第25話:告白の日(その1)
闵千枝が北海公園のボートに座った時、彼女は少し込み合っていると感じた。
船頭は前の方でくすくす笑っていた。二人乗りのボートなのに、三人分の料金を取ったのだ。
公園の景色はとても良く、水面はきらきらと輝き、爽やかで眠気を誘うほどだった。
ただ陳令だけが、落ち着かなかった。
このボート遊びはそろそろ終わるが、自分の本心はまだ闵千枝に伝えられていない。彼は急がなければならなかった。
陳令は話題を変えた。「煥之、この公園は綺麗か?」
煥之は得意げな顔をした。「皇室庭園だから、一番綺麗に決まっているさ。」
その時、闵千枝はまだ「文化自信」というものをよくわかっておらず、ただこの子が……またまたまた病気を発症しただけだと思った!
陳令は期待を込めて言った。「千枝、君は一生、こんな美しい景色の中で起こったことを覚えていられるか?」
闵千枝が真剣に考えてうなずこうとした時、煥之が言った。「ありえないだろ!彼女は自分の体重までわざと忘れるんだぞ!」
闵千枝は我慢の限界に達し、すぐさま煥之の頭にビンタをくらわせた。
煥之はすぐに泣きわめき、十歳の子供の駄々っ子ぶりを完璧に演じきっていた。
闵千枝は長い間自問自答した:『私の手加減、そんなにきつかったか?』
陳令は(煥之の芝居を)暴きたかったが、相手は義弟(妻の弟)だ。敵を作るべきではない。
闵千枝は煥之を長い間なだめた。彼女も不思議に思った。この子はカヌー孤児院では無口でよそよそしかったのに、どうして自分のそばに来ると、完全なやんちゃ坊主、手のかかる子になってしまったのだろう。
「煥之、深センに行ったら、姉さんがまたハッピーバレー(欢乐谷)に連れて行ってあげようか?」
煥之は相変わらず(泣き)やまなかった。
「煥之、海に行きたい?深センは海のそばにあって、すごく綺麗だよ!」
煥之にはテノール歌手(男高音)の素質があるかもしれない。声量は際限なく突破できるのだ!
「煥之、君を見ていると思い出す詩があるんだ。君にぴったりだよ。」
陳令も笑った。彼もどの詩か知っていた!
煥之はようやく正眼で(人を)見た。「どの詩のことを言おうとしているんだ?『言えば君子を念う、温なること其の玉の如し。其の板屋に在りて、乱れ我が心曲』か?それとも、『公子は只だ画に見るべき、此の中に我独り津を知る。水の尽きる所 天の果てに写し到れば、定めて塵土の間人に非ず』か?」
闵千枝は笑いをこらえ、首を振った。「両岸の猿の声 啼いてやまぬ、軽舟はすでに万重の山を過ぎたり。どうだ?ぴったりだろ!」
煥之は顔を曇らせた。まさか猿に例えられるとは。
闵千枝と陳令は同時に笑い声をあげた。なぜなら、その場面は実にぴったりだったからだ。
煥之は黙り込んだ。その眼差しは訴えかけるようだった。
陳令はこの得難い静けさを無駄にすまいと決めた。「千枝、君に話したいことがあるんだ。」
「えっ?」陳令の突然の真剣さに、闵千枝は戸惑いを隠せなかった。
脇にいた煥之は、陳令が何か行動を起こそうとしていると察し、陳令の細かな動きを注意深く観察し始めた。
陳令の目は澄んでいて、真摯だった。「僕は…君のことが結構好きなんだと思う。」
「あっ?」
闵千枝は呆然とした。
というより、嬉しさのあまり頭が真っ白になったのだ。
煥之はストレートに問いかけた。「『好き』だと思う?それは恐らく錯覚だ。」
陳令に再び口を開かせず、彼はまたもや嵐のような言葉を浴びせた。「彼女の長所は君も分かっているだろう、むしろそれ以上に想像できるかもしれない。しかし、闵千枝の欠点を見てきたか?闵千枝の必要としていることを知っているか?闵千枝の期待を理解しているか?それを知った上で、それでも彼女を受け入れられるのか?」
彼のこの言葉は一見陳令に向けたものだったが、それ以上に闵千枝に込めた言葉だった。
愛は、決して一時の感情の高ぶりだけではないのだ。
