14、再起をかけて
結奈と話をしてから俺は結奈に許可を貰い。
昼休みに吉鶴に会いに行った。
何というか(江本の事をどう思うか)という事を伝えに行こうとした。
江本はクラスでもなかなか良い奴だ。
だからこそ、とは思う。
「吉鶴」
「!」
教室に居る吉鶴に声をかけるなり吉鶴はビクッとした。
俺は「話があるんだが」と言う。
吉鶴は「な、何の話」と俺に聞きながら出て来る。
「江本卓という人間を知っているか」
「えも、江本君?うん。知ってるけど」
「江本と話をしてみないか」
「え?またどうして?」
「江本がお前と話をしてみたいそうだ」
その言葉に吉鶴は「私と話?どうして」と言う。
俺は少しだけ考えてから「お前に興味があるそうでな」と言う。
吉鶴は「!」となりながら俺を見る。
俺は「それで提案した」と答える。
「そう、なんだね」
吉鶴は何かを察したようだ。
俺はその様子に吉鶴を見ていると吉鶴は「話だけなら」と答えた。
その言葉に俺は「ありがとうな」と言う。
吉鶴は「いや。大丈夫」と笑みを浮かべる。
「それで別件になるが。お前体調は大丈夫か」
「私?あ、うん。一応変な事はしてない」
「なら良いが。変な事をしそうになったら言えよ」
「そうだね。でも私は生きる事が贖罪だと思っているから」
その言葉に「だな」と返事をしながら吉鶴を見る。
吉鶴は「私ね」と俺を見る。
俺は「?」を浮かべた。
「生きる事、諦めない」
「!」
「私が諦める時はお婆さんになった時だね」
「吉鶴」
「私、もう死なないから」
俺は吉鶴を見る。
吉鶴はニコッとしながら俺を見ていた。
俺は「どうしてそれなのにお前は浮気をしようと思ったんだ」と聞く。
すると吉鶴は顔を曇らせて「私ね。新しい恋にチャレンジしたかったんだ。いつしかそれを思っていて自分を見失ったんだ」と答える。
「私は愚か者だよ」
「新しい恋にチャレンジしたかった、か。それはストレスの発散でか?」
「そうだね。私が馬鹿なだけだよ」
そして吉鶴は黙る。
俺は「これからお前はどう生きる」と聞く。
すると吉鶴は「私は懺悔してから生きるよ」と苦笑した。
それから「私は生きる価値は無いんだけど君に言われたから」と言う。
「そうか」
「だからもう恋はしないと思う」
「!」
「もしかして江本くんは私が好きなの?」
「成程な。そういう事か」
「そう。私は恋はしないよ」
吉鶴は窓枠に手を添える。
それから真剣な顔をしてから俺を見る。
俺は「それとこれは別件でも良いんじゃないか」と言う。
吉鶴は首を振った。
そして「私は恋をする資格は無い」と答えた。
「私は呪われているから」
「成程な」
「私は終わっている。だから恋をする資格は無い。今するべきは懺悔のみだね」
そして窓枠から吉鶴は手を離した。
それから「今の私は犯罪を犯して更生する様な。そんな人間だから。だから江本くんには申し訳ないけど付き合えない」と言う。
俺は「そうか」と返事をする。
「ゴメンね。せっかくの機会だけど」
「いや。俺はお前の考えも知れて良かった」
「私はそういう考えで生きてる。反省だけで生きるって決めている」
「ああ」
そうしていると「吉鶴先輩」と声がした。
俺は「!」となりながら結奈を見る。
吉鶴は「瀬本さん?」と目を丸くしながら結奈を見る。
結奈は「確かに貴方は私の目の敵で絶望を招く存在です」と言う。
「だけど考えました」
「考えたっていうのは?」
「今の貴方と前世の貴方は違う」
「!」
「貴方はこの世界では生まれ変わったようなもんです」
「瀬本さん」
吉鶴は結奈を見つめる。
そして「でも」と言いながら「君も好きだったんでしょ?前世で彼の事が」と言いながら沈黙する。
結奈は「その通り。私は前世で彼が大好きでした。しかし貴方が全てを奪った。だけど」と言いながら顔を上げる。
「お墓の前で散々恨みました。貴方の事を」
「うん」
「でもこの世界は10年前です」
「そうだね」
「だからこそ私は貴方には反省はしてほしいですけど。それで人生を潰すのは間違いかなって思い始めたこの頃です」
その言葉に吉鶴は「そういう考えをしてくれるんだね」と控えめに笑みを浮かべた。
だが次には笑みは消える。
それから首をまた振ってから「私はこの世界だろうがどんなユートピアだろうが。迷い込んだ以上と前世でそれだけやった以上。私には生きる価値は無いよ」と苦笑した。
「ありがとう。瀬本さん」
「吉鶴先輩。私は彼を裏切り自殺まで追い込ませた貴方を許さない」
「だろうね」
「だけど」
結奈は吉鶴を見る。
それから吉鶴の手を握った。
俺は「!」となりながら結奈を見る。
「決して許した訳ではありません。ですが背負うのは半分ぐらいで良いと思います。この世界の貴方を殺す必要はない」
「瀬本さん」
「私はそう思います。もう一度、今の貴方でやり直しませんか」
吉鶴は「でもまた浮気するかもしれないしね」と言う。
すると結奈が「そうはさせません。というか今の貴方は再生した」と言う。
それから「私は今の貴方が浮気するとは考えにくいです」と話す。
「決して私は貴方を許した訳じゃないですが。今の今までの貴方を見て思った」
「私はそんな事は」
「貴方がそう思わなくても周りはそう思います」
その言葉に吉鶴は苦笑した。
それから涙を浮かべてから「そうかな」と小さく呟く。
そして沈黙する吉鶴。
俺は「結奈の言葉の通りだな」と話した。
「この世界と前世のお前は違う。だからこそ俺はお前が再チャレンジするチャンスぐらいはあっても良いんじゃないかと思っている。お前は重々に反省しているしな」
「ア、アハハ。ありがとう」
吉鶴は「分かった。そこまで言うなら江本くんに会ってみる」と笑顔になった。
俺はその顔を見てから結奈を見る。
結奈は笑みを浮かべてから「はい」と返事をした。




