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第19話:この世界をもっと知りたい(その3)

閔千枝が服を買う時は、いつも彼女が選んでいた。だが煥之が逆転したため、買い物は苦労しなかった。


購入した服を店に一時預けし、二人は身軽にショッピングを続けた。


店を出ると、煥之が真っ先に気にしたのは勘定だった:「この服代、銀をどれほど使った?」

  

「銀?」

  

「うむ、幾らか。見たところ良質な既製服のようだ」

  

「……」

  

「帳簿に記録し、後で返す」


閔千枝が子供のくせに真剣に返済と言うのを聞き、花が揺れるように大笑いした。「計算してみよ!今日の銀相場は1グラム4.08元、今日買った服と靴は約4901グラム相当。1両は50グラムだから98両ね。倍返しで覚えておいて!」

  

「うむ!」二百両など、煥之の目には留まらなかった。王朝時代、彼が享受していたものは全て最上級品だったのだから。

  

この一件で、閔千枝は煥之への理解を深めた。見た目はひ弱な少年だが、芯には既に確固たる男性の尊厳が宿っている。

  

飲食の次は娯楽だ。閔千枝は彼をIMAX映画『アベンジャーズ』に連れて行った。

  

映画鑑賞中、煥之は微動だにしなかった。閔千枝は男の子なら皆こういうものが好きなのだろう、夢中になっているのだと思い込んだ。

  

エンドロールが流れても煥之が動かない。閔千枝が彼の3Dメガネをそっと外した時、初めて気付いた──この子の目はぷっくり腫れ、頬には二筋の涙の跡がくっきりと残っていた。


閔千枝は独木舟の家で長年働いてきたため、子供の荒れた情緒に対処する独自の手法を持っていた。彼女は煥之の手を握り、そっと額に触れながら優しく尋ねた:「煥之、この映画は楽しくなかった?」

  

煥之は唇を噛みしめ、しばらくもごもごしていたが、ようやくか細い声で言った。「本当に…かつての時へ戻れるのですか?」

  

閔千枝は、煥之が実の両親を懐かしんでいるのだと思い込んだ。

  

しかし残念ながら、過ぎ去った日々は振り返るべからず。前へ進むしかないのだ。

  

閔千枝は煥之をぎゅっと抱きしめ、そっと背をさすりながら言った。「タイムトラベルはいつか実現するわ。でも今の私たちは未来を見つめなきゃ。過去は大切な思い出だけど、未来こそが私たちの人生なの。いい子ね、これからは姉さんが傍にいるから、一人ぼっちにはさせない」

  

煥之も未来へ進むことは理解していた。ただ、この後世(こうせい)に独り来た者として、途方に暮れ恐れていた。最たる悲しみは肉親との別離──たとえ過ぎし日を懐かしんでも、未来には彼らの姿はないのだから。


この映画の物語は、まるで彼自身の境遇を映し出しているようだった。

  

煥之はもはや「男女授受不親(だんじょじゅしゅふしん)」の礼節など顧みず、自身の脆弱さと無力感に浸りきっていた。

  

閔千枝は次の映画が始まるまで、彼を抱きしめて慰め続けた。

  

その後も煥之は沈みがちで、閔千枝は仕方なく彼を連れて帰宅した。

最悪の時こそ、家こそが癒しと安らぎを与えてくれる。

  

店で預かっていた服と靴の袋を受け取ると、煥之は全てを自分で抱え込み、閔千枝に一切触れさせなかった。

  

重そうなので分担しようとした閔千枝に、煥之は厳しい口調で言い放った:「男たるものが女に荷物を持たせるわけにはいかぬ」

  

その時代劇役者(じだいげきやくしゃ)のような真剣さに、閔千枝は笑いが止まらず、スマホを取り出すとSNSに即投稿した。


煥之は荷物を提げて地下鉄駅へ駆け出した。彼は一目見たものは忘れず、歩幅も大きいため、すぐに自動券売機の前に着いた。

  

閔千枝の操作を見ていたので、スマホで小さな円盤(ICカード)を買う必要があることを知っていた。

  

彼は券売機の前で待ったが、永遠のように感じられるほど経ってようやく彼女が現れた。

  

