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ハーレム崩壊、十二年後  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第一章 伝説の女剣士のやり直し 錆びついた剣と言われても愛で研ぎ澄ますのみ!

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第61話 王都凱旋! 大盛況で迎える民衆の中に、あの子供達は……!!

「ふう、やっと到着か」


 あれからなんだかんだあって、

 一か月は持つであろう封印を施してからの、

 改めて勇者凱旋である、手前の街で止められて何かと思ったら、これかあ。


(勇者様御一行の馬車がお戻りになられる、と王都に住む国民にお達しがあったらしい)


 俺は運転席の隣でわざわざみんなにお披露目、

 ズタボロで十二年ぶりに王都へ来た時は対して見られなかった、

 いやむしろ、なんかやべえのが歩いてるぞって思った民も居ただろう。


「勇者さまー!!」

「おお、あれが伝説の勇者様!!」

「アリナ様まで、お戻りになられているぞ!!」


 そう、運転のダンジュくんを挟み、

 反対側ではアリナが座ってくれている、

 俺が本物かどうか疑わしい人のためにアリナも居れば……


(とはいえアリナだって十二年間、姿を消していたんだよな)


 この通る馬車を見守る観衆の中に、

 アリナが破壊してきた教会の関係者が居たらどうしよう、

 と思ったが沿道にちゃんと警備の衛兵が点在している、大丈夫そうだ。


「ラスロ、こんなにみんなが!」

「お、おう、特に子供も多いな」


 しかも丁寧に並んで。


「でんせつの、ゆうしゃさまー!」

「あれが絵本でよんだ、ラスロさまなのですね!!」

「ゆぅしゃしゃま~、だいゆ~しゃさまぁあ~~!!」


 うん、なんていうかこう、

 こういうのをサクラって言うんだよな、

 まあ全員が全員、そうではないと信じよう。


(ちらっと馬車内の様子を見ると……)


 一列目の窓際にはミオスとロズリ、

 二列目はナタリとハミィで新ハーレム、

 三列目はなぜかカーテンを閉め、真ん中に旧ハーレムのあと三人が固まっている。


(あれは、どうしたんだろう?)


 しばらくすると理由らしき声が……!!


「あっ、ハミィお姉ちゃん!」

「いとこの、ハミィ姉ちゃんが乗ってる!!」


 十歳前後の姉弟、

 ハミィのいとこ、ということはだ、

 うん、あれだよな、つまりは、そういうことだ。


(やはり来ているのは、ヨランの息子だけじゃなかったか)


 しかし東の魔導都市って相当遠いぞ?

 いや西のヨランが住んでいた場所もかなりのものらしいが、

 確かあっち、東は湿地帯やら山脈やら険しい道のりだったはず。


(ということはだ、子供達の中にはひょっとして……)


 一瞬、ハーフエルフの姉弟が見えた気がする。


「ラスロ、気が付いたみたいね」

「ま、まあ、話だけは聞いていたからな」

「安心して、一気に全部はラスロが処理できないから、まずはヨランの件からよ」


 と、いうことは、

 更にもう2件あるということだ、

 まだ俺の中で確定もしていないのに、やっかいな……


(いや、最後に下手すれば、もっと大きい話が)


 そう、アリナの修道院破壊の件が。


「さあ、お城よ」

「おお、ここまでくるとみんな騎士団員だな」


 馬車の後方にも視線が行っているなと思ったら、

 カーテンを開けてヨランが手を振っているみたいだ、

 ここまで来ればもう大丈夫っていう感じなのだろう。


「入場よ」

「もうか、さっさと入れってか」

「お城に仕舞われちゃいましたね」


 ……別に旧ハーレムを護ってくれたって訳じゃ、

 まあ大々的にパレードするみたいな事を言っていたから、

 城の予算的に今ので終わりにしたいのかもな、その方が俺も助かるかも?


(何せ根本的な解決は、していないのだから)


 中庭で降ろされる俺たち。


「あ、ダンジュくん長旅ありがとう」

「いえ、かなりの勉強になりました、次回も是非」

「わかった、陛下に指名しておくよ、とりあえず休んでくれ」


 握手、と……

 アリナも感謝して会話している、

 その間に他のみんなを……エミリとネリィは暗い顔している。


「どうした、もう着いたぞ」

「そ、そうですね、一休みですね」

「ラスロサマァ、ネリィは、早く挙式したいデスゥ」


 ……それで過去が無かった事になる訳じゃ、ないのに。


「とりあえず陛下に報告だ」

「あっ、ダンジュくんも来るかい?」

「恐れ多いですが、勇者様がおっしゃられるのであれば」


 ということで到着早々、

 陛下とお話をしなくちゃだな、

 そこで言わないと、結婚式は……延期だと。


 ================================


「ヨランに逃げられた、だと」

「申し訳ありません、まずは無理してでもと」

「……きちんと来るように命令したのか」「私共では、その」


 苛立つヨランの夫、モリス。


「やはりこの私自らが、迎えに行くべきか……ベルナル」「はい父上」

「ヨランの様子はどうだった」「はい、今は陛下からのミッションに集中しておりました」

「魔界封印か」「不完全らしく、まだ忙しいようです」「それで逃げたのか……」


 どこまでも真面目なヤツだ、

 だがきちんと説明をし、終わり次第すぐ戻ると言えば、

 私とて待たない訳ではないのに……もちろんわかってはいるさ。


(私の命令より、陛下の命令の方が上なことを)


 陛下も陛下だ、

 ヨランにあのような形で言わずとも、

 私に、国王から侯爵への依頼として出せば良いものを。


(いや、それだとスタヴィック公爵家を通さなければ、まずいな)


 陛下→公爵家→侯爵家への依頼だと手間も時間もかかり、

 色々と面倒くさい事も起きると考えて直接、呼び寄せたのだろう、

 こうなると長男に連れて来させようとしても、無理なはずだったな。


「よし、私が陛下に直接、お伺いを立てよう」「ははっ」


 その様子を心配そうな表情で見る長男、ベルナルくん。


(母上……父上はやはり、母上の事など、何もわかってはいないようです)

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