117.トトークのダンジョン
お正月休み明け、再開です。またよろしくお願いします。
ダンジョンバトル開始となった。今回ダンジョンマスター本人が参戦、クナはこっち側であるため、ダンジョンマスタールームにいることはできない。ダンジョンマスタールームは両者の様子が見られる。しかも、クナと僕は会話可能のためスパイ行為ができるのだ。
今回ダンジョンマスター本人が参戦とは言っても、こっちまで来させるつもりは全くない上、仮に来たとしても、クナには避難してもらうので、問題はない。理屈は不明だが、もし仮にマスターが死んでもこのバトル後に復活するらしい。試したくはないが。
今後のことを見据えて、僕のダンジョンの構造を大きく変えた。入り口が東西、南の3箇所で場所も変わりはないが、今まで3階だった合流地点を30階へと変更した。今までの5階以下の構造物をすべて30階以下へ移した。そして個別のダンジョンンに見えるように住んでいるモンスターたちの種類を統一した。
こうして簡単なことのように言っているが、実際は非常に手間がかかる。しかしダンジョンの場合、DPを使えば簡単にできる。
30階は広大な洞窟型フィールドとして、地面や天井などに自身で光を出すコケを張り付かせたため地下とは思えないほどの明るさとなっている。僕のダンジョンはここからが本番である。
ダンジョンバトル開始のため、コアルーム横に作った指令室に行く。そこはこちらのダンジョンの様子は見たいところすべて、相手のダンジョンなども自ユニットがいるところはスクリーンに映して見ることができる。
この指令室には僕、クナの2人とゴブオウ、ガキン、ミヒャエルのダンジョンマスター代行の3人、他スタッフとなっている。
トトークのダンジョンの入り口は2つ。僕らはいつものように探索系のゴブリンを中心に送り込む。こちらのモンスターたちはこちらのダンジョンを出た後、マスタールームのような空間に出た後、向こうのダンジョンの入り口へ行く仕様になっているため、攻めにしか使う予定がないモンスターは途中の空間で待機させている。そしてそれはむこうも同じだろう。
「あれは探査魔法?」
「そうだよ。クナ。1階で使うのは、まず1フロアの調査とダンジョンの階数の把握だね。30階まであるかどうかはわかる。今回は20階までしかないね」
「へー。そんなことまでわかるんだね」
「LVが上がって、できるようになったんだよ」
「向こうは20階までしかないけど、もし、向こうがこっちのダンジョンの20階を突破して終わった場合、勝敗はどうなるの?」
「その場合はこっちの負けだね。20階を超えられたら、コアの破壊かダンジョンマスターを倒すしか勝ちはなくなる」
攻略フロア数で決まるからそうなると、いくら戦力的に上回っているといってもこちらは少し厄介になる。向こうとはダンジョンコアのLVが2つ以上違う。それだけ、DP量が違うので戦力的にも違う。
「向こうはこっちのダンジョンの3つの入り口のうち1つから集中して攻略する作戦みたいだね」
「他2つからは入ってくる気配がないわね。こっちは2つから同時に攻めるのね」
「そこはいつも通りなんだけど、入り口が違うだけじゃなくて内部の雰囲気も全然違うね」
「片方は広い平原で、片方は完全な洞窟。しかも洞窟は迷路というよりただの通路だよね」
「しかも、通路の方は罠もない。平原は普通のダンジョンみたいだけど」
「イオ、これなんだろうね?本当にダンジョン?って思うんだけど」
「まあ、こっちは攻略が楽だからいいんだけど。平原はかなり嫌だね。草に紛れて魔物がいるし。これ探知魔法使い続けないといけないから結構大変だよ」
「向こうの攻めて来ているのは、人?」
「ドワーフ、エルフ、獣人だね」
「この世界では魔物扱いなのに、私はショックを受けたよ」
「ダンジョンマスターの影響を抜けると人扱いになるんだけどね。その辺は確認した。そう考えるとこの世界の“人”は何なの?って思うけど」
このような雑談をしつつ、初日は終了する。トトークの部隊はこっちのダンジョンの3階で休憩になったのに対し、平原を行く部隊は5階まで、洞窟を行く部隊はなんと10階にまで到達した。洞窟は本当に通路と言ってよく、罠もなくただまっすぐな道を降りていくだけという、これを果たしてダンジョンと言ってよいのか?と思うダンジョンだった。一体、この通路に何の意味があるのか全くわからない。
ドワーフ、エルフ、獣人はダンジョンマスターの影響下から外れると“人”扱いになりますが、他は野生の魔物扱いとなります。そうなると“人”って何?ってなりますよね。果たしてイオがこの謎を解くのはいつになるのでしょうか‥。




