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ひねくれ者の異世界攻略  作者: FALSE
〈1章 ルークラート王国編〉
14/180

13話

今回は百合百合回です、

ぬるーい話ですけどお付き合い下さいm(_ _)m



「ここです」




 優人が先導して森を抜けたあと、イリスが家までの道を案内した。

 ルークラート王国とラルの街との間にポツンと、イリスの家は存在していた。レンガ造りのその家は、そこにあるのが当たり前だと言わんばかりの雰囲気を醸し出している。




「どうぞ」




 そう言ってイリスは玄関ドアを開けて手招きする。




「へぇ、結構広いんだねー」




 ナナの感想の通り、中はそれなりに広い空間が広がっていた。ただ、そこはやはり異世界。日本とは異なり玄関とリビングが直結している。リビングには木製のテーブルとイスのセットが中央にあり、奥には本棚、その脇にソファ、という何とも変わった配置だった。




「座っててください、水持ってきますから」




 イリスはそれだけ告げると、左側の奥の部屋にあるキッチンへと歩いて行く。




「ユート! ユート!!」




 と、既にソファに座っていたナナが隣に来いと言わんばかりに横を叩いていた。

 彼としても少し恥ずかしかったが、言う事を聞かないと文句を言いそうなので仕方無くナナに従う。ソファに深く腰をかけると、ナナは優人のお腹に顔をグリグリ擦り付けてくる。




「おい、いきなりなんだよ」


「いやー、寝心地いいんだよ、ここ」




 えへへーと、ナナは幸せそうな上目遣いでそう話す。



(可愛い、可愛いのは確かなんだけどなぁ)



 何かが違うんだよな、と優人は思った。




「ユート、どうかした?」


「あーいや、何もない」




 ナナが頭をあげたかと思うと、次は腕に絡みつき、肩に頭を乗せてくる。




「おい、今度はなんだよ」


「んー? やってみたかっただけだよー」




 えへへー、とまた微笑んで彼を見つめる。少し過剰すぎる気もするその行動に、優人は歯止めを聞かせる事にした。




「ナナ、調子に乗りすぎだ」


「そんな事ないよー?」




 とぼけるナナだが、それを鵜呑みにする優人でない。




「あんまり調子に乗ってると、スリーサイズ上から順に公表していくからな」


「えっなにそのいやがらせ!!?

というかユートそんなの知らないでしょ!?」


「ふっふっふ、甘いよナナ君。

上から言って差し上げよう、89、60、77だろ?」


「は、えええぇぇ!!?

ちょ、やめてなんで知ってんの!?」


「それは秘密」




 最低だー!!!デリカシー無さすぎ!!!

と、優人の胸をナナは真っ赤な顔でポカポカ叩く。

 ナナが叩き疲れて「本当に何で知ってんの……」と涙目になるのと同じタイミングで、イルミが三つのコップをお盆に乗せて運んでくる。




「………………何してるんですか?」


「おおイリス、ちょうど良かった。

今ナナのスr―――――――――」


「ストォップストォーーーーップ!!!」




 ナナが全力で俺の口を塞ごうと飛び付いてくる。優人はそれを避けつつ、イリスが座ったテーブルの方へ寄っていく。




「とりあえずこうして家に来たんだけど、この後イリスはどうする?」




 イリスの対面に座り、そう質問する。




「前と同じように、冒険者になる訓練をしようかな、と思います」


「とりあえず、冒険者登録はしておいたら?」




ようやく落ち着いたのか、優人の横の椅子に座ってナナがそう言う。




「いえ、やはり万全を期してから冒険者になりたいので」


「別に、今のままでもイリスは大丈夫だと思うぞ?

冒険者でクエストを受けながらでも訓練は出来るし」




そうだよ!一緒に冒険者頑張ろう!

と、ナナが後押ししてくる。




「そう、ですね。その、出来ればついて来て貰いたい、です」


「もちろん!………ユート、いい?」


「…………いや、俺は抜きで行ってきてくれ、その間にここの書物を見ておくから」




 流石に人の多い街にはまだ近付きたくない、というのが今の彼の心情。ナナがそれを無視する様な性格ではない事を知っていての発言なのだろう。




「そっか、うん、わかった」




 一瞬悲しそうな顔をしたナナだが、「すぐ帰ってくるね!」とまた笑顔に戻る。














――――――――――――――――――――――――





「ふー、気持ちいいねー」


「はい、気持ちいいです」



 優人達は明日の朝にナナがイリスを連れて冒険者ギルドに行くことを決め、女の子二人で先に風呂に入ることにした。



「それにしても、イリスちゃんって本当に美人だよねー、ナナより年下って言うのが嘘みたい」


「そんなことない、です。ナナさんも、おキレイ、です」


「ありがと!!

私もね、ルックスには自信あるんだけど、最近自信失いかけててね………」


「ユートさん、ですか?」


「そう! あの人、ナナがどんだけ積極的にアタックしても全然反応してくれないの!」


「だから、さっきあんな事を、してたんですね」


「え、見てたの!?」


「……………ふふっ」


「いやー!! 恥ずかしすぎる!!」


「そんな事、ないですよ。ナナさん、可愛らしかったです」


「もういやーーーー!!!」


「ふふっ………………あ、ユートさんはこの事を言ってたのかな」


「やー!! …………ってなんの話?」


「秘密、です」


「えー! 気になるー!」


「ねぇ、ナナさん、ユートさんの事、好きなの?」


「うっ………………わかる?」


「バレバレ」


「やっぱりかぁ……」


「ナナさん、可愛い」


「ちょっとーー!!

そんな意地悪する子はこうしてやる!!」


「えっ、きゃっ!?

ナナさん、それっ、やめっ、いやっ!」


「へっへー、お嬢さん、ここですかい?

それとも、ここですかい?」


「ナナおじさん、手つきヤラシイっ!

い、いやっ、くすぐったいから!

そ、そこはダメっ!?」




 うへへー良い肌してるねー。と、完全に悪ノリをするナナの声と、イリスの悲鳴が風呂場にこだましていた。










――――――――――――――――――――――――






 ナナとイリスが風呂に入っている一方、優人はソファに座って魔法書を読んでいた。

しかし風呂場はソファの後ろの壁の裏にあるため、ナナとイリスの会話が割とはっきり聞こえて来る。



(うっ、ナナの気持ちは知ってたつもりだけど、それを他人に言われていると知るのは恥ずかしすぎる………

てかナナのやつ、何やってんだよ……後で痛い目に合わせてやるか)



 風呂場から聞こえて来るナナの変な声とイリスの悲鳴によって、優人の苦悩はまた一つ増えるのだった。






ナナのいじられ方は個人的に好きなんですよね〜

次回は久々のあの人やアイツが登場して………?

次回投稿10/31(月)17:00予定です

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