第48話 店主の料理教室
とある日ーー
俺は神界を散歩していた。
相変わらず怪猫神が頭に乗っているが見慣れたもので、誰も何も言わなくなっていた。
「ねぇ猫神様」
返事の代わりに、頭の上からふわりと尻尾が垂れ、ぺしっと俺の頬を叩いた。
これが怪猫神なりの返事らしい。
「猫神様は魚以外も食べるの?」
「食べるにゃ」
「へぇ〜」
その時、伝令神が現れた。
シュッ!
「伝令!魔界より好奇神様へ言伝を預かっております!」
「なに〜?」
伝令神は俺に言伝を伝える。
「では、失礼します!」
シュッ!
「なんだったにゃ?」
「ご飯のお誘いかな♪創造神も誘いに行こうか♪」
シュッ!
俺は創造神を迎えにいった。
「お〜い創造神!」
「なに〜?」
「魔王さんからお誘いが来たよ!あの時の料理!」
創造神の顔が見る見る笑顔に変わっていく。
「行く〜♪」
「その前に、人間界の食材を調達していこうか!」
「お〜!」
シュシュッ!
俺たちは手土産に人間界の食材を持って行く事にした。
魔界ーー
「ここが魔界にゃ?」
「そうだよ〜」
俺たちは人間界で料理に使う食材と店主への土産を調達し魔王の城に到着した。
「魔王さ〜ん!」
「来たか好奇神、それと創造神よ」
「来たよ〜♪」
魔王が俺の上に乗っている猫に気付いた。
「なんだそれは」
「この子は猫神様だよ」
「そうか、歓迎するぞ猫神」
「怪猫神にゃ♪よろしくにゃ〜♪」
俺は持っていた食材を魔王へ渡した。
「これ!人間界の食材!」
「うむ、すまんな」
魔王は給仕へ手渡した。
「他のみんなは?」
「影宰たちは材料の買い出しへ向かっておる」
「なにしろ量が量だからな」
「量?そんなに食べるの?」
「校長が、我が作ると学校で零してな。生徒全員参加だ」
「はい!?全員!?」
「そんなに多いの?」
創造神は首を傾げている。
「・・・1028人」
「多いね〜♪」
「どうするのよ、俺も手伝った方がいい?」
「貴様もだが、創造神にも手伝ってもらう」
「私!?」
「子供たちの相手をしてくれんか」
創造神は少し固まる。
「・・・任せて〜♪」
「頼むぞ」
「俺も子供たちの相手?」
「貴様は子供たちの相手と料理のサポートだ」
「え〜・・・きつぅ〜」
「店主だけでは人間界の食材を扱いきれんのでな」
「俺だけ重労働・・・」
「貴様はその中で面白いものを見出すのだろう?」
「いや、俺自分の力のことほとんど知らないからね!?」
「期待しているぞ」
「まぁ・・・やってみるかぁ」
怪猫神が尻尾で顔を叩いている。
「私は手伝わなくていいにゃ?」
「猫神様は創造神のサポートをお願いしてもいいかな?」
「わかったにゃ〜」
怪猫神は頭から降り、創造神の横に移動した。
その時、買出しに向かった影宰たちが帰ってきた。
「帰りました。おや、来ていましたか」
「・・・」
影刃は黙って荷物を持っていた。
「おかえり〜、すごい荷物だね」
「参加人数が多いですからね」
「店主さんは?」
「もうすぐ帰ってきますよ」
影宰と影刃は材料を置きに、厨房へ向かった。
バァン!
