8 魔導書の魔物討伐ー上級編ー
前回につづき戦闘回です。
「次は上級の魔物ですね。さっきより強いですから数体ずついきますか」
「リンカ、まだ浄化はいけるか?」
「うん、全魔力の7割は残ってる」
「よし、ではいくか」
まずはリビングアーマー、デーモン、ラミア。
全身鎧のリビングアーマーが長剣を掲げてツヴァイに襲いかかりツヴァイが後方に飛んで避けた。
「後衛の魔導士に襲いかかるとは騎士道に反する!」
「騎士じゃなく鎧の魔物なだけだ。そんなものは持ち合わせていない」
「あ、騎士じゃないのか。ていうかツヴァイには相性が悪いから助けないと!」
「ほうっておけ。座り仕事ばかりでたまには体を動かしたいとぼやいていたからちょうどいいだろう」
「運動不足解消、命がけ過ぎない?」
「ほらよそ見をするな。来たぞ」
デーモンが宙に悪魔のコウモリのような翼を広げて止まり魔法を唱えている。
その間にラミアが蛇の下半身を動かしにじり寄ってきていた。ラミアは上半身は女性だけど完全に魔物化しているのでためらわず戦おう。
「ラミアは俺が倒すからお前はデーモンをやれ。俺より前には出るなよ」
「わかった!」
わたしは魔法を唱え始めるもデーモンの魔法が先に完成した。
天に右手を上げ雷雲が上空に集まっていく。
あれを使うつもりか、だったらお生憎様。
『サンダー』
「ホーリーエリア!」
ぐぐもった声を皮切りに走った稲妻がわたしたちに落ちる直前に、わたしの魔法が間一髪間に合い結界に弾かれる。
今度はわたしのターンだ。
「ホーリーアロー!」
デーモンに光の矢を無数に撃ち込んだ。
胸から無数の光の矢を生やしデーモンは宙から落ちながら霧散した。
「デーモンもあっけなく倒すか。なかなかやる」
魔王の関心するような声に振り向けばとっくにラミアの姿がなかった。ラミアが雑魚扱いか…
「あいつ待ちか」
ツヴァイはというと魔法を弾くリビングアーマーの鎧に手こずっているのかまだ戦っていた。
「魔法鎧のリビングアーマーか。レアだな」
「魔法鎧って魔法で強化されてる鎧ってことだよね。あれ魔法を弾いてない?」
「そういう魔法がかけられているようだ。これは魔導士にはやりにくいだろうな」
やっぱり相性悪かったんだ。助けないと。
「いい、リンカ」
「でも、」
「あれは実験しているだけだろう」
「実験?」
「魔法も魔力もどの箇所に当てても弾かれるか。ならば」
リビングアーマーから大きく距離をとったツヴァイが両手を広げるとリビングアーマーの左右の地面の塊が巨大な氷に盛り上げられる。ツヴァイが両手を打ち合わせる動きに合わせて氷が動き、盛り上がった地面と地面に挟まれグシャリと潰れる音がした。黒い霧が隙間から漏れて消えた。
「残念ですが鎧は廃棄処分ですね」
「研究が済んだらさっさと次を呼べ」
リビングアーマーの鎧、回収したかったのか。
「では次は、ナーガ、アラクネ、ミノタウロス、です」
「うわ、ダンジョンボス級だ」
「ん?」
魔王が空を見上げているけれど、まさに敵が現れようとしているのによそ見はやめて!
そうこうしているうちにナーガとアラクネとミノタウロスが姿を現した。
「なんだなんだ、面白いことをしているじゃないか! 俺様も混ぜろ!」
空から男の声が響いた。
鷲の翼と上半身、ライオンの下半身、あれはグリフォンだ。初めてみた。かっこいい。
それに男が跨っている。
彼をわたしは知っている。
「魔王配下四天王ガエル、いざ参る! 皆来い!」
彼の周囲に魔法陣が3つ浮かび上がり中から三体の魔獣、巨狼フェンリル、8本脚の馬スレイプニル、炎の鳥フェニックスが姿を現した。
「俺に続け!!」
四天王ガエルがグリフォンに騎乗したまま中庭に急降下すると三体の魔獣が続いた。
「リンカ、離れるぞ」
「きゃあっ!?」
魔王は素早くわたしの膝裏に手を回し横抱き、いわゆるお姫様抱っこをしてきた。急に体が密着して体温が上がる。絶対顔が赤くなっている。
魔王はわたしを抱えたまま大きく跳び上がり魔王城の屋根の上まで移動すると、すぐに屋根に下ろしてくれた。赤くなった顔を見られたくなくて顔をそむける。
そむけた先の屋根を見れば間をおかずツヴァイも近くにやってきた。
中庭では大蛇、蜘蛛女、牛の魔物VS鷲ライオン、8本脚の馬、火の鳥による、怪獣大戦争が繰り広げられている。
…なんだこれ。
わたし、剣と魔法のファンタジー世界に来たはずなんだけど。いつの間にか特撮の世界に転移してたのか。
「もうあいつらに任せよう。残り全部中庭に放り込めツヴァイ」
「手間が省けますね。ではーーー」
呆然と中庭を見ていたわたしに魔王の声がかかった。
「あれが知っての通り四天王の一人、ガエル。魔獣使いで戦闘狂だ」
中庭は砂埃が舞い、どたんばたんと音が響き
城が震動で少し揺れていた。
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