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不良桜  作者: 嫁葉羽華流
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6/11

五話目。

「…う〜ん…」

おかしい。喜助の様子が。

申野はそう思っていた。

あれから喧嘩は76人で止まってるし…。

だって今頃ならば昼寝をしているはずなのに、今は…

「すき、嫌い、すき、嫌い、すき、嫌い…」

花占いしてるし…。

「あ、兄貴…何があったんですか?」

「なにもねぇよ…すき…嫌い…好き…きら…」

花びらが一枚落ちた。

肩が震えていた。なんか怒ってるみたいで怖かった。

「…一之瀬ぇ…」

「い、一之瀬ぇ?」

ま、まさか…兄貴は…そんなことを申野は思っていた。いやでもそんなことがあるはずない…そう思っていたら、

まさかの一言が。

「俺のこと、嫌いなのかなぁ…?」

「うぇぇえええぇぇえええええぇええええぇえぇぇええ!!!!????」

そう言ったのと同時に申野は勢いよくそこから出て行った。


そして放課後、体育館裏。

「ちょっと、どういうつもり?」

そこにいたのは喜助の思い人、一之瀬馨。

そしてその彼女の前にいるのが喜助の舎弟、申野。

その拳は、怒りで震えていた。

「…あなたと決闘させてください。場所は体育館にて…放課後…どういうこと?」

「どうもこうもないっすよ…!」

そう言ったのと同時に申野は一之瀬に向けて渾身の右ストレートを放った。

「兄貴をかえせぇえぇぇええぇ!!!」

「はぁ!?」

その拳は一之瀬の体に吸い込まれるように入…らず、空を切った。

そしてその隙に一之瀬は両手を組んで申野の背中に思いっきり振り下ろしたかと思うとそのまま腹にひざを入れた。

それでひるんだ申野の前に回りこみ、腹に拳のラッシュを入れた。

何発打ち込まれたか分からないが、とにかく入れ込まれた。

「…はぁはぁ…もう…わけわかんない…」

そう言ってその場から離れようとしたとき、前にいたのは何十人もの不良。

「ちょ…なに? これ?」

「…こんなこともあろうかと…用意しておいて…せいかいだったっす…」

やっちゃってくださいっす! そう言ったのを皮切りに何十人もいた不良が波のように一之瀬に向かって来た。

「ちょ…冗談じゃないわよ!?」

そう言ったと同時に後ろの方から不良が次々に投げ飛ばされていくのが分かった。そのたびに、

「ぎゃぁあぁああ!!」

「うわぁあぁあぁぁあ!!」

「ふひゃあぁぁ!!」

など。そしてそんな投げ飛ばしていたのは…喜助だった。まさに鬼のような形相。近づき難い顔をしていた。

そうしてとにかく投げ飛ばして行って数分後、今度は群がってきた不良を(言葉どおりに)ちぎっては投げたり、殴り飛ばしていた。まさにそれは飛んできた丸太をことごとく打ち返している格闘家のようだった。

そうして息を切らした後、喜助は回れ右をして一之瀬に向き直ると、

「すまんっっっっ!!!」

土下座した。

地面に顔をめり込まんとする勢いだった。

「なんか迷惑だったかもしれん! 本当にすまん!!」

「え、あ、その…」

「もうだめだ、俺は生きては行けない! こうなったら切腹をぉぉぉぉぉ!!!」

「わわわわわわわわ!!! やめ〜!!」

何とか切腹をやめさせた。


「…なんで助けてくれたの?」

売店に言ってジュースを飲みながら聞いた。

喜助は顔を赤くしながらジュースの缶を開けようと必死で格闘していた。

「い、いや…な、ななあななななななあななんとなく…かな?」

声が裏返っていた。

その感じにちょっと唖然としながらその後、

くすっ、と笑った。

まるで何かをかわいいと言ったような、ちいさな花びらが咲いたような感じの笑みだった。

「そんなことで助けてくれたんだ…」

「な、なんだ? 変か?」

「ううん。別に」

でもそのままくすくすと笑っていた。それを見て喜助も思わずにかっと笑ってしまった。

豪快に、大きな声で笑った。

そしてそこに。

どこからどう見ても、そこには中睦ましい男女がいた。

そこに一之瀬と一緒にいることが、喜助にとっては何よりも、

うれしかった。

ただ、そこにいるだけでうれしかった。

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