54.ダンジョンバトル決着
今回は主人公のターン
僕のダンジョンの腐食湖がある9階層から降りた10階層は階段からボス部屋へと続く通路。さらにダミーの部屋と階段がある隠し部屋しかない。
10階層のボスは金でできたゴールデンゴーレムと銀でできたシルバーゴーレムたちで、魔法にもわずかだが耐性がある物理耐性ももちろん高いゴーレム。しかし、数が減ったとはいえ、ライトドラゴンやダークドラゴンには勝てなかった。そこは予想通りなので問題はないが。
今回はフェアリードラゴンがいたので10階層の隠し部屋もあっさり見つかり、ドラゴン部隊は11階層へ。
11階層からはシルバーゴーレムや人形系が守るようにしている。本来はもう少し種類がいるのだが、他は今回、退避済みだ。
ここで、こちらのゴブオウが仕掛ける。東、西、南の入り口を塞ぐドラゴン部隊へこちらのモンスター部隊をぶつけ、入り口の確保に動いた。
これを見て、サミーは
「オーガ!?どこから出てきた?お前のダンジョンの入り口までの道は全部塞いでいたはずだぞ!?」
「転移させただけだよ」
「いやいやいや、イオよ。ダンジョンバトルで転移はできないはずだ。嘘言うな」
と言っていたが、確かにダンジョンバトルでは転移での移動は禁止されていて、できないようになっているが、
「本当だって。確かに“転移”そのものはできないけど、“罠”は別だろ?」
と言うとサミーは察しがついた様子だ。
「なるほど。転移罠をこういうふうに使うとは」
今回こちらはより下層から、援軍を送るための入り口確保に向けてモンスター部隊を用意し、転移の罠で入り口付近まで転移させた。そして、入り口を確保。これで援軍が送れるようになる。そのためには敵の数が少ないほど成功しやすくなるわけで、ある程度まで潜ってばらけるのを待っていたというわけである。
今回用意したのは大鬼族ともいわれるオーガ部隊。中鬼族であるホブゴブリン以上のゴブリン種の上位種にあたる。ゴブリンキングとゴブリンクイーンから生まれるのがオーガで、こちらは完全なる戦闘向き。力が強く、打たれ強い。魔力は若干下がったが、それも上位種になれば問題なくなる。惜しいことにウチではその能力を最大限生かす武器がなかったが、それもドラゴンソルジャーが持ってきてくれた。
サミーは気がついていなかったようだが、ドラゴンソルジャーが持っていた装備はゴブリンアサシンやシャドウウルフというモンスターたちが『影移動』というスキルを使って回収、破損などを確認後、オーガたちへ渡したのだ。こちらとしては良い鴨でした。
『影移動』は自ダンジョン内であれば影があればどこでも。その他は事前にマーキングしているモンスターの影であれば移動可能になるスキルだ。
これでサミーのダンジョンにいる侵攻役のモンスター部隊への後方支援が楽にできる。
オーガの攻撃力はアイアンゴーレム以上のため、ドラゴンの鱗でも防げないのはわかっている。
ウルフ隊を周囲の警戒に当たらせながら入り口を防衛、これ以上の敵援軍を入らせないようにしつつ、こちらは援軍、支援物資を送り放題というわけだ。
これは事前の打ち合わせにはなかったが、ゴブオウはゴブリンアサシンとシャドウウルフでフェアリードラゴンを先に退治することにしたようだ。情報収集役は早めにご退場してもらう方が何かとやりやすくなるから、これは良い。実際あっさり退治した後、他のドラゴンたちに絡まれる前に『影移動』にて退避。アサシンの名前のとおり暗殺に成功する。
これによりドラゴンたちは行軍速度が著しく減少し、数が減ったおかげで戦闘にも時間がかかり、援軍も期待ができない状態になった。
ついには進軍をあきらめ、援軍到着まで待機したようだ。これで元々ほぼ前には進めず各個撃破されていた状態からはかろうじて脱却した。
さて一方、僕らの部隊はオーガを筆頭にオーク、ウルフ、スライムなどを援軍に加え、サミーのダンジョン10階層へ。
サミーのダンジョン10階層は東、西、上と3つの入り口から入ってきた部隊の合流ができる階層となっている。わざわざ合流する必要がないのでそのまま11階層めざして進むが。
オーガたちはどんどん下の階層へ行き、10階層に残って退路の確保はオークやスライムなどの部隊がする。
この時点でサミーから
「このバトル降参だ。これ以上は必要ない」
と降参宣言が出て、初のダンジョンバトルは勝利で終った。
少し補足すると、サミーは到達階層の差は返せないと考えたことが負けの判断の早さにつながっています。なのでこれ以上は無意味として、潔く降参したというわけです。
サミー編はもう少し続きますのでお付き合いのほどよろしくお願いいたします。
どちらのダンジョンで何が起きているか分かりにくいとのことでしたので改稿します。ご指摘ありがとうございます。




