↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
29/32

第27話 憩いの終わりは突然に

 アストライオス艦隊は、アステロイドベルトのAJ-7基地跡地を後にしてから、木星政府軍の本部の方へと合流することを目指していた。

 途中燃料や水、食糧などの補給を行うために木星から離れたサテライトベース「BC-2」へと到着し、今後の戦闘に向けて備える事になった。


「クラッセル艦長、ひとまず資源コンテナは輸送中です」


 オリバーはモニター越しにコンテナを乗せた輸送用小型車両がタラップの上を走る様子を確認する。


「そうか。動きがあり次第、連絡を頼むぞ」

「了解」


 その中でプロメテウス隊の四人は、久しぶりに羽を伸ばして休める状態にあった。

 ゼナードと戦略ボードゲームに興じるラディエス。一人昼寝をしているパティ。

 ハンドメイドアクセサリー作成をしているアリカ。

 それぞれ多種多様な過ごし方である。


「ゼナード、さっき本来3マスしか動かせない重戦車の駒を1コマ多く動かしたよな?」

「そうか? 気のせいだと思うが……」


 とぼけて目を逸らす


「嘘つくなって。しょうもないことするなよ」

「ちっ、バレたか……」


 そしてゼナードは駒を1マス後ろに下げる。


「いくら勝てないからって、ズルは良くないぞ」

「分かってるさ。これじゃ俺の負けは確定だな」


 ラディエスは自身の持ち駒である巡洋艦のコマを2マス進めて攻撃範囲に入り、ゼナードは重戦車のコマを自分で取る。


「資金もゼロ、持ち駒が全滅したってことは……、負けだな」


 退屈そうな眼で顔をしかめるゼナード。

 この戦略ボードゲームでも、ラディエスの独壇場であった。


「よし、終わりにしよう。次はあまり駒をガンガン進め過ぎないようにな」

「ふん、そんなことくらい分かってるぜ」


そして二人は、ボードゲームのセットを片付けて軽食用のポテトペーストのチューブミールを味わうのだった。



 一方、昼寝をしていたが目が覚めたパティ。

 彼女はアリカのいるミーティングエリアへと向かう。


「アリカ、いくらCICの仕事が減って来たからって、趣味に没頭し過ぎないようにね」


 パティは、アリカの肩に手を添えた。


「はい……、パティ大尉」


 彼女は一旦作業の手を止めてから、新しいメールが入っていないか軍用デバイスを確認し、画面を操作する。


「今のところ緊急連絡は入っていないようですね……」

「そう、分かったわ。ところでラディー達は今どこにいるの?」


 顎に手を添えつつ、口元を歪めるパティ。


「あのお二人なら今休憩室にいるかと」

「教えてくれてありがとう。じゃ、また後でね」


 そしてパティは休憩室へと足を運んだ。


「ラディー、ゼナード……、今忙しい?」

「おっ、どうした? 丁度ボードゲームも終わったことだけど。何の用だ?」


急に話しかけられ、少し戸惑うラディエス。


「ここ二日は戦闘もなくて暇だけど、油断しない方がいいと思うの」

「まぁ、そうだな。油断していたらあっさりやられかねないからな。なぁ、隊長さん」


 ゼナードはラディエスの方に視線を合わせる。


「勿論その通りだ。でも、たまにはこういう息抜きも大事だ。常に考え事ばかりしてると、気分が冴えなくなるからな」

「そう……。分かったわ」


 パティは納得がいっていないものの、一応自分なりに妥協しようとして、頷いて見せた。

 この憩いの時が、いつまでも続くとは限らないという気持ちが混ざりつつも、彼女は紅茶を飲むことにした。



 一方、ミュートロン軍本拠地・セカンドアース基地では、ボナパルト隊が作戦を練っていた。

 作戦としては、彼らにとって目の上のたん瘤とも言えるアストライオス艦隊の殲滅が主な目的である。


「さてと……、今回の作戦では、アストライオス艦隊の航路をキャッチしたので奴らを仕留めるという訳だが、ロルフ、説明を」

「はい、エスニア少佐」


 ロルフは会議室のコンピュータを操作し、それを接続したプロジェクターから木星付近の航路マップが表示される。


「今回は木星のサテライトベースの中でも、防衛網が強力なBC-2を襲撃する。その作戦に当たって、支給された新型機、ガイゼロスを使用することになりました。この機体はウイングの部分にビームカッターが搭載されています。また、機動性にも優れていることもあり、この作戦では敵部隊を翻弄し、その上で集中砲火を浴びせて殲滅するという訳です」


小型端末に表示されたメモデータを見つつ、ロルフは作戦内容を読み上げた。


「うむ、説明ありがとう。という訳で、今回の作戦では高機動型であるこのガイゼロスの強みをフルに生かしたものとなっている。隙を突いて斬撃を喰らわせて倒すという戦法を主体でやっていく予定だ」

「エスニア少佐、今回こそ奴らを……」


 薄ら笑いを浮かべながら拳を握り締めるバーツェン。


「そうだな。どうやらここにはアストライオス艦隊が停泊しているとのことだ。この隙を狙って奴らを殲滅するのが最終目的だ」

「我々ミュートロンの力を発揮して、奴らを再起不能にして見せましょう」


 こうして、彼らはBC-2攻撃作戦を行うべく、着々と準備を進め、その日のうちに進軍を開始した。戦闘態勢も整い、万全な状態で挑むこととなる。



 それから半日後、BC-2への方向へとミュートロン軍の艦隊が向かっているという事が判明。ラディエス達は急ピッチで戦闘に向けて準備を整える事になった。

 彼らの表情は、この情報が入ったとたんに豹変し、真剣な眼差しで戦いに挑むアストライオス艦隊のクルー。


「ラディエス・ライオネル、ロードブレイダーMk-Ⅲ、出撃する!」

「パティ・ネイス、ストライル出撃します」

「ゼナード・バーツ、ストライス出撃するぞ」

“三人共、どうか生きて帰ってください……”


 アリカの切実な思いを受け取った三人。その思いを胸に漆黒の宇宙へと向かう。

 彼らに少し遅れる形で、オルフェウス隊とヒュペリオン隊、クレイオス隊などの部隊も出撃し、戦闘態勢に入る。

 今回の作戦では、BC-2のクルーも参加しており、戦力としては十分である。

 ついに、戦いは幕を開けた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。