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47 世界を股にかける王子

今回短めです。

自国の王子のことを知りたいなんて聞いてきたら警戒するかもしれない。そう考えを巡らせ聞き方がまずかっただろうかと思っていると、件のグリューフェルト伯爵こと四天王ヴラドが口を開いた。



「僕はとある国の公爵を父に持っているのだけれど、見識を広めるよう仰せつかって国を出て諸国漫遊の旅をしているんだ。このオーランド王国の王子殿下は瘴気に飲まれ存亡の危機の国を救うため奔走していると聞いて興味が湧いて会ってみたいと思ってね」

「へ、へえ、公爵の父」

「諸国漫遊」

「…お金ってあるところにはあるよなぁ」

「あれ、それなら公爵子息なわけですよね? グリューフェルト伯爵っていうのは…」

「あ、伯爵位はうちの家が保有している爵位のうちの一つでね。旅先で名乗るのに箔があった方がいいだろうと貰い受けたんだ」

「爵位いくつもあるんだ」

「箔」

「…わかってたけど、貴族って住んでる世界が違うなぁ」



住んでいる世界、いや階級の違いをまざまざと思い知らされため息をついてシルバーウルフの三人はうなだれた。

リンカもリンカでどれだけ金持ち貴族のボンボン設定なんだと呆れていた。そのくせ護衛が二人って設定は隙がありすぎだし不自然なのではないかとツッコんでいた。



「ええと、では他のお二人は護衛で?」

「ああ、冒険者ギルドでスカウトして護衛に雇っているんだ。そっちの剣士がゲーデ。こちらの美少女がリンカちゃん。頼りになる旅の連れさ」



あ、名前は普段のやつ名乗るんだね。

四天王だとか聖女だとかバレないかな?

ゲーデは我関せずでそっぽを向いて椅子に腕を組んで座っている。さっきあれだけ怒っていたからわたしたちを置いて出て行ってしまうかと思っていたけれど、ちゃんと付き合ってくれるあたりいい人だな。

しかしわたしの紹介内容おかしいな。そう思ったのはわたしだけではなかったようで三人の顔に疑問が浮かんでいる。



「ええと、リンカさんのクラスってなんですか?」



この場合のクラスは言うまでもないけれど何年何組とかではなく職種とかジョブのことである。

しかし何で答えたらいいだろう?

聖女は完全にアウトだ。騒ぎになる。

いつも着てるローブだったら魔導士や神官のふりができたけれど、今の冒険者的な服装では合わない。

では冒険者らしく剣士? 槍使い? 格闘家?

武器ないし戦いの身のこなし方わからないから嘘がわかるな。………思いつかない。



「…知らない方がいいこともあるよ」

「え、あ、はい」



"聖女だということは"と内心で思っていったのだけれど、どうも相手は恐ろしい方面に勘違いしたらしく顔を青くして顔をひきつらせていた。なんだろうな、暗殺者とかネクロマンサーでも想像したのかな。



「というわけで、王子殿下のことを教えて?」

「あ、ああ、このオーランド王国の王子は一人で名前はテオドール殿下。ダークブラウンの髪と青みがかったグレーの瞳で父王と同じ色を持つ容姿をされている。瘴気の対策を幼少時から調べておられ、危ないと止められながらも自ら境界に赴き数々の実験を実行しておられる。しかし芳しくなく知識や情報を得るべく勇者の国に留学し、卒業後は各地を飛び回り調べているそうだ」



ずいぶんアクティブな王子様だ。

瘴気対策を調べているというから文献や神話を調べる学者肌なインドアタイプかと勝手に想像していた。いやまぁ、エルグラン王国までいって勇者ウィルを拉致未遂してるわけだからアクティブはアクティブなんだけど。



「じゃあ今もよその国を飛び回っているのかな?」



各地を回っているなら接触するのは難しそうだ。せめてどこの国にいるかだけでもわかればいいのだけれど。



「いや、今日明日にもオーランドに帰ってくるらしいと聞いたな」



なんだって?

すっごくタイミングいいじゃない。

オーランドで会えるとは千載一遇のチャンス!



「どこに行けば会えるかなぁ?」

「この町にいれば会えるんじゃないかな? 港で待ってれば」



え、港?



「殿下は船で海を通り帰国する予定だよ」


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