表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私が書いた悪役令嬢の世界に転生したのですが、キャラが全員設定と違います  作者: 夜凪 蒼


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/25

第5話「唯一、設定通りだった人」

全員が設定と違った。


 レイアは優しかった。エドガーはダメだった。ミアはしっかりしていた。


 私は少し途方に暮れていた。


 自分が書いた世界にいるはずなのに、知っている人が一人もいない気がした。


 そんなとき、廊下でヴィンに会った。


 私の書いた設定では、ヴィンはこういうキャラだった。


 攻略対象②。レイアの元婚約者。冷静沈着で、状況分析が得意。感情を表に出さないが、守りたいと思った人間には絶対に手を貸す。「余計なことを言うな」が口癖。


 会った瞬間、目が合った。


 「……マリア・ソレン」


 「は、はい」


 「顔色が悪い」


 「少し、考え事をしていて」


 「余計なことを考えるな。体に出る」


 (余計なことを言うな、が「余計なことを考えるな」になってるけど)


 (ほぼ設定通りだ)


 「……すみません」


 「謝らなくていい。水を飲め」


 ヴィンが近くの水差しを指した。


 (設定通りだ)


 (こういう人だった、ヴィン)


 「ありがとうございます」


 「礼はいらない」


 (礼はいらない、も設定通りだ)


 感動で少し目が潤んだ。


 「どうした」


 「……なんでもないです」


 「嘘だ」


 「少し、安心して」


 「何に」


 「ヴィン様が、思っていた通りの方で」


 ヴィンが少し黙った。


 「思っていた通り、とはどういう意味だ」


 「えっと……お噂通りの方だということです」


 「俺の噂など聞く機会があったのか」


 「少し」


 ヴィンがじっとこちらを見た。


 (見透かされそうで怖い)


 「マリア・ソレン」


 「はい」


 「お前は、何かを知っているな」


 (ドキッとした)


 「何のことでしょう」


 「うまく誤魔化せていない」


 「……すみません」


 「謝らなくていい」ヴィンが静かに言った。「ただ、一つ言っておく」


 「何ですか」


 「この学院には、表から見えないものが多い。気をつけろ」


 「……それは、どういう意味ですか」


 「そのままの意味だ」


 ヴィンが歩き出した。


 「ヴィン様」


 「何だ」


 「また、話せますか」


 ヴィンが少し立ち止まった。


 「用があれば来い」


 「……ありがとうございます」


 「礼はいらない」


 廊下の向こうに消えていった。


 私は一人で立ちながら、少し笑った。


 (設定通りの人がいた)


 (ヴィン、ありがとう)


 でも最後の「この学院には表から見えないものが多い」は、設定にはなかった。


 (それは、どういう意味だったんだろう)




    ◇


 ──柊詩の手記より。


 『ヴィン、ほぼ設定通りだった。感動した。泣きそうになった。でも最後に「表から見えないものが多い」と言っていた。設定には書いていなかった。この世界には、私の知らないことがある。当然か、三話しか書いていないから』




次話:「キャラが設定と違う理由が、見え始めた」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