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色を司りし者  作者: 彩 豊
第2色 青の国 第一章 白黒牛人を助けし者達
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2-1-2(第74話) 旅の始まり

前回はちょっとした前振りとして見てくれればうれしいです。

今回からはちゃんと彩人視点ですので、楽しんで読んでください。

 コロコロコロコロ…。

 馬車の車輪部分の音が鮮明に聞こえる。

 そして、寒い寒い季節も過ぎ、暑くもなく寒くもなく、まさに春というのに相応しい気温である。といっても、周りは緑だらけなのだが…。

 日本人で春と言えば、やはり桜だろう。あの桃色に咲いた花を見ながら弁当を食べたり、酒を飲んだりしたりして、はしゃぎたくなるものだ。

 まぁ、宴会をする友人なんかいませんけどね。

 ………。自分で言っていて悲しくなるな。

 でも今は違う!

 ここは異世界なのだ!

 花見はできなくとも、こんなに女の子達に囲まれているのだ!

 これを幸せと呼ばずして、何が幸せだろうか!

 ………少し熱く語りすぎたな。

 とにかく俺達は今、馬車で旅をしている。

 本来、馬の手綱を持つ人が必要なのだが、俺達は馬の代わりに、


「?どうかされましたか、ご主人様?」

「…いや、なんでもない。引き続き、頑張ってくれ」

「かしこまりました」


 そう、牛人が馬の代わりとして、馬車を引っ張ってくれているのだ。

 牛人は人の言葉を理解し、スタミナもあるということなので、俺が買ったのだ。確かに、手綱を持つ必要がないので、多少は楽かもしれない。

 馬に乗ったことがないので、何とも言えないのだが。

 今もリーフより大きいであろう胸と毛先だけが黒くなっている白い髪を揺らしながら馬車を引っ張ってくれている。


「お兄ちゃん!馬車って楽ちんだね!」

「…ルリ。頼むから俺の隣で暴れるなよ?」

「大丈夫だよ~♪」


 そう言って、ルリは俺の肩に頭を置く。

 ルリはもともとヒュドラという竜なのだが、人化できるらしく、今はほとんど人として暮らしている。

 そして、あの公爵との決闘から、ルリはなんと蛇を使役することができるのだ!

 その蛇達は今もルリの髪に紛れ込んでいるという。

 そして、その髪は今もポニーテールでまとめていて、馬車の揺れと一緒に揺れている。

 …もうルリの頭をなでるのはよそう。


「わたひのほうがおとなれふー!」

「…むぅ~。わらひのほうふぁおとな」

「…お兄ちゃん。お姉ちゃん達がやっているのって…?」

「見ちゃだめだ。あれはきっと…じゃれているだけだ。今は2人の自由にさせるのが一番だ」

「ふ~ん」


 そう言って、ルリはまた前を向いた。

 ちなみに馬車の中で騒がしく頬を引っ張り合いしているのが王女2人組である。

 きれいな紫の髪を腰まで伸ばしている方がカナ=デビル、仮名はイブである。

 そして、紅い髪を後ろで2つにまとめ、常に紅いアクセサリーをつけているのが赤の国の王女であるクリム=ヴァーミリオンである。

 2人とも、俺を嵌めて結婚しようとしている張本人達である。

 何故そんなことになっているのかというと………正直、俺にもわからない。

 一体、何がどうなっているのだか、俺が一番聞きたいぐらいだ。

 そりゃ、なんだかんだ言って、殺人鬼を殺したり、魔王とタイマン張ったり、一国と戦争したり、 貴族と決闘したりと、実に濃い生活を送った気がするが、正直、どれもピンときていない。

 一体、俺のどこがいいのやら…。

 

「アヤト!私、馬車の旅は何度も経験したことがあるから、困ったことがあったら何でも言ってね!」

「う、うん…」


 そして、お姉さん風をビュービューふかせているこの人はリーフ=パールだ。

 今は俺の専属になったため、俺と一緒に旅をすることになったこの中で一番年上で頼りになる人である。

 まぁ、本人の目の前で年上なんて言ったら後で何されるかわかったものではないから言わないが。

ともあれ、俺達はこの6人で旅を始めた。

 ぐぅ~。

 不意に、誰かのお腹の音がなる。


「お兄ちゃん。お腹空いたー!お昼、お昼!」

「…はぁ、わかったよ、ここらへんでひらけた場所でも探すか」

「うん!」


 そう、俺達の旅はまだまだ始まったばかりだ!

 俺はさらなる未知との出会いにドキドキし、楽しんでいる自分がいることに気づき、さらに心躍らせていた。

今週はこれで終わりにしようと思います。

次回もお楽しみにして待っていてください。

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