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【終章完結】神谷神奈と不思議な世界  作者: 彼方
?章 神谷神奈と番外編 
619/622

短編集1――短くても2話分あればいつもと同じ――

 今回は短編です。これ書いてた時は頭がどうかしていたかもしれない。別におかしな話ではないけども。

 因みに今回は笑里回です。







 【性知識? 生まれる前から知ってたよ、私的な事情でね】



 本日、神谷(かみや)神奈(かんな)秋野(あきの)笑里(えみり)の家に来ていた。


「久し振りだな、笑里の家に来るの」


「そうだよねー」


 小学生の頃はよく家で遊んだが、卒業してからはあまり来ていない。中学高校が別々になったからだろう。自然と顔を合わせる機会が少なくなり、共に遊ぶ回数も減る。それでも友達付き合いは続いている。


「私の部屋で待ってて。お菓子とジュース持って行くから」


「りょうかーい」


 神奈は階段を上がり、二階の笑里の部屋へ向かう。

 小学生の頃から変わらず【えみり】という可愛らしいネームプレートが付けられた扉を開けて、中へと入る。


 久し振りに入った部屋は昔とあまり変わらない。

 白い壁、本棚やベッドなどの家具の配置は変化が無い。唯一変化があるといえば、ベッドに置かれたぬいぐるみが兎から熊になっているくらいだ。なぜかリアル寄りの熊ぬいぐるみは異物感が出ている。


「あんまり変わらないな、この部屋。懐かしい」


 小学生時代は才華も含め、よく三人で集まった。

 当時はお喋りやパーティーゲームを主にやっていた。外に出る時はショッピングだ。思い返せば小学生の頃が一番楽しく過ごせていた気がする。


「ん?」


 過去を振り返っていると、ベッドの下に何か落ちているのが神奈の目に入る。放置したらいつか奥に転がって紛失しそうなので親切心から拾った。


「え……」


 神奈は拾った物を見て口が開いてしまう。

 スイッチ付きの棒状の物体だった。先端部分は太く、長いキノコのような形をしていた。スイッチを押すと小刻みにブルブルと震える。


(で、電マだああああああああ!)


 電動マッサージ機。略して電マ。


(えっ、嘘だろ? マジで? ベッドの下に電マって使い方確定してない? エロいことに使ってない? でもあの笑里が? 笑里だよ? 危険なくらい純粋で阿呆な笑里なんだよ? なのに電マをエロいことに使ってんの?)


 神奈の頭の中では笑里が電マでR18なことを行っていた。マッサージ機としての使い方よりも、R18な使い方を想像するあたり思春期真っ只中だ。


(いや、まだそうだと決まったわけじゃない。本人に確認……出来るわけねえだろ! お前これでエロいことしてんのなんて訊けない! さ、さりげなくだ。さりげなーく訊き出そう)


「お待たせー」


 部屋に笑里がやって来る。

 コーラとポテイトチップスを持つ彼女はそれを机に置く。


「な、なあ笑里、こんなものが落ちていたんだけど」


「あーそれ、ベッドの下に転がしといて」


「分かった。……あのー、あのーさ? これよく使うの?」


「最近買ってから毎日使ってるよ」


「毎日!? 変態か!」


「何で!?」


 神奈の頭の中で笑里がどんどん変態になっていく。

 毎日マッサージしていても別におかしくないのに。


「そのー、やっぱり気持ち良いの?」


「そうだね。思わず声が出ちゃうくらい」


「声が出ちゃうくらい!?」


 もはや神奈の頭の中は淫らな妄想で埋め尽くされている。


「ちなみに、使う時間はどれくらい?」


「十分くらいかな。部位ごとになら二分くらい」


 残念ながら笑里が言う部位とは首、肩、腕、脚であり、健康的な使い方しかしていない。百パーセント健全である。


「気になるの?」


 動揺した神奈は「え?」と上擦った声を出す。


「使ってみたいなら今使ってもいいよ」


「今!? 今使えと!?」


「初めての時はすっごく気持ち良いと思うよ。一回でいいから試してみてよ。それとも私が神奈ちゃんに使ってあげようか? 慣れてるから、どこに当てれば気持ち良いか分かってるんだ」


