第31話 崩壊の始まり1
あと2話分投稿します。
第31話は3ページにまたがります。
平日18時 土日祝12時投稿
その日は、そのあと、ユージェの家の前で別れた。僕は年を取った方の聖樹に戻った。
部屋に戻ると、うつぶせに寝入る。
「ああ、なぜあんなことを言ったのだろう」
正直なところ、僕はユージェに言ったことに関して恥ずかしくなっていた。
気取ったことを言った。告白かよ。
無責任に、感情を垂れ流してしまった。
本心ではある。仲の良い人が死を選ぶならば、どうにかそれを止めたいと思う。
しかしあのタイミングで、あの言い方はない。
思い返してみると恥ずかしい。よくわからないけれども、アコンの民の生の始まりと聖樹の関係性の神秘を見た後、どこか現実感が遠くなっていたか気がする。
そして記憶の中で、僕のセリフを聞いた彼女は少し苦笑いしてやりにくそうにしていたような……。
彼女の常識においては、聖樹のために死ぬことは普通のことなんだ。それを僕の意地で意見を挟み込むなんて、それもかっこつけたようなセリフで、だ。
ああ、思い返すだけで恥ずかしい。
なんでそんなことを言ってしまったのだろう。
羞恥が身体をむずがゆくさせる一方で、僕はあの時考えたことは本心だから仕方ない、と思っている部分がある。ユージェという知り合いがいなくなることは悲しいことだ。
――『本当だろうか?』
ふと、声が聞こえた気がする。
――『本当に悲しいか?』
ああ、悲しいよ……。
誰に言っているんだろう。誰に釈明しようとしているのだろうか。
――『恥ずかしい。本当はやるべきではなかった行為』
そうだ。だからあまりああいうセリフは他人に言うもんじゃないね。
――『そうだよ。無駄なことはよくないさ。だから次から気を付けよう』
うん。次からね……。
僕は夢を見る。




