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色を司りし者  作者: 彩 豊
第三章 桃色脳であるエン公爵との決闘
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1-3-10(第60話) ルリと放つ[破滅光線(デストロイレーザー)]

まだ続きます。

「ルリ。このスピーカーに溜まっている魔力を引き出せるか?」

「ちょっと待って……うーん。まだちょっと難しいかも」

「わかった。それじゃ、俺が魔力を引き出すから、その補助を頼む」

「うん!」

「貴様らが何をしようと、もう手遅れなんだよ、この馬鹿め!」


 なんかまたあいつが言っていた気がするけど気にせず、俺はスピーカーから魔力を取り出すため、手を構える。


「それじゃあ行くぞ」

「うん」


俺はルリと一緒に魔力を回収する。


(二人だとこんなにも違うのか!)


 俺は驚いている。

 何せ、一人で魔力を回収するより、遥かに効率が良いのだ。

 これはおそらく、


(ルリのおかげ、か)


 ルリはさっき、自分ではこのスピーカーから魔力を取り出せないと言っていたが、それは嘘なんじゃないかと疑ってしまうほど、実にいい手際なのだ。

 他の人がどのように魔力を扱っているのか知らないが、ルリはきっと魔力を扱うのに長けているのだろう。


「これぐらいでいいんじゃない?」

「あ、ああ、そうだな」


 あまりの手際の良さに、俺も戸惑ってしまった。

 いかんいかん。今は集中しないと。

 俺はあふれんばかりに集めた大量の魔力を使い、あの魔法を撃とうとしている。

 だが、


「これは予想以上だな…」


 そう、思った以上に、操作する魔力の量が多いため、魔力を制御するのに手一杯なのだ。


「ルリ、また、手伝ってくれないか?」

「次はどうするの?」

「さっきの続きをしてくれないか?今度はあのでかい球体にこの大量の魔力をぶつけるんだ」

「どんな魔法なの?」

「【破滅光線(デストロイレーザー)】っていう、黒魔法の一種だけど、それがどうかしたの…」


 俺が言い終える前に、ルリは自分のおでこを俺のおでこにくっつける。


「……ふんふんなるほどなるほど。そういう魔法なのか」

「まさかルリ。今ので…」

「うん!だからお兄ちゃん!一緒に撃たない?」


 確かに、今までルリの協力が無ければここまでできなかったかもしれないし、俺に優しい我儘くらい付き合ってもいいだろう。


「わかったよ。一緒に撃つぞ」

「うん!」


 俺達の周りにある大量の魔力が黒く染まっていく。

 

「…ん?あの魔法、もしかして…?」


 イブはどうやら気づいたらしい。そりゃそうだ。なんだって、自分の親が使っている魔法なのだから。


「ふん!貴様らがいくらあがこうたって、この最強魔法【蒼月】はだれにも止められん!!」


 最強魔法、ね。


「だったら証明してやる。俺達はあの魔法に打ち勝ってみせると!」

「ほざけ!!」

「お兄ちゃん!準備できたよ!」

「おう!それじゃあ行くぞ、ルリ!」

「うん!」

「「【破滅光線(デストロイレーザー)】!!」」


 俺とルリから、黒光りした光線が巨大な蒼い球体に向けて、放たれた。




 どごおおおぉぉぉ!


 【破滅光線(デストロイレーザー)】と【蒼月】が激突する。

 そして、


「ば、馬鹿な!?互角だと!?」

「ちぃ!」


 公爵は驚き、俺は舌打ちしてしまう。

 俺の予測では少しではあるが、俺の方が優勢になると思ったんだけどな。

 こうなったら…。

 俺はアイテムボックスから魔力池を取り出す。


「お兄ちゃん!それ以上使うと大変なことに…」

「今使わなかったら、もっと大変なことになるだろうが!」


 俺は魔力池を使って魔力を回復させる。

 う…。ちょっとくるな。

 だが、そこまで問題ないな。

 俺は回復した魔力も全て【破滅光線(デストロイレーザー)】に込める。


「なぁ!?私の最強魔法が押されているはずだと!?ありえない。こんなことはありえない!!」


 良し!このままいけば、あの魔法【蒼月】を消し飛べせる。


「いっっっけけけえええぇぇぇ!!!」

「うおおおぉぉぉ!!!」


 俺とルリは叫びながら、最後の力を振り絞る。

 そして、


 ずどどどぉぉぉん……。

 花火が上がったかのような音が発生し、音が止む頃には、


「う、うそだ………」

 真っ青な空が俺を見てくれていた。

これでやっと彩人とルリは[蒼月]に打ち勝ったわけですが、決闘はまだ終わっていません。

次回の分からは、来週に投稿しようと思います。

感想の方、よろしくお願いします。

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