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ハーレム崩壊、十二年後  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第二章 エルフに嫁いだ弓使い しかし本当に愛する人が戻ってきた以上、抱きしめずにはいられない!

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第99話 朝食ついでに旧ハーレムにも 聞かれていないよな、絶対に聞かれていないよな?

「……という事で、俺はアルラウネに命を救われたんだ」


 朝の食卓、俺は旧ハーレムのヨラン、エミリにも、

 個室で昨夜話した魔界での出来事を語った、正直不安だった、

 だが意外と普通に受け入れて貰えたのではないだろうか? さあ、どう出るか!


「ラスロ、ひとつだけ確認したい」「おうヨラン」

「そのアルラウネの姫、アストとか言ったな、その魔物……」

「ああ、魔物だ、間違いなく魔物だ」「胸は何で隠していたんだ?!」


 えっ、そこーーー?!


「葉っぱだよ! 上も下も、大事な部分は葉っぱで隠れていたよ!」

「そうか、安心した」「いや魔物だぞ」「わかったわかった」「何そんな、あしらうみたいな」

「ねえラスロ」「エミリはなんだ」「そのラミア、下は何で」「捲いてたよ腰巻だよ気にするな!」


 よもや女性型魔物の生態を気にしているとは。

 何気に新ハーレムのふたりは、くすくす笑って


「では真面目な話をしようか」

「ああそうしてくれ、ヨラン」

「そのアルラウネの姫への婿入り、今でも有効なのか」


 そこをやはり確認したいのか。


「さっきも話したが、後で話を詰めるとは言った、

 だがいつ詰めるとは決めていない、よって有効であっても、

 決定はされない、このまま決定がされないままであれば、無効と似たようなものだ」


 うん、皆に言われるまでもまく、

 酷い話、そして酷い男だ、だがまあ、

 相手は魔物だからな、たとえ味方であっても。


「じゃあラスロ、逃げ切るつもりなのね」

「ああエミリ、幸いにもアストの性格は『待ち』だ、こちらからあの家へ帰らなければ、

 よほどの事がなければ俺を健気に待ち続けるだろう、まあドリアードから余計な事を聞かなければだが……」


 一応、窓の外を見る……

 うん、芽を植えられた馬車は無いな、

 おそらく車庫は遠い、この会話を聞かれている事は無いだろう。


「ではラスロ様、こちらの人間界に来るような事は」

「無いなロズリ、俺が帰るつもりがない、アストの婿になる気が無いとバレなければ、

 俺が寿命で死んでも待ち続ける、そういう純粋なお姫様だ、健気な魔物だよまったく」


 って聞いていないと思って言いたい放題だな俺。


「それにしても私の手裏剣をわざわざ持って来てくれたドリアード、強そうでした」

「あれはタフだ、燃やしても燃えない、むしろ焦げた煙が毒になる、敵にするとやっかいだ」

「でも味方だったんですよね」「とはいえ大量の昆虫相手はさすがに取りこぼしが出たようだ」


 おそらく魔界ゲートも広がっているのだろう。


「ねえラスロ、いっそその連中に魔界を征服して貰った方が」

「実際その狙いもある、俺が魔王を全て倒したのもそれが目的だ、

 だが新しい魔王がこうも早く、しかも次々と生まれそうな気配が」


 とエミリと話していると、

 勇者の直感とでも言うのか、

 何か、凄く嫌な予感がした。


「どうしたラスロ」

「……なあ、本当にドリアードは居ないよな?」

「テーブルや壁に擬態しているとでも?」「さすがにそれは、わかる」


 窓から身を乗り出してみたり、

 厨房まで覗いてみたりしたが、

 大丈夫そう、なのだが……嫌な予感が払拭(ふっしょく)されない。


「ラスロ様、そんなにうろうろされて」

「何だか急に怖くなってきた、聞かれてないよな?

 大丈夫だよな、奴らに聞かれてないよな、絶対に聞かれてないよな?!」


 ここでナタリが立ち上がった!


「……失礼リンダディア殿、その後ろ髪に付いている種は」

「ん? ……何かくっついていますね、よく見ると芽が出ている」

「ラスロ様、これは」「……よし、朝食を早く食べ終えて、逃げるぞ!」


 ……王都まで追いかけてきたら、どうしようか。


==============================================


 一方、ラグラジュ大森林手前では。


「……コレハ、アストサマニ、イマスグ、ゴホウコクセネバ」


 そう言って森の奥深くへと、

 ザザザザザーーーッと物凄い勢いで入って行く、

 ドリアードのリーダーであった。


==============================================


「さあ、出発だ」

「ラスロ、この芽は外しておくか?」

「そ、そうだな、馬車に付けておかないといけない理由は無い」


 触ると浸食されそうだ、

 体内に入ってこられやしないとは思うが、

 剣で削って、っと……リンダディアさんは普通に投げ捨てていたが、髪のを。


「では行きますよ!」「ああ頼む」


 こうして俺たちは、

 王都へと馬車を急いだのであった。


(……嫌だぞ、お城が植物に征服されていたりしたら!)

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