煥之がどこへ行っていたのか尋ねようとした瞬間、閔千枝は彼の耳をつまんで叱った:「このガキ!そんなに急いでどこ行くの?誘拐されたかと思って、あちこち探し回ったじゃない!」

  

実は、閔千枝がスマホをいじっていた十数秒の間に、煥之は彼女の視界から消えていたのだ。

  

閔千枝は道中どこを探しても見つからず、彼が迷子になったと思い込んだ。連絡手段もないため、駅構内を何度も行き来して探していた。地下鉄駅で運試しに探してみようと思った時、偶然の一致でようやく彼を見つけたのだった。


この件で煥之はまた一つ学んだ──女性と歩く時は絶対に先に行ってはならない。足が短く歩みが遅いため、すぐにはぐれるのだと。

しかし公衆の面前で耳を捻られるのは、確かに体裁が悪い。

煥之は顔を真っ赤に染めて言った。「次は待つが…まずその手を離してくれるか」

  

閔千枝は子供に教訓が身に染みたらしいと見るや、即座に叱責を収めた。彼女の目的は教育だけだったからだ。

  

地下鉄を降り、大量の荷物を抱えての帰路は煥之にとって地獄の苦しみだった。

それでも彼は頑固に閔千枝の手助けを拒んだ。

  

別荘に着いた時、彼の両腕は上げるのも容易でないほど疲弊していた。

  

閔千枝は服と靴を家政婦の陳阿姨(チェン・アーイー)に渡すと、煥之を二階へ引っ張っていった。


煥之がずっと抵抗していたので、閔千枝はこの強情な子を無理に拘束するのをやめた。

  

煥之が自室の前を通りかかりドアノブに手をかけた時、閔千枝は自分の部屋の丸い取っ手を握りながら振り返り言った。「どこ行くの?こっちにおいで!」

  

煥之は理解できていない様子だった:「…」

  

閔千枝はドアを開けて室内へ入ると言った。「入ってきて、マッサージチェアがあるわよ」

  

煥之は警戒して言った。「女子の閨房(けいぼう)、みだりに入るべからず!」

  

閔千枝はこの子が自分に警戒心を抱いていることに気づいた。「たかが十歳のくせに、なぜ千歳の時代遅れの老害(ろうがい)みたいな感じがするの?」

  

煥之は心の中で呟いた──その通りだ!天啓年間(てんきねんかん)の生まれだからな、すでに二千歳を超えているのだ。「これこそ君子(くんし)の風格(ふうかく)である」


閔千枝はこれ以上言葉を無駄にせず、煥之を部屋に引きずり込みマッサージチェアに押し込んだ:「これで腕の疲れが取れるわ。人手には及ばないけど、それなりに気持ちいいのよ」

  

煥之は思った──十歳とはなんと無力な年頃だ!女一人の力にも抗えないとは。

  

今や彼は「マッサージチェア」と呼ばれる真っ黒な物体に拘束されている。閔千枝がボタンを押すと、この機械が独りでに動き出し、煥之の疲れた部位を律動的に揉み解していった。

  

煥之はこれまで数々の異様なものを見てきたため、もはやどんな奇妙な物にも順応していた。

  

目を閉じずに閔千枝の私室を見渡す。ベッドと対のナイトテーブル以外には、このマッサージチェアしかない。

  

ベッドはシンプルな木製で、片側のナイトテーブルには目覚まし時計とスタンドライトが、反対側のナイトテーブルには家族写真が飾られていた。


煥之は目敏く、一枚一枚の写真を克明に見た。そこには幼少期の閔千枝や、今と変わらぬ年頃で両親と写った写真があった。

家族全員が甘い笑みを浮かべており、写真から両親が彼女を猫可愛がりにしていたことが伝わってくる。

  

閔千枝は部屋を行ったり来たりしながらブツブツ呟いていた:「おかしいな、一体どこに…」

ドアを開けて階下の陳阿姨に呼びかけた:「陳阿姨、同級生からもらった華果、どこにしまったか覚えてる?」

  

「クローゼットを確認してみな」キッチンから陳阿姨が首を出して応えた。

  

「ああ!ありそう」閔千枝は隣のウォークインクローゼットに移動し、ガサゴソ探し始めた。

  

そして案の定、探していたものがクローゼットの棚に詰め込まれていた。

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