「とんでもないこと言い出しやがった!」


 友達にエロいことを、R18な行為をしようとしている……と神奈は思い込む。とんでもないのは神奈の頭である。


 正直なところ神奈は性的な行為に興味があった。

 去年まで常に万能腕輪を付けていたから、真に一人になる時間はほとんどなかった。当然性的な行為はしたことがない。腕輪にからかわれること間違いなしだから。


 ……しかし、今は一人の時間が多い。

 今まで出来なかったことをやりたい欲が強い。

 性欲も高まってしまっている。神奈の思考は今、冷静ではない。理性が欲に負けかけている。脳内ピンクになっている。


「……や、優しくして」


「うんもちろん」


 この後、神奈はめちゃくちゃマッサージされた。



 * * * 




 【高校生でも歯医者は怖い】


 神奈は今世で初めて歯科医院にやって来ている。

 歯の治療のためではない。治療を受けるのは笑里であり、神奈は付き添いである。どうしても付いて来てほしいと懇願されたので仕方なくだ。


「来る前も言ったけど、歯医者くらい一人で来ようよ」


「しょうがないじゃん。怖いんだから」


「いつもは誰を巻き込んでんの」


「お母さんが拘束して連行してるよ。今日は都合が悪くて同行出来ないらしいから神奈ちゃんに頼んだんだ」


 笑里に予定をずらせとは言えない。

 彼女の右頬は大きく腫れている。虫歯になったことがない神奈でも酷い状態だと分かる。なぜこうなるまで放っておいたのか。痛みはとても強いだろう。今日必ず治療を始める必要があるので予定はずらせない。


 ――ぎゅいいいいいいいいいいいいいい!


 鋭いドリルの音が聞こえてくる。

 聞き慣れない音に神奈は少し驚き、


「うわあああああああああああああ!」


 笑里の悲鳴でもっと驚いて全身が震えた。


「うおっ!? びっくりすんだろ急に叫ぶなよ」


 笑里の方は神奈よりも驚いて震えが止まらない。


「この音、命を削る音だ」


「歯を削る音な」


「もうダメ、こんなところに居られない!」


「おい待て」


 逃げ出そうとした笑里の腕を神奈が掴む。


「虫歯が痛いんだろ? 早く治したいなら治療受けろ」


「いっそ歯を全部抜いて入れ歯にしたい」


「止めろお前。歯医者嫌いすぎだろ」


 入れ歯にしたらしたで苦労しそうだ。

 それに神奈は入れ歯の高校生なんて見たくない。


「あー、あれだ。ドリルの音と思うな。あの音はお菓子を作っている音だ。治療を我慢すればお菓子を食べられるんだ」


「ドリルで作るお菓子なんかないよ!」


「あるかもしれないだろ」


「ない!」


「面倒だな。両手両足折れば大人しく治療受けてくれる?」


「それだと両手両足の治療が優先でしょ」


 とりあえず逃走を諦めた笑里は椅子に戻る。

 彼女が想像以上に歯医者を拒絶するので、神奈は付き添いが一気に面倒になった。そもそも付き添いと言ったって治療中は待合室で待たされるのだから、居ても居なくても大して恐怖は変わらない。


 また彼女が帰ろうとしたら今度は神奈が帰ろうと思う。


 ――チリンチリンと入口のベルが鳴る。


 歯科医院に新たな客が入って来た。

 少し長めな黒髪の男性。見知った顔だ。

 彼を見て神奈は立ち上がりそうになる。


「米神! お前も来たのか」


「おお神谷に笑里ちゃんじゃん! 偶然だな」


 米神(よねかみ)明八(あきや)。神奈と同じ転生者である。

 明八は笑里に近付き、手を何度も合わせる。


「「ヘイヘイヘイのヘーイ!」」


「なんか仲良いなお前等。接点少ないのに」


「へへっ、まあな。俺達親友だからよ」


「いや別にそこまで仲良くないかな」


「……えっ」


 予想外な言葉で明八はショックを受けている。

 信じられない気持ちを隠せず顔に出ていた。


「お前、なんでここに来たの?」


「……なんでって、虫歯の治療だよ」


「それは分かるけど。お前は青森県に住んでるんだろ? 家から近い歯医者へ行けばいいのに。わざわざ宝生町まで来なくてもいいだろ」


 宝生町は埼玉県なので青森県からは遠い。

 明八は加護で光速飛行が出来るので移動に時間は掛からないが、それでもわざわざ違う県に行くのは理由があるはずだ。伊世高校に通っているのも学費ゼロがお得という理由があるのだから。


