言えば、婚約者のラスロ様が魔界で必死に戦っている間、

 祈っていたアリナ様は別として、三人は他の男性とくっついて子供を育てていた訳です」


 客観的に言えばそうだが。


「それを許容できるか、という訳か」

「ラスロ様は思い出を美化なされているのかも知れませんが、

 いくらアリナ様の勧めとはいえ、裏切ったと言えば裏切った、と」


 俺が避けていた、

 あえて考えないようにしていた言葉が出てきた、

 婚約者への、ハーレムの主への裏切り……


「裏切りというより、寝取られた、というのはよぎった」

「同じことです、客観的事実だけを言えば愛する婚約者を寝取られたのです、

 いくら生きていたのを知らなかったとはいえ、その汚れた身体は瞬時に綺麗になるものでは……」


 意見としてはもっともだ、

 と同時に知らないで他の男と家庭を築いていたのを寝取られだなんて、

 そう考える者だって居るだろう、俺は双方で揺れに揺れているような感じだ。


「裏切った、寝取られた婚約者がいくら慌てて戻ってきてももう遅い、

 ロズリの考えはそういう事か、だが俺としては十二年の月日が流れたとはいえ、

 やはり別れたハーレムが全員、俺が戻ったと知った瞬間に駆けつけてくれたのは……」


 嬉しい思いがあった、

 なぜならそのためだけに、

 彼女達が待っていると思っていたからこそ生還できたのだから。


「ならば『ありがとう、後は家庭を大切にしてくれ』で良いのでは」

「しかし三人が、ヨラン、エミリ、ネリィが嫌だと言ってしまったら」

「子を作る程の関係だった男性を、元のハーレム主が生きていたと知ったとたん、躊躇なくそれを捨ててくるような方々ですよ?」


 辛辣だなあ、

 ロズリ含む彼女達、

 新ハーレムの立場ならそう考えるのだろう、か。


「そこに嫌悪感を感じるかどうか、か、

 確かにそこはまったく無かった訳ではない、

 でもアリナ達の俺への変わらぬ愛を……」「三人は、一度は変わったのでは」


 うん、そこはまあ、もうちょっと自問自答しよう。


「ではこの中では経験豊富なナタリ」

「……私の経験は暗部としての諜報や暗殺、

 さらには恋愛の駆け引きというよりハニートラップですが」


 うん、破滅したくなる程のナイスバディさんだからね。


「ではそのアサシンとして、ここまで見て来て正直、どう思ってる?」

「アサシンだからというのではありませんが、私としては『間に合って良かった』と」

「それはすなわち?」「あの四人とラスロ様が再会する前に、私達が婚約者になれた事です」


 確かに、もしものルートを考えたとき、

 陛下が急いで新しいハーレムを選定してくれなければ、

 旧ハーレムの四人が戻って来た所ではい復縁して、で終ったかも知れない。


(陛下ははっきり『ハーレムは崩壊した』って言ってたもんな)


 そういう意味でも、

 陛下としても想定外だったのだろう、

 信仰や夫を即座に捨ててまで大集合してきた事は。


(修羅場になって逃げたしな!!)


 特にこのナタリに関しては、

 確か顔が広く知られてしまったか何かで、

 どう処分しようかといった状況で俺に押し付け、いや、俺の婚約者となった。


「順番で行けばハーレムが客観的に崩壊、

 それをフォローするためにミオス達が俺の婚約者に、

 しかしその直後に崩壊した元婚約者が全員集まってきてハーレムの重複、という訳か」


 いやほんと酷いなこの状況、

 他人事だったら腹かかえて大爆笑してやる自信があるぞ、

 だが自分の事となると話は別と言うか笑っていられないというか。


「ラスロ様、意見を聞かれたので述べさせていただきますが、

 これはあくまでアサシンとして、国の諜報部門で働いていた者としての分析なのですが」

「お、おう、急にスケールが大きくなったというか、信憑性がありそうというか……続けて」


 プロの視点で話が聞けそうだ。


「かつてのハーレムの四人は、ラスロ様を愛するからというよりも、

 もちろんそれが再燃したという事もあるのでしょうが、それよりも大きいのが、

 自分のしてしまった失敗を覆い隠したい、誤魔化したい、間違えてしてしまった事を無かった事にしたいのかと」


 俺に対する後ろめたさみたいなものか、

 かといって人に変身する魔物に化かされていた訳ではなく、

 アリナに唆されたとはいえ自分の意思でだもんな、本心がどうあったとしても。


(しかし、そこに『俺が死んでいた』という仮前提は忘れてはいけない)


 俺が生きていた以上、

 それは覆されていると言えなくも無いが。


「ではナタリは、どうすれば良いと思う」

「まずラスロ様の置かれた立場を考えますと、

 陛下が私達を婚約者として正式に定めたので、それを受け入れていただくのは確定かと」


 確定かぁ、

 まあ確かに断りにくいよな、

 命令としてだけの側面を見れば。


「まず、ということは後は」

「ラスロ様の意思の問題ですね、強引な事を言ってしまえば、ラスロ様が『こうしたい』と言えば出来ると思います」

「そこまで権限が」「現に九人での封印と討伐はラスロ様の意思です」


 そりゃあ駒は揃っていた方が良い、

 これだけ各個の能力、レベルが高ければ尚更だ。


「他には」

「あとふたつ、ひとつは当事者では無い者からの客観的意見ですと」

「ナタリは当事者だよな?」「それを一旦捨てて見た場合、ラスロ様は気の毒な状態かと」


 そんな、俺を『可哀想な人』みたいに。

 むしろ『残念な人』まで無いか? それは考えすぎか。


「では最後のひとつは」

「はい、私自身が、ラスロ様を愛しているということですね」

「そ、それは」「もっと言えば、愛するからというより、愛したいからです」


 それが陛下からの『ミッション』だとしても、か。


「そんなに俺を愛したいのか」

「……正直、私ひとりだったら女アサシンとしての、

 ありとあらゆる方法で落とす事も出来るのですが」「怖いなおい」


 それをあえてやらないってか。


「でもまだお互い、そんなに知り合っては」

「もう知り合い始めていますよ、こうしている間も」

「まあ、そう言えばそうなると言えなくもないが」「ですから一緒に暮らしましょう」


 グレナダ公爵家でか。


「わかった、最後にハミィ」「はい」

「ええっと意見を聞こうと思うのだが」「はい、なんなりと」

「ではその、とりあえず、どう思う?」「叔母に関しては、『のし』つけて帰しましょう!!」


 はっきり言うなあオイ!!!

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