闵千枝は感動して胸がいっぱいになった。煥之がまだ小さな年齢で、自分のことをあれほど心配してくれていたのだ。しかし、彼女はやはり腹が立った。「私はお姉ちゃんだよ、なんで闵千枝って呼ぶんだ?」
そして、この明らかに話が脱線した横道こそが、逆に陳令の気まずさを和らげた。
「煥之、君の言うことはもっともだ。おそらく僕には時間が必要だ。千枝の欠点、千枝の理想と求めていることを理解するために。」陳令は煥之にそう言い終えると、闵千枝に向き直って真剣に言った。「君のことを理解する機会を、僕に与えてほしい。」
闵千枝の顔はまた赤くなり、もごもごと言った。「私…私…」
「こうしてはどうだろう?君たち二人はそれぞれ大学に進学した最初の一年間、お互いに連絡を取らないようにするんだ。もし二年生になった後も、まだお互いを想い続けているなら、その時付き合い始めても遅くはない。もし一年の距離と時間だけで相手を諦めるようなら、その時は心から好きだなんて言う必要もないだろう。」
煥之が仕掛けたのは証明の罠(自証のわな)だった。二人は疑いようもなく引っかかった。
お互いの想いが通じ合った後、北城に残された数日間、闵千枝と陳令は明らかにべったりとラブラブな様子を見せた。ほんの少しの会話もこっそりと二人きりで、食事も二人だけで出かけ、煥之は他の同級生に預けて世話を任せっきりだった。
四日間のうちに、カップル向けの洋食、映画鑑賞、街ブラ(街ぶら)、一緒に買い物、手作り体験…彼らはありとあらゆることを体験し尽くした。
さらには、わざわざたくさんの写真を残した。これはこれから一年の遠距離恋愛での寂しさに備えるためだった。
毎晩、陳令は闵千枝を部屋まで送った。二人がドアの前でいつまでもいちゃついていると、煥之は遠慮なくドアを閉めた。
二人はこのように甘ったるい日々を、帰途につくその日まで送った。
煥之は出発前に陵園へ行き、父(父皇)を参拝した。そこで半日ほど感傷に浸った後、彼は心を解き放った。
過ぎ去った日々は取り戻せない。ならば、今この時を大切にしよう!
彼はホテルに戻って荷物をまとめ、ソファに座って長い間経済番組を見てから、ようやく閔千枝の帰りを待った。
閔千枝がドアに入ってきた時、彼女の頬は真っ赤に染まり、唇はわずかに腫れ、髪も少し乱れていた。
煥之は何も言わなかった。女性に向かって「陳令とキスしたのか?」などと聞けるわけがない。そんな光景を想像しただけで下品だった。
飛行機に乗るとき、彼は頑なに閔千枝の隣に座ると主張し、陳令を他の席に追いやった。「一年の約束は帰路から始まる。約束は君子たるものにとって重いのだ」
これにより陳令と閔千枝は、飛行機内ではただじっと見つめ合うだけで触れ合うこともできず、まるでガラスの破片の中から飴を探すように、かすかな甘さを探し続けるしかなかった。
飛行機から降りて手荷物を受け取るやいなや、煥之は閔千枝を引っ張って地下駐車場へ向かった。
趙叔は既にそこで待っていた。お嬢様と煥之がひと回り日焼けしているのを見て、とても嬉しそうだった。
ご主人夫妻が亡くなられてから、孤児院以外にはほとんど行ったことのないお嬢様だったが、今回の旅がとても楽しかったのは明らかで、礼儀としての笑顔ではなく、伸びやかに笑っていた。
趙叔が車を運転しながら言った。「お嬢様、百枝がとても寂しがっております。毎日玄関先で待っているんです」
「オエッ」
「オエッ」
「オエッ」
趙叔の言葉に応えたのは、煥之の嘔吐音と、彼の背中を叩くお嬢様の手の音だけだった。
「……まあいい。煥之が同乗していると、確かに車内での会話には向かない」
煥之は家に着くまでずっと吐き続けたが、皆すっかり慣れており、とっくに嘔吐袋を用意していた。
車から降りた二人はすぐに、ぽっちゃりした小さな体を引きずるようにして駆けてくる閔百枝の姿を見つけた。
閔千枝は閔百枝をひょいと抱き上げ、慣れた手つきで頭を撫でた。
長い間母親に会えなかった閔百枝の募る思いは抑えきれず、興奮しながら舌をペロリと出して閔千枝を舐めようとしていた。