「あー、レビューサイトで好評価だったんだよこの歯医者」


「レビュー? 歯医者にもそんなのあるんだ」


「ほれ見てみろよ」


 明八がポーチからスマホを取り出し、画面を神奈に見せる。


 【ネオティースクリニックのレビュー】


 無名の虫歯患者 ★★★★★ 7月10日

 この歯医者に行ったおかげで恋人と出会えました。今では結婚の約束もしていて、とてもハッピーです。


 無名の虫歯患者 ★★★★★ 7月9日

 最近オープンした歯医者らしく、興味本位で行ってみました。治療は痛いものの、どんなに虫歯が酷くても一日で完治させてくれます。最高。


 虫歯マスター ★★★★★ 7月9日

 治療というか改造。一度体験すればこの店の虜。


 ラブラブマシーン ★★★★★ 7月8日

 ここの治療は世界一と言っても過言ではない。虫歯が何本あっても一日で完治。痛みも世界一だけど麻酔を打ってくれるから大丈夫。


 無名の虫歯患者 ★★★★★ 7月8日

 最高。


 無名の虫歯患者 ★★★★★ 7月7日

 最高。


「……胡散臭えええ」


 なんというか、胡散臭さの塊だった。

 最高評価が多いのも逆に胡散臭い。


「お前これ見てよく来る気になったな」


「好評価なんだぞ。行ってみたくなるだろ」


「私はお前のことが心配だよ。詐欺には気を付けてくれ」


 レビューは他人の意見として参考になるが、中には嘘のレビューも存在する。企業や関係者が金を払って嘘を書かせることがあるのだ。見分けるのは難しいので神奈はあまりレビューを見ない。


「笑里はここの常連だよな? 実際のところここは良い場所なわけ?」 


「いや、私も今日初めて来たよ?」


「え? 毎回母親と来てるって」


「いつも行ってる歯医者が嫌でさ。偶には違う歯医者に行ってみたくなって、偶々視界に映ったここに入ったんだよ」


「余計なことを考えるなああああああ!」


「――予約している米神明八さん。どうぞ」


 待合室で話していると受付の女性がそう告げる。

 笑里の方が早く来ていたにもかかわらず、明八を優先させるのはなぜなのか。明八も自分からなことに少し驚いている。


「俺から? まあ、じゃあ先行くわ」


 明八は治療室へと入って行く。

 早く帰りたい神奈は不満に思い、受付に向かう。


「あの、笑里の方が米神より早く来ていたと思うんですけど」


「予約されている方優先なので」


「笑里だって予約して……ないの?」


 思わず神奈は笑里の方へ顔を向ける。


「うん」


 考えてみれば笑里が予約出来るわけなかった。

 阿呆だから……ではなく、彼女はこの歯科医院を偶々見かけて入っただけだからだ。入ると決めたのが先程なので予約は不可能である。


「それよりそろそろ受付してくれませんか?」


「え、いやいや、受付は済ませて……ないの?」


 思い返してみると笑里が受付する場面を見ていない。しかし受付すらせず待合室に座る阿呆が居るわけない。否定してほしくて神奈は笑里の顔を見つめる。


「……忘れてた」


「忘れんな! てか普通来てすぐ受付するだろ! 何だったんだよ今までの待ち時間! 何の意味もなかったじゃん!」


「治療が嫌だから脳が忘れようとしたのかも」


 とりあえず神奈達は受付場所の前に向かった。

 治療が嫌なのは分かるが、治療を受けなければ笑里は帰れない。


「まずお名前と保健証の提示をお願いします」


「秋野笑里です。保健証はこれです」


「では次にコースを選択してください」


「はい……はい?」


「コース? 歯医者にそんなのあるんですか?」


 歯科医院でコース選択なんて聞いたことがない。

 神奈は今世で歯科医院に行っていないから正常か分からないが、笑里の困惑を見る限り正常ではなさそうだ。


「はい。こちらになります」


 受付の女性が紙を神奈達に見せてくる。

 虫歯99%減 20000円〜?

 虫歯70%減 10000円〜?

 虫歯50%減 8000円〜?

 虫歯30%減 5000円〜?

 微かに感じる胡散臭さが強くなる内容だった。


「いやいや、全部治せよ」


「……帰っちゃおうかな」


「すみません、冗談です。本当はこちらの紙です」


 受付の女性が別の紙を見せてくる。

 治療コース 8000円〜?

