二年生if●ハロウィン
二年生のハロウィンif
三人称。
遅れましたが、Happy Halloween!
二回目のハロウィンの文化祭。
ファンに囲まれて抜け出せなくなる前に、音恋達は生徒会室へ避難して、卒業した赤神と桃塚を待った。
「結局、宮崎は吸血鬼の仮装か」
天狗衣装に身を包んだ黒巣が頬杖をついて問う。
「うん。リュシアン達が煩かったから。そしたら紅葉ちゃんが張り切っちゃって」
「おそろーい!」
音恋と桜子は、吸血鬼の仮装だ。演劇部の衣装担当の紅葉が、二人のお揃いのドレスを用意した。
赤黒いコルセットとハイネックのブラウス。黒っぽいジャケットに黒に艶めくスカート。ゴジック系のドレスを着たヴァンパイアガールの出来上がり。
可愛らしいと思うが、猫塚双子は膨れっ面をする。
「今年も猫又に仮装してほしかったー」
口を揃えて文句を漏らす。去年は猫又だった。
「そんなことよりさ、なんか先輩達に悪戯でもしない? 宮崎、なんか案ある?」
ニヤリと黒巣は笑みをつり上げて、話題を変える。
悪戯なら黒巣の十八番のように思えるが、音恋は一つ思い付いた。
「あるけれど……」
「どんな悪戯?」
「どうせまた演技力を使った冗談だろ?」
「うん、まぁ……」
桜子が食い付き、黒巣は笑う。その通りだと頷くと双子も興味津々になり近付いた。
「やって見せて!」
「やって見せて! 音恋先輩!」
「……わかった。じゃあちょっと電気を消してくれる?」
「あ、うん」
扉にいた緑橋に電気を消してもらえば、カーテンが閉められた生徒会室は真っ暗になる。
音恋がどんな悪戯をするのかと、桜子も双子も黒巣も緑橋も音恋を待つ。
ポッ、と音恋がライトをつけて自分を照らした。
淡い光に照らされた音恋は、悲しそうに微笑んだ。
まるでその闇に溶けて消えてしまいそうなほど、儚い微笑。
「ごめんね……私……――――死んじゃったんだ」
泣いてしまいそうな掠れた声で告げる。
そんなはずはない。音恋が死んだはずではない。
そうわかっていても、音恋のその表情でギュッと締め付けられる。音恋が闇に消えてしまう恐怖に襲われた。
そして――――一同は泣いた。
「うわぁあんっ! ネレン死なないで!」
「先輩死んじゃ嫌!」
桜子も双子も音恋にしがみつく。
「二度とその冗談言うな!」
黒巣は目元を押さえて怒る。
「冗談なのに」
「アンタの演技力は無駄に高過ぎるんだよ!」
「冗談なのに」
「二度とするな!」
冗談なのに。
あらかじめ冗談と言ったのに、怒られてしまった音恋は肩を竦める。
悪戯で泣かせてしまった桜子達の頭を撫でて宥めた。
「来たぜー! って、なに泣いてんだお前ら!?」
「ど、どうしたの皆!?」
橙が桃塚と赤神を連れて戻ってきた。黒巣と緑橋は目元を押さえて、桜子と双子は音恋に泣きついている。よくわからない現状に戸惑う三人。
「happy halloween 先輩方、悪戯してもいいですか?」
音恋はにっこりと笑いかけて挨拶をすると、泣いていた桜子達が顔を上げて言った。
「絶対に悪戯だめっ!!」
20141102




