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3 人は見かけによらない

お読みいただきありがとうございます!

第一部よりも文字数少なく第二部はあげています。

魔王は呆れながらも「今回だけだぞ」とわたしを転移で5階まで運んでくれた。ありがたい。

わたしは足腰きたえないとな…

ツヴァイは転移を自分でしていた。

いいな、わたしも使えるようになりたい。


謁見の間の前を通り過ぎて魔王のプライベートエリアに差し掛かった。執務室は私室より手前にあり3人で入室した。

黒い重厚そうな木材でできているであろう執務机が最奥に置かれて、革張りだろうクッションの効いた椅子がある。これまた黒い。



「ここに座れ」



執務室の右側にソファーとローテーブルの応接セット(もちろん黒い)がありそちらにみんなで向かう。

テーブルの上にはティーセットが用意されカップの紅茶からは湯気がたちお茶請けにクッキーまである。

使用人が用意したのだろうか。

…しかしながらわたしたちがここに来ることは前もって決まっていたわけではない。

そして決めてからは転移を使って5階まで来たわけで茶葉を蒸らす時間があったようには思えない。

こんなベストタイミングでなぜ提供できる!?



「また怪訝そうな顔だな。飲んでも食っても問題ない」

「茶葉は最高級品のダージンを使っていますから美味しいですよ」

「そこじゃない…!」



普通の態度を2人にとられて「あれ、これわたしの態度がおかしいのか?」と一瞬頭をよぎるが振り払ってとりあえずスルーした。

紅茶に口をつけると爽やかな香りに癒される。おいしい。クッキーにも手を伸ばし一口かじるとサクッとしていてバターの風味が広がり優しい甘さを感じた。



「おいしい」

「お口に合うようでよかったです」



ツヴァイは紅茶を飲みながらわたしを観察していたようだ。彼はソーサーにカップを置くとわたしに対して頭を下げた。



「以前は攻撃をしかけ申し訳ありませんでした」

「あ、いえ…」

「罰はいかようにも受けますのでなんなりとお言いつけください」



魔王討伐に以前来た際に四天王とは戦ったけど、まさか謝られるとは思わなかった。

なんなりと、か。

それならどうせだから気になっていた日記のことを聞いてしまおう。



「なら質問に答えてくれる?」

「そんなことでいいんですか? いいですよ」

「…あなた、聖女アスカさんの仲間だった?」

「おや、調べたのですね。お見事です。その通りです」

「アスカさんたちと別れた後、行方不明になったって彼女の日記にあったよ。心配してたみたい」

「おや、あの恋愛脳の片隅に引っかかっていたとは意外でした。彼女とは反りが合わなかったのですが」

「恋愛脳……いや、仲間だったんだから心配くらいするでしょう」

「そういうものですか。わたしにはそういった人間味のある機微が400年生きてもよくわかりませんので」



400年生きてるのか。やっぱりもう人間やめてるのかな。



「俺の方がまだわかるな。お前血が通ってないんじゃないか?」

「作り物の体の方に言われる筋合いはないです」



軽口言い合ってる。魔王一派は上下関係ゆるいのかな。見た目は絶対王政の暴君と氷の宰相みたいなのに。



「ツヴァイさんはーー」

「わたしのことはツヴァイと呼び捨てにしてください。あなたのことはリンカ様と呼ばせていただきます」

「わかった。わたしも呼び捨てでいいよ」

「いえ、賓客ですのでお断りします」

「そ、そうですか」



賓客とか言いながらスッパリ断ってきた。

そういうとこだぞツヴァイ。



「えっと、ツヴァイはアスカさんたちと別れた後魔王城に戻ったの?」

「ええ、どうにも消化不良を起こしているような不快感がありまして。なにかおかしいと。目で見て確かめようと戻ってみれば倒したはずの魔王の体があり眠っていた。これはどういうことかと城中探って隠れていた使用人を引き摺り出し、締め上げ事情を吐かせようとしました」

「…見かねた四天王がこいつを止めに入り事情を説明したそうだ。そうしたら仲間になった」

「やり甲斐のある職務ですから立候補しました。お陰で充実しています。わたしは陛下の眠っている間、代理として実務や配下のまとめ役をしています」

「目覚めたら眠る直前に敵として戦った奴が首脳部として働いているんだ。俺の驚きがわかるかリンカ」

「寝起きドッキリとしては高度だね…」



そのくらいしか絞り出せなかった。

真っ当そうに見えて結構な変人なようだ。


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