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フォレスティアさんの正体

 なんか皆の雰囲気がおかしい。


「今、なんつった?」


 変なこと言ったっけ?


「だから、フォレスティアさんに薬師の仕事とかを教えてもらえるんです。」


 静まりかえっている食堂。あのアルさんですら固まっている。


「あのフォレスティアさんから教えてもらえるって言ったか?」


 再度エルが確認してくる。


「あのなのか、どのなのかは知らないけれど、エルフのフォレスティアさんから教えてもらえるって言ってるんです。」


「嘘を言ってねぇよな?本当にフォレスティアさんなんだな?」


 また確認かい。


「何度いわれようと、そうとしか言い様がない。」


 何度も聞かれるので、さすがにイラっときた。って、あのエルが『さん』付けだと…?


「…他になにか言ってなかったか?例えば精霊関係とかはどうよ?」


 エルが恐る恐るといった感じで聞いてくる。


「精霊術も見てくれるらしいですが、それがなにか問題でも?」


 ザワっとする食堂。


「やっぱり見えてたんだな。昼間に見たとき、手のひらを見つめてたのはやっぱり見えてたからだったんだな。」


 なにやら興奮ぎみに捲くし立てるエル。


「まじでおめぇ…いや、アオイがなぁ。フォレスティアさんが興味を持ってくれるなんでなぁ。」


 今度は感慨深そうにウンウンと頷いている。いや、話がまったく見えんよ?


「とりあえず、おめぇら今日は解散だ。明日、親父と一緒にアオイをフォレスティアさんのところに連れて行くとこにする。以上、解散。」


 エルの宣言で皆、わらわらと出て行ってしまう。何気に出て行く皆の表情は、高揚しているような気がする。何か僕だけ置き去りに、話が進んでいったのは気のせいじゃないはず。


「一体、皆はなにを興奮してるんです?」


 興奮冷めやらぬエルに、とりあえず僕は聞いてみることにした。


「アオイは、フォレスティアさんが何者か知らねぇのか?」


 知る分けないいじゃんか…。僕はここに来て何日だと思ってるんだよ。まだ2日目だよ?


「知らない。」


 知らないと言う僕を、びっくりしたような表情で見るエル。


「愚妹、アオイさんはここに来て何日だとおもっているの?」


 フリーズの解けたアルさんがエルに突っ込みを入れる。


「そうだった。あまりにも興奮しすぎて忘れちまってた。フォレスティアさんはな、ただのエルフじゃねぇんだよ。竜殺しの英雄なんだよ。」


 どうやら僕の師匠は竜殺しの英雄様だったらしいです。

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