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第10話 深紅の狩人を討て

 ラディエス達は、ヒュペリオン隊が地球での経験が浅いことに対して気を遣い、ひとまず地球での戦闘マニュアルを送る。


「あっ、ラディー。シュウさんあれから地球には慣れてきたかしら」

「どうだろうな。でも、来たばかりのころと比べて重力の差にも慣れてきてるとは言ってたな」


 彼はそう言うと、パティの持ってきた紅茶を一口飲む。


「シュウさんとは、すんなり打ち解けられたしひとまずは大丈夫そうよね」


 二人が談笑していると、談話室のドアからゼナードが入って来る。


「よっ、二人共。とりあえずこれ貰うぜ」


 ゼナードは席に座り、紅茶を味わう。


「これからは、人と人との関わりもどんどん入り乱れてきそうだよな。あっ、そうだ。今度の訓練は早朝から終日やるらしいな。くたばんないように気を付けろよ」

「言われなくても分かってる。とにかく寝坊だけは防ごう」


 ラディエスは手元のタブレット端末を使って電子書籍を読み始めた。

 そんな中、ラディエスの方へとシュウが来た。


「やあ、休憩中かい?」

「あぁ、そうだがどうしたんだ?」

「機体の整備しとけって整備班の班長が言っててね。僕は、まだここの整備環境に不慣れだから、アシストしてくれると助かるよ」

「分かった。とりあえず行くから」


 ラディエスはスッと立ち上がり、整備ドックの方へと向かった。

 ベンやマルク達は、シュウに各器具の使用方法について丁寧に教えていたが、彼はほんの数分で器具の使い方を完全に理解する。


「地球の方ではこういう風に整備するんだ。木星とはOSが違うから、どんなのかと思ったけど案外楽勝だね」


 整備用システムをコントロールするタブレットを軽やかに扱う


「随分と呑み込みが早いですね。シュウさん」


 マルクは教える事がなく、その上驚いていたため、ただ突っ立っていた。


「しかしこの手付きからして、この手の機械の扱いは慣れてるようだな。」

「ええ。木星では自分の機体を自力で整備するのはしょっちゅうなんで」

「ふぅん。じゃあ俺達は別の所に行っても大丈夫そうか?」


 ベンは、自分の腕を組みつつ彼を眺めた。


「いいですよ。これは自分で出来そうなので」

「分かった。じゃあまた後でな」


 ベンとマルク達は、次の仕事のために持ち場へと向かった。

 この様子を見たラディエスは安心して、自分の機体をそのまま整備する。



 一方、ミュートロン軍はこの間にロンドン基地の襲撃作戦を行っており、ボナパルト隊が猛威を振るっていた。凄まじい火力と物量で次々に地球軍のMUを撃墜していく。


「ふん、骨の無いヤツめ。落ちろ」


 エスニアは両肩のビームキャノン砲で敵機を即座に撃墜する。


「何ィッ!? グワアァッ!」


 機体は爆発四散し、近くにあった格納庫もその爆風に巻き込まれ壊れていく。


“エスニア少佐、このまま中枢部を破壊すれば確実にロンドンを沈黙できるでしょう”

「あぁ、バーツェン。これでチェックメイトだな」


 エスニアはビームライフルを素早く構えて基地本部の施設を破壊し、いとも容易くロンドン基地を壊滅状態に追いやった。

 数日後、全世界ではミュートロン軍がとうとうロンドン基地を陥落させたというニュースが報じられたことから、各地の兵士達を震え上がらせ、警戒心を高めることになる。

 

「こんなことになるなんて……。あそこには私の友人もいたのに……」


 アリカは涙を流して顔を覆い隠す。


「アリカ……。こんなことが起きたら本当に辛いよね。私も友人を戦争で亡くしたことがあるから、その気持ち分かるわ。ミュートロン軍は本当に……、許せない」


 パティは珍しく自身の感情をはっきりとあらわにする。


「パティ中尉……」

「俺もジミー隊長をミュートロンの連中に殺された。だから、奴らは許すわけにはいかない。絶対に……」

「その気持ちは俺達も同じだ。隊長さん」


 ラディエスとゼナードはお互いに目線を合わせて頷く。

 すると、基地内に警報が鳴り響いた。ラディエス達は、またしても戦いへと赴く。


“今回の戦闘部隊の中には、ロンドン侵攻を成功させたボナパルト隊もいるようです!”

「そうか……。この間聞いた深紅の狩人《カーマイン・ハンター》の部隊か……。尚更気を緩めちゃいられないな! 行くぞ皆」

“了解!”


 プロメテウス隊とオルフェウス隊は、地上にて戦闘部隊を待ち構える。


「どこからでも来い! 発射!」


 ジュノーはバーストキャノンを連射し、敵部隊を撃墜していく。


「新型め! 潰すッ!」

「近づいて来たな! これだッ!」


 バーストナックルで勢いよく機体を粉砕したジュノー。

 さらにもう一機背後から近づく事に気付く。


“ジュノー隊長、ここは私が!”


