第38話:暫時の別れ(その4)
焕之は大学1年生の後期に入ったばかりなのに、もう2年生の課程を先取りして勉強する忙しさだった。
闵千枝は相変わらずで、真面目に勉強し、陈令と甘い恋愛をし、焕之を気遣い、変わったものを送りつけていた。
それに比べて陈令は少し忙しかった。彼は大学院進学を決めており、できれば推薦入学を目指していた。そのため、生徒会の仕事も各科目の勉強も、非常に厳しく自分に課していた。
彼は高校時代に戻ったかのように、毎日とても刻苦していた。
陈母から時々愚痴の電話がかかってきたが、陈令は右の耳から左の耳へと流すようにし、特に大きな問題も起きなかった。
焕之は教科書の知識を学ぶ一方で、株取引を始め、貿易会社も設立した。
学校の先生は彼が専門を実践することを支持し、わざわざ同じように優秀な先輩を何人か紹介してくれた。
1年生が終わっても、焕之は深城に戻って闵千枝に会いに行くことはせず、自分で起業する道を選んだ。
起業に必要な資金は、焕之は闵千枝に直接借りることを決めていた。
彼は、百万返すのも、二百万返すのも、実際には大した違いはないと考えていた。
焕之の聞く耳持たぬ態度に、闵千枝は彼がマルチ商法に手を出して洗脳されたのではないかと誤解してしまった。
慌てた彼女は、担任の先生にまで電話をかけて確認した。
一場の慌て騒ぎだとわかると、彼女はすぐに100万元を振り込んだ。大金ではあったが、焕之の成し遂げようとしていることは必ずや実現するだろうと、彼女は常に堅く信じていた。
貿易会社は二年生の終わり頃には軌道に乗り、焕之は一心不乱に株式の研究に没頭していった。
やがて、彼の原始的な資本蓄積は、ほとんどの人が遠く及ばない水準に達した。
何人かの先輩たちも、この15歳の年少の弟子のビジネスセンスに心から敬服し、進んで彼と行動を共にした。
一方その頃、闵千枝も実習を控えており、彼女は陈令のいる街を選んだ。
再び夏休みが訪れる前、闵千枝は焕之にも海市に来てほしいと切に願っていた。
二年ぶりに、焕之も闵千枝の変化を確かめたかったので、彼はこの願いを聞き入れた。
空港で焕之を出迎えた闵千枝は、ウサギのように嬉しそうに跳びはねてばかりいた。
焕之も心から嬉しかった。闵千枝は順調にやっているようだった。
陈令は义弟の背格好がまた随分と大きくなったのを見て、ふと「雨が続いているうちは春の過ぎるのに気づかず、晴れて初めて夏の深まりを感じる」という心境を覚えた。
感慨深げに焕之の肩をポンと叩きながら、「今度こそ俺のことを『义兄さん』って呼べよ」と言った。
闵千枝もすぐに同調して、「そうそう、その通り」と続けた。
三人の再会は、まさに祝うに値する出来事だった。焕之も拗ねることなく、真面目な表情で「姉さん、义兄さん」と呼んだ。
闵千枝はたちまち満面の笑みを浮かべた。陈令は彼女の頭を軽く撫でながら、「おい、もう笑うのは止めろよ。今のお前はコマみたいにくるくる回ってるだけだぞ。さっさと家に帰ろう」と言った。
陈令は闵千枝の手を引き、闵千枝は焕之の手を握った。三人は空港の中を並んで歩き、それは眩いばかりの光景だった。
海市では、闵千枝は車を保有していなかった。何と言っても家が地下鉄の駅からすぐ近くで、とても便利だったからだ。間取りは3LDKで、陈令は既にここに引っ越して闵千枝と同棲を始めていた。
今回は、闵千枝が焕之のために用意した部屋は、深城にいた時よりもずっとしっかりしたものになっていた。
ベッドとクローゼットに加えて、VRゲーム設備まで一台備わっていた。
闵千枝は自慢げに見せながら言った。「男の子は今これが好きって聞いたんだけど、どう?」
焕之はやや老成した顔で「僕はゲームはしないんです」と答えた。
が、その発言はすぐに覆されることとなった!
闵千枝に勧められてデバイスを装着し数分遊んだ後、焕之は夢中になりすぎて我を忘れてしまった。闵千枝が食事に呼んでも、彼はまだ完全に満足していない様子だった。
ただ、外のテーブルには彼の好きな料理がずらりと並んでいた。
もちろん、食事に行くのが最優先だ。
彼が席に着くやいなや、闵千枝は休む間もなく彼の茶碗に料理を次々と取り分け続けた。「山盛り」という表現がこれ以上なくぴったりな光景だった。
陈令もこの義兄として手は空けておらず、海鲜のスープを一碗よそって少年に渡した。
闵千枝は焕之の前で自分が小さく感じられた。「焕之、随分背が伸びたね。今どのくらいあるの?」
焕之はあまり気にしていない様子で「179cm」と答えた。
陈令は驚いて「もう僕とほとんど同じじゃないか!まだ15歳なのに!」
闵千枝はクスクス笑いながら「焕之はすぐにあなたより背が高くなっちゃうわよ。その光景はとっても素敵だな」
陈令は闵千枝の頬をつねりながら「俺が厚底の靴を履くくらいで何だっていうんだ」と言った。
焕之は咀嚼を止めて言った。「闵千枝、あなたは164cmしかないのに、どうして183cmもある陈令のことをディスるなんてできるの?」
闵千枝は言い返せないもどかしさを感じ、「…」とだけ言った。
陈令は「はははっ、枝枝、男はやっぱり男同士でつるむもんだぜ~」と大笑いした。
闵千枝は陈令を一瞥し、次に焕之を睨みつけて言った。「私がご飯に強力な肥料を混ぜてやるって言ったら信じる?そんなに結束が固いなら、いっそ全員でドジな仲間になればいいじゃない」
焕之は咀嚼を止めて言い返した。「青竹の蛇の口、スズメバチの尾の針。どちらも危険だが、最も毒々しいのは…」
陈令がタイミング悪く続けた。「女心ってわけさ!」
闵千枝は逆上し、片手で焕之の耳を捻り、もう片方の手で陈令の頬を強く引っ張って言った。「これ以上でたらめを言ったら、『最毒の女心』ってどんなものか身をもって味わわせてあげるわよ!」




