男女共学のバイビー38
頭が痛くて不安にいたたまれなくなり自殺したくなるのですよねと、後藤が言った。
頭の手により武器と電話が徴収された直後、後藤が「不安で頭が痛くて死にそうだ」と不調を訴え出した。
頭がすかさず言う。
「頭が痛いならば横になって休め、後藤」
言われた通り後藤が頭を抱えるように横になるのだが、不調を訴え続ける。
「頭、いたたまれない不安で頭が痛く死にそうです。救急車を呼んでくれませんか」
頭が腕を組み熟慮してから答える。
「いや、残念だがそれは出来ない」
林が訝り、尋ねる。
「何故ですか、頭。武器を隠し救急車を呼べば敵も恐れおののいて退却するだろうし、俺達全員助かり、こんな馬鹿げた茶番劇も終わるのではありませんか?」
頭が断言する。
「いや、敵は仲間を殺された報復戦を仕掛けているから、今は心理的に追い詰めて、こちらを不安にして発狂させての各個ゲリラ戦を仕掛けているが、救急車のサイレンを聞き付けるのと同時に逃げる前に戦術を切り替え、一斉攻撃を仕掛けられる可能性が極めて高いからだ」
今井が頭の意見に賛同する。
「俺もそう思う。既に俺達は完全に包囲されている袋の鼠状態だからな」
後藤が駄々をこねるように喚く。
「絶望感に不安でいたたまれなくなり、頭が割れそうに痛くてどうしようもなく自殺したくなるのです。動悸も収まらいし、早く救急車呼んで下さい、お願いします!」
林が後藤を気遣い言う。
「救急車にサイレンを止めて貰えばいいのではありませんか?」
頭が答える。
「いや、それは聴き入れてくるない。無理だろう」
その言葉を聞いた直後、後藤が「うおー」という奇声を上げながら立ち上がり、全力で走り出し、頭の「後藤!」と呼ぶ制止も振り切って、ドアに体当たりしてドアノブをがむしゃらに回し、外に奇声を上げながら飛び出して行った。