 ジュノーの部下、カール・フォストはビームソードで敵機の胸部を一気に突き刺す。


「助かったぜ、カール」

“いえいえ、どういたしまして”


 すると、もう一人の部下のブルーノ・マッケンジーが唐突に通信に割り込む。


“大尉! 前方から敵機六機接近! どうします?”

「ブルーノ、本当か? だが間に合いそうにないな……」


 そこへとラディエスの駆るロードブレイダーMk-Ⅲが駆け付ける。今回はストライクタイプの武装で身を固めている。


「ここは俺が! 構えて……、撃つ!」


大型粒子砲から放たれた凄まじい電撃によって、敵部隊が一掃された。


“ラディエス! 西方向の護衛をしてたんじゃないのか?”

「ちょうど終わった所でしてね。今は別の部隊に任せています。嫌な予感がしたんで、ここに来ました。もうじきうちの部下も来るでしょう」

“そうか。ここに来て加勢は助かるぜ”


 そんな中、彼らはレーダーでボナパルト隊を捉えた。

 直後にパティやゼナードも合流。二人もすぐさま攻撃を仕掛けていく。


「なんてすばしっこい敵なの! でも負けないわ!」

“パティ、ゼナード、このまま上空から迎撃頼む”

「分かったわ、ラディー」


 なるべく攻撃が当たりにくい上空へと飛ぶパティとゼナード。

 地上ではラディエスがオルフェウス隊と共に厳戒態勢を敷く。


「ラディエス、俺達で吹っ飛ばしてやろうぜ!」

“そうですね。やっちゃいましょ”


 そしてプロメテウス隊を筆頭とする部隊は、ボナパルト隊の方へと集中砲火を浴びせた。

 しかし、エスニア達はこの攻撃を素早く回避していく。


「しまった! 回避されたか。だがこれくらいでッ!」


 ラディエスは負けじと光線を撃っていく。


「ロルフ、バーツェン、挟撃して倒すぞ!」

“了解!”


 エスニア達三人が各々率いる分隊で、ラディエス達を撃墜しようと試みる。


「まずいッ! やられる……。ならばこれで!」


 ジュノーはキャノン砲で、ロルフの機体に被弾させた。


「くッ……、まだまだ! ここでやられるかよ!」


 ロルフはビームライフルを速射し、バーストブレイダーに対抗する。

 さらにジュノーは、バーストナックルを用いて接近し機体に致命打を与える。


「しまった! 脱出!」

“ロルフ中尉! 大丈夫ですか?”

「あぁ、なんとか……」


 大破した機体から射出されたポッドを、部下が急いで回収する。

 その後ロルフの率いる分隊は撤収し、バーツェンは一気に攻めていこうと試みた。


「ロルフをここまで追い詰めるとは! 今度は俺が!」


 バーツェンは即座にビームソードを取り出し、ジュノーに斬りかかる。


「落ちろッ!」

「何ィッ!?」


 隙を突かれたジュノーは機体腕部を斬られて、窮地に立たされた。

 しかし、その中で一筋の光線がバーツェンの機体に直撃する。


「ウワアッ! なんだ……?」


 その光線を放ったのは、シュウであった。

 空中から地上付近の方へ、偵察ユニットを飛ばしており、既に彼の視界に入っていたのだ。


“シュウ! 助かるぜ”

「礼には及びませんよ、ジュノー大尉」


 そこでラディエスはジュノーを庇った上で敵機に集中攻撃を仕掛け、バーツェンの機体は大破した。この事態を重く受け止めたエスニアは、自分の率いる分隊のみで戦闘を行うことになった。


「深紅の狩人め! 来たな!」

「奴がとうとう来たか。仕留める!」


 ラディエスとエスニアは激しく撃ち合った。

 しかし、機動性ではエスニアの方が優位に立っており、ラディエスは上手く攻撃できずにいる。


“コントロールシステム、破損! 注意シテクダサイ”

「くッ! このままじゃ……」


 機体に搭載された人工知能が警告メッセージを出す。

 そこでラディエスは、目を鋭くして照準を定める。

 シュウもまた、必死になって隙を探っていた。


“シュウ、いけるか?”

「ええ、そろそろかと……。今か!?」


 シュウの持ったブラスターから、閃光が勢いよく放たれた。

 さらに、ラディエスのインパクトキャノンの攻撃を喰らい、エスニアの機体は大きな痛手を負い、そのまま撤収を余儀なくされる。

 こうして、何とか今回もラディエス達は勝利を収めた。



 戦いを終え、ラディエスは疲れながらも自室に戻ってベッドに横たわっていた。


「しかし、何だろう……。この並々ならぬ嫌な予感は……?」


 嫌な気分が心の中に渦巻く中、彼は眠りについた。

 その予感は的中してしまうのか?


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