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色を司りし者  作者: 彩 豊
第三章 桃色脳であるエン公爵との決闘
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1-3-8(第58話) [蒼月]の威力。そして、ルリの助言。

「やった…」

「馬鹿な!?あれは魔銅で作られた剣も折るほど固い物のはずだ!それなのに何故!?」


 それは魔銅より魔銀の方が硬度が高く、魔力を纏わせたのが原因じゃないんですか、とは言わない。俺だって、敵に情報を無償で提供するほど馬鹿じゃないのだ。


「お兄ちゃんありがとう!これであのフェニックスも喜んでくれるよ!」

「そうか。それならいいんだけどな」


 さて、これで終わりだっけ?

 …そうだ!あのくそ公爵を殺すか降参させないといけないんだった!すっかり忘れていたぜ。

 さて、あの公爵は…、


「くっくっくっく」


 なんか笑っているんですけど。


「あーはっはっはっは!貴様らにはもう勝ち目など存在しない!何故ならもう我々の最強魔法【蒼月】の詠唱が完成したからだ!」


 なんか自信満々に宣言し始めてきたぞ。というか、ここまで詠唱が必要な魔法って、なんか嫌な予感しかしないんですけど…。


「今なら土下座して泣いて許しを乞えば、痛みを感じることなく一瞬で殺してやろう」


 それ許してないじゃん。どうせ許しを乞えなくても殺す気なんだろうし。


「なんでお前みたいな馬鹿に泣いて許しを乞う必要があるの?むしろ…」

「ふん!どうせそう言うと思ったわ、この馬鹿め!食らえ!」


 そう言うと、今まで持っていた杖を高く上げた。

 そんなことより、俺の言葉にわざわざ被せるのはやめてほしいんだが。


「我は我以外の火を許さん。その火はどこまでも燃え続け、やがてこの地を蒼く染めるだろう。その火を天からもたらさん。出でよ、【蒼月】!」


 ………。


「なんだよ、何も…」

「お兄ちゃん!上だよ上!」

「まったくどいつこいつも人のセリフを最後まで…」


 そう言いながら上を見るとそこには、巨大な蒼い月があった。



 え?何あれ?もしかしてあれが公爵の魔法なのか?どう見ても蒼い月がここに向かって落ちてきそうなのだが…。

 きっと俺の気のせいだろう。魔力を使い過ぎて、幻覚が見えているのかもしれないな。


「お兄ちゃん。あれ、どうやって止めるつもり?私じゃあれを止めるのは無理だよ…」


 そう言いながら、ルリは落ち込んでいた。

 …現実逃避はやめよう。

 とにかく、現状の整理だ。

 あの公爵率いる魔法使い達が唱えた魔法【蒼月】が俺達の頭上にある。そして、【蒼月】と呼ばれる、蒼く燃えている月のようにばかでかい球体が俺達めがけて降ってくると。

 …あれ止めなかったら、この城やばくない?城だけでない。城周辺の建物にも多大な被害がでるんじゃないか?それらのことを踏まえてあの公爵はあの魔法を使ったのか?


「これで貴様らもおしまいだ!この魔法でこの国を変えてやる!そしていずれ私は世界の王となるのだ!」


 高らかに宣言しだした公爵。その言葉に、


「「「………」」」


 国王だけでなく、いつの間にか観戦していたリーフさんやクリム王女も唖然としていた。

 そもそも、あの【蒼月】という魔法で世界制覇とかできるわけないじゃん!

 でもピンチなことには変わりない。どうやったらあの魔法を阻止できるのか、いまだいい案が出てこないのだ。

 こんなことになるなんて、聞いていないぞ、スレッド国王!

 俺は仕返しとばかりにスレッド国王を睨み付けた。

 ぷいっ。

 俺の視線に気づいたのか、俺から視線を外し、上を見ろ、と言わんばかりに上を指さしていた。

 …落ち着け。これ以上あの国王に怒ったってしょうがないじゃないか。

 こういうときこそ、どうすればこの危機を乗り越えられるか考えるんだ!

 …。

 ……。

 ………。

 駄目だ!まっったく思いつかない!どうしよ!?


「ルリ!何かいい方法無いか!?」

「う~ん。お兄ちゃんが今まで作ってきたもので何とかならないの?」

「それだ!」


 俺は今まで作ってきたものを思い出す。

 どれだ!?どれが使える!?これか!?それともこれか!?

 俺は必死に作ってきたものを思い出す。

 魔銀で作った剣や槍等の武器、魔力が回復できるよう魔力を込めておいた魔力池(俺命名)、そして、魔王から盗んだ【破滅光線(デストロイレーザー)】。駄目だ!どれもあの巨大な蒼い球体を完璧に消すにはもっと強力な魔法がないと!


「どうする?」


 どの魔法を使っても、あの蒼い球体を完璧に消すことができない!


「どうする!」


 そもそも俺の魔力量も残り少ない。


「どうする!?」


 一から準備する時間もない!


「もう、おしまいか…」


 俺は乾いた笑みを浮かべる。そして膝から崩れ落ちる。


「ふっふっふ。ついに敗北を認めたか」


 確かにこの決闘、俺の負けかもな。どうやったって、あの魔法【蒼月】に勝てる魔法が思いつかねえんだ。


「お兄ちゃん!あれが使えるんじゃない!?あれ!」

「…あれってなんだよ」

「「ぞうふくき」ってやつだよ!」


 ぞうふくき?

 ああ、増幅器ね。

 でも………あれ?もしかしていけるのか?

 でも魔力は?それも確かあれが…。

 行けるのか?

 あの魔法に対抗できるのか?

 違う。悩むところはそこじゃない。

 やらなきゃ。ここまで勝てる算段も見込みもあるんだ。そして絶対に、


「勝つ!!」


 俺はゆっくりと立ち上がった。

まだまだ続きます。

評価、よろしくお願いします。


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