第一話 第六感
――――学園・訓練所
僕達は訓練所に移動した
入学式だというのに問題になってしまった。
そのせいで、教師や生徒が集まってきたのだった。
ステージの上には一人の男性教師が立っていた。
眠いのか、目にクマがあり擦っていた。
というか、入学式だというのによく決闘認めてくれたなぁ。
ここの学園長がたまたま、僕達の言い争っているのを目撃してたらしく。
面白そうだからと言う理由で許可してくれたのだった。
どうやら、ここの教師たちは祭りごとが好きそうで何よりだった。
でも、そのおかげで戦うチャンスを貰ったのだった。
気だるそうな教師は僕達の名前を呼ぶ。
「んじゃ、宮野 猛と魂凪 雪は壇上にあがれー」
合図も気だるそうだった。
僕と男はステージに上がった。
「それではー、宮野 猛と魂凪 雪の対決を始める。」
そして、教師は手を上げて前に振り、その瞬間その場から一瞬でいなくなった。
合図と同時にお互いの武器の名を呼び取り出す。
「砕けよ!!豪力!!!」
男は大剣を取り出す、剣というより叩き潰すような感じの大剣のような鈍器だった。
「叫べ!心魄」
対する、僕の武器は白く透き通った刀だった。
男は、僕の武器を見て笑う。
「はん!そんなヒョロイ武器で俺に勝てると思ってるのかよ!!お前の魔力みたいに貧弱だな!!」
彼が言ったとおりに、僕は生まれつき魔力が少なかった、そのせいで僕は第十階級になったのだった。
男は近づいて大振りに縦に振る。
僕はその攻撃を小さく左に避ける。
「ッチ!避けるのはうまいな!!」
そのまま、横に大剣を横に薙ぎ払うように振る
しかし、その攻撃は空振りに終わってしまう。
僕はその時には彼の後ろに立っていたのだ。
「っな!!ちょこまかと!!!」
大剣を振り続けるのだが、全て避けられている。
男の太刀筋が少しずつ乱れてきてるのが分かる。
―――――――観客席
「ユキくん・・・」
紀川は魂凪を心配するように見つめる。
本当に勝てるのであろうか?相手は自分たちよりも格上の存在だということ
私のせいで、ユキ君に迷惑を掛けてしまっている。
悩んでいると、声を掛けてくる人がいた。
「隣、良いかしら?」
「え、あっはい!ど・・・どうええええ!?」
振り向けば、そこには燐桐が立っていた。
紀川はいきなりの事で混乱していた。
混乱するのも問題はなかった、燐桐は騎士王候補の一人なのだからだ。
すると、燐桐はクスリと笑い隣に座った。
「そんなに緊張しなくてもいいわ」
「いや、でも・・・」
「私はそういうの気にしないタイプなので」
そう言って、燐桐はステージに目を向けた。
燐桐は感心するように、魂凪を見る。
「あの人、すごいわね」
「へっ?何がですか?」
紀川は何が起こっているのかが分からない様子だった。
燐桐は再び、笑いながら語る。
「魂凪くんだっけ?あの子、魔力が極端に少ないから、全て"肉眼"見切っているのね」
「え、えぇ!?」
本来、攻撃をする時には魔力が消費される、その攻撃は本来では肉眼では捉えるのは至難の業である。
防御する時、避けるときは魔力感知を使って魔力同士をぶつけてどこに攻撃が来るのかを察知をするの基本なのだ。
その話を聞いて、驚きを隠せなかった。
「ユキくんはいったい何者なんでしょうか・・・」
「それは私には分からないわ、ただ言えるのは」
燐桐の目は鋭くなる。
「私よりも強いって事かしら?」
「えぇ!?」
紀川は燐桐が言っている事が分からなかった。
いくらなんでも、それはないだろうと
しかし、燐桐の顔は真剣だった。
「まぁ、見ていれば分かるわよ、彼は魔力以上に強い物を持っている」
燐桐はそう言って、ステージの魂凪を見つめた。
「ユキくん・・・」
紀川も不安な顔しつつ、ステージを見つめるのだった。
「おんどりゃあああああ!」
男は地面に荒々しく大剣を振った。
しかし、虚しくも空振りするだけだった。
「くっそ!なんで当たらないんだ!!」
相手は完全に血が頭に上っていた、その様な状態で、当たるわけが無かった。
何故なら、それとは対極に魂凪は極限までに冷静になり思考を研ぎ澄ましていたのだ。
生まれながら魔力が少ない代わりに、五感の全てを鍛えぬき、その先を超えた物
その状態を『第六感』と呼んだ。
これは魂凪が魔力で頼れない以上は己の努力で生み出した技の一つ。
その状態になった、魂凪は相手の攻撃を一手、二手先ではなく百手先を読むことができるのだ。
とくに冷静になってない相手には良く突き刺さる。
男は荒々しい口調で大剣を振り続ける。
そんな魂凪は冷静だった、口を開き話はじめる。
「確かに、貴方ほどの力と魔力はない、しかし唯一、貴方に勝てる物があるとすれば一つだけある」
その瞬間、魂凪の刀が薄らと白く輝いた気がした。
魂凪は刀を納め、構えて言う。
「それは己の魂だ!!!」
興奮した状態で魂凪の話は聞いていなかった。
見るに堪えなかった。
「ほざけええええええええええ!!!」
男は魂凪に向けて、大剣を振った。
そして、同時に魂凪は大剣に目掛けて抜刀する。
刹那――
男の動きは止まった。
次第に大剣の形を変わり、二つに折れた。
魂凪は刀を納めて言う。
これは自分の師と僕にしか使えない剣技
第六感を持つ者しか使えない、唯一の剣技
物の本質を捉え、その本質事を切り伏せる技
王楼流剣技・壱の型「命絶」
男の武器の魔力の本質を捉え、それを絶ったのだ。
魂凪は刀を再び納めた。
「武器の強さは、思いと心の強さに比例して強くなるんだ。
ただ、でかいだけじゃ武器は答えてくれないよ。」
男はどさりと倒れ、周りに歓声が沸いた。
教師は何処からか現れて言った。
「勝者、魂凪 雪」
そして、さらに会場は盛り上がったのだった。
「やった!!ゆきくんが勝ちました!!」
「えぇ、そうね」
紀川は雪に向って、大声で呼んだ。
「ゆきくん!ありがとー!!」
僕は紀川さんの声が聞こえて、その方向に向ってピースサインを送ったのだった。
その姿を見て、燐桐はクスクスと笑って会場を出て行ったのだった。
「魂凪 雪・・・、私の最大の敵になるでしょう、フフ・・・」
燐桐は赤らめて、入学式に向ったのだった。
かくして、無事に決着がついた。
僕達はその後、入学式に参加して明日からの授業に備えるのだった。