勢い良く扉が開くと、そこには店主の姿があった。
「魔王様!いい食材が手に入りました!」
店主は大きなリュックにこれでもかという程、食材を詰め込んでいた。
「おお!好奇神と創造神も来てたのか!」
「店主さん、やほ〜♪」
「やほ〜♪」
「にゃ♪」
「今日は猫も一緒か!ちょうどいい!魚介もあるから楽しみにしていてくれ!」
怪猫神が嬉しそうに尻尾を振っていた。
「そうだ、店主さん!お土産あるよ!」
「おう!今度はなんだ!?」
俺は店主に向かってお土産を投げた。
「おわ!!っと、おい!投げんな!」
「ナイスキャッチ♪」
「なんだこのデケェの!?」
「モササウルスだよ〜♪」
「デカすぎるわ!」
「調理よろしくね〜♪」
「よろしくねって・・・どうすんだよこれ」
そう言いながらも店主はモササウルスを厨房へ運んで行った。
「では我も用意するか」
魔王はエプロンを着始める。
「なんか・・・シュールだね」
「かわいい〜♪」
「初めてですよ。魔王様がエプロンなんて」
影宰が厨房から戻ってきた。
「そもそも料理なんてしませんからね。変えたのはあなたですよ。好奇神様」
「俺はやりたいようにやっただけだよ」
「・・・そうですか」
影宰は静かに笑っていた。
その後、店主に呼ばれ好奇神は厨房へ行き、校長が引き連れてきた生徒たちを創造神と怪猫神が相手をしていた。
創造神は子供たちに色々な物を創造し、怪猫神は時折猫の姿になり子供たちを驚かせていた。
「魔王様!その野菜はこう切った方がいいですよ!」
「うむ」
店主に教えられながら料理する魔王は少し面白かった。
「店主さん!次は何したらいい?」
「おう!次はこの魚捌いてくれ!」
「見たことない魚なんだけど・・・」
「お前なら出来る!頼んだぞ!」
店主は魔王に教え、好奇神に指示出しと忙しかったが、表情は楽しそうだった。
厨房で作業をしていると創造神の声が聞こえた。
「好奇神〜!こっち手伝って〜!」
店主は何も言わずに"行ってやれ"という動作をしていた。
「ごめん!ちょっと行ってくる!」
俺は創造神の元へ向かった。
「あいつも忙しいですね!」
「忙しいのではない。楽しいのだ」
「楽しい・・・ですか」
「好奇神は初めて来た時からずっと"面白い"を探している。やつにとって何が面白いかはわからんが、行動する時はいつも"面白い"が最優先だ」
「魔王様・・・焦げてます」
「おぉ・・・すまん」
俺は創造神に呼ばれ、子供たちと遊んでいた。
俺が子供たちの輪に入ると歓声が上がる。
「好奇神だ〜!」
「遊ぼ〜!」
「はいは〜い♪何して遊ぼうか〜?」
その時、俺は思った。『この子たちも魔族。影宰や影刃ほどではないにしろ力はあるはず。運動という体で猫神様を捕まえさせたらどうなるんだろう?』と。
俺は校長に耳打ちをし、許可を得る。
「いいですね。身体能力強化にもなりますし」
「よし!お〜い猫神様〜」
「にゃ?」
怪猫神が猫の姿に戻り、軽やかに駆け寄り俺の頭に乗った。
「ちょっと子供たちのために逃げてほしいんだけど」
「どういうことにゃ?」
「子供たちの身体能力を見たいから逃げて♪」
「・・・ご褒美は?」
「人間界の魚詰め合わせでどう?」
「乗ったにゃ!」
それを聞いた校長は生徒に指示を出した。
「皆さん!こちらにおられる猫神様を捕まえてください!」
その瞬間、猫神様はものすごい速度で走り回った。
「待て〜♪」
子供たちが一斉に怪猫神を追いかけ始める。
その瞬間、地面が揺れ出した。
「にゃはははは♪」
軽やかに避け回る怪猫神。
「はっや・・・」
「子供たちも全力ですねぇ」
「それにしても速すぎるでしょ・・・猫神様も子供たちも」
「あの子は神界でもかなり速い神様だからね〜♪」
創造神がそう言いながら戻ってきた。
「おつかれ〜。これで少しは休憩できるでしょ」
「助かる〜。子供たちの相手は楽しいけど数がちょっと多いよ〜」
流石の創造神も疲れを見せていた。
読んでいただきありがとうございました!
次回 第49話 店主の本気
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