 修整コース 5000円〜?

 改造コース 15000円〜?


「治療と修整は分かるけど、改造って何?」


「改造コースは歯を改造致します。歯をドリルにしたり、金属にしたり、カメラを埋め込むことも出来ますよ。因みに改造の種類によって値段は大きく変わります」


「歯をドリルにしたい奴居る!? 居ねえよなあ!?」


「犯罪の臭いがする。ここは名探偵笑里の出番だね」


「警察の出番じゃね? まだ通報しないけどさ」


 歯の改造。果たして合法なのか違法なのか。

 改造なんて歯医者の仕事ではないだろう。それならどこの仕事かと訊かれたって神奈達にも分からないが。


「――ぎゅああああああああああああああああ!」


 悲鳴が奥から響く。

 聞き間違いでなければ明八の声だ。

 尋常ではない叫び声に神奈達は思わず扉へと目を向ける。


「今の、明八君の声だよね?」


「おい受付さん。あいつ、どのコースで予約したの」


「米神様は治療プラス改造コースです」


「まさかのダブル!? なんであいつ改造も頼んだんだよ!」


 明八は虫歯の治療に来たと言っていた。

 何を思って改造を頼んだかは分からないが、やはり改造は危険なのだろう。彼の絶叫が恐ろしさを物語っている。一応ここは歯医者なので死ぬことはないと信じたい。


「改造コースは多少の痛みを伴いますので、悲鳴を上げるのは普通ですよ」


「多少って痛みじゃないでしょあの悲鳴は」


「どうしよう神奈ちゃん……私、家に帰ろうかな」


「いや家には帰るなよ。他の歯医者行け」


 神奈達はこの歯科医院で治療してはいけない気がしてきた。

 明八を救出するのは手遅れだ。彼の無事は諦める。

 改造を受けた明八に神奈達は黙祷を捧げる。


「――おーっす。終わったぜえ」


 黙祷をしている時、扉が開いて明八が出て来た。

 声に反応した神奈達は驚いて彼に駆け寄る。


「米神! お前無事だったのか!?」


「無事? 何の話だよ。そんなことより見ろよこの牙!」


「牙!? 歯の形変わってやがる!」


 明八の歯は全て……鋭く尖っていた。

 歯をドリルにされるよりはマシだが、形はドリルと変わらない。改造を受けた張本人は嬉しそうに大口を開けて見せびらかしている。今後の歯磨きが大変になるだろうがそれを言うのは野暮だろう。


「これでワンピの魚人ごっこ出来るじゃん。俺ジン◯エやるわ」


「聞いたことないごっこ遊びだな! ていうかお前の牙ならアー◯ンかホ◯ディーだろ!」


「ホー……D? Dの一族か?」


「新世界からの話を知らないのかよ。後で教えるわ」


「頼むぜ。俺は今から廻と天ちゃんに牙を見せてくる。あいつら絶対驚くぜひゃっほおおおおおう!」


 明八は会計を済ませた後で歯科医院を飛び出て行った。

 彼を見る限り、改造コースで命の危険はない。危険な歯科医院だとは思うが患者の要望に応えてはくれている。普通の治療を頼めば他の歯科医院と同じ治療をしてくれるはずだ。


 とりあえず笑里は治療コースを選択する。

 歯医者嫌いでも勇気を出して奥の部屋へ向かう。


「行ってくるね神奈ちゃん」

「頑張れ、笑里」


 少しして歯科医院内に彼女の絶叫が響き渡る。

 神奈は待合室で叫び声を聞きながら、虫歯予防はしっかりやろうと思った。









 マッサージされた日の夜。


神奈「実は笑里のベッド下に電マがあってさ」

才華「……え!? まあ、私も性知識はあるから、電マを何に使うのかは分かるわ。笑里さん、知らぬ間に大人になったのね」

神奈「お前何言ってんだ? 普通のマッサージに使うんだぞ」

才華「……え!? あっ、あっあっ、分かってましたけど! 下ネタでボケただけですけど!」

神奈「私達は仲間だ」



 歯医者に行った翌日。


明八「シャークオンダーツ!」

神奈「五千枚瓦正拳!」

廻「群鮫(むらさめ)!」

天子「撃水(うちみず)

神音「撃水」


 魚人ごっこは転生者グループでやりました。

 あと明八には他のみんなでカイ◯ウを倒すまでのワンピ◯スのストーリーを教えました。


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