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テディ=ベア  作者: iliilii
26/26

おまけ

■婚姻の儀の翌朝────


 いわゆる初めての経験を済ませた朝。

 色んなところの不快感をなんとか誤魔化しながら朝食を終えて、今日は一日たらたらと過ごさせてもらうつもりで、今じゃすっかりクマ五郎も棲みついている自分の部屋に引きこもろうとした矢先、中央からの遣いが来ていると侍女が呼びに来た。

 慌てて侍女に手伝ってもらって身支度を整えると、タイミングよくクマ五郎が部屋に迎えに来た。いつも通りひょいと片腕に抱えられる。

「誰が来たの?」

「父親の弟」

「何しに来たの?」

「さあ?」

 クマ五郎のお父さんの弟ということは、王弟ってやつか? クマ仲間なのは間違いない。


 で、うちの応接室で待っていたのは、予想通りクマさんだった。

 部屋に入った途端、すんすんと鼻をひくつかせたクマさんは、むきっと歯を剥いてたぶん笑った。ヒグマが歯を剥くってかなり怖い。食われそう。でもたぶん笑ったんだと思う。笑い声らしきものも聞こえる。笑い声だよね。唸り声じゃないよね。怖いわ! リアルヒグマ!

「では私はこれにて」

 そう言って、クマさんはすたこらさっさと帰っていった。一体何しに来たんだ?

 見ればクマ五郎が歯を剥いて笑っている。なんでそんなに上機嫌なんだ? ぺろりと口を舐められたから、同じように舐め返す。だからなんでそんなに上機嫌なんだ?


────∽────∽────


 へこへこと奇妙な歩き方をするキヨラを見て、笑いを堪えすぎたせいで腹が痛い。挙動不審なキヨラを眺めながら朝飯を済ませ、そろそろ来るだろうと待ち構えていると、知った気配が近づいてくる。

「中央から確認に来たぞ」

 家令に知らせれば心得たように頷き、出迎えの準備に抜かりはない。

 キヨラを部屋に迎えに行き、あの歩き方を叔父に見せるのは癪だと腕に抱けば、キヨラもほっとしたようにしがみついてきた。

「誰が来たの?」

「父親の弟」

「何しに来たの?」

 まさか開通を確かめに来たとは言えず、「さあ?」と惚けておく。

 応接の間に入った途端、長椅子に座った獣型の叔父が匂いを確かめ、にやりと笑う。その瞬間、キヨラの体が強ばった。仰け反るように俺にしがみついて表情をすとんとなくした。

 キヨラを怖がらせるなよ、クソ叔父貴。

 ギロリと睨めば、何が面白いのか叔父がくつくつと唸るように笑い出したせいで、キヨラの体が震え出した。

「では私はこれにて」

 叔父とすれ違う瞬間、キヨラは一層体を震わせ、強張った顔を俺の首元に埋めてぎゅっとしがみついてきた。

 もしかしてキヨラは、獣型が平気なわけではなく、俺だから平気なのか? 俺以外の獣型には怯えるのか?

 うわぁ、なんだこいつ。

 さっきの叔父と同じように歯を剥いて笑えば、キヨラは怯えるどころかきょとんとした顔で首を傾げている。やべぇ。こいつすげぇ可愛い。ぺろりとキヨラの口を舐めれば、条件反射のように舐め返してくる。たまらん。敵わん。可愛すぎる。

 とりあえず、今日は寝室にこもる!






■飴ちゃん────


「ねえねえ、あめちゃんってさ、もしかして偉い薬師なの?」

 先日うちの家令がテディ以上に敬っている様子であめちゃんと話していたのを見た。

 ん? と首を傾げるあめちゃんにそれを話すと、あめちゃんが「ぐふふ」と笑った。

「あの家令は賢いな」

「うん。当家自慢のスーパー家令だからね」

 で、「偉いの?」と訊くと、「どうかな?」とはぐらかされた。なにがそんなに楽しいんだ? あめちゃんが「ひひひ」と笑いながら、片手をひらひらとさせて帰って行った。ちゃっかり残ってた茶菓子をハンカチに包んで持って帰るあたり、結構せこい。


 あめちゃんは謎のおばあちゃんだ。

 ふらりとやって来ては、おいしい手作りの飴をくれたり、一緒にお茶したり、時々健康診断的なことをしてくれたりもする。あめちゃんが時々脳内で飴ちゃんになっていたりもする。

 あめちゃんの作る薬はすごくよく効く。痛み止めなんてそりゃもう飲んで数分でたちどころに痛みが消える。現代日本の鎮痛剤より余程優秀だ。


 家令だけじゃなく侍女もすごく丁寧に接していて、テディの秘書官的な人たちも様付けで呼んでいる。

 元々ここでは薬師の地位が高い。だとしてもテディより偉そうなのは謎だ。テディはどうもあめちゃんが苦手っぽい。あめちゃんは間違いなくテディをからかって遊んでいる。

 私の中であめちゃん要人説がむくむくと浮上した。黒ずくめで魔女っぽいのも怪しい。もしや魔女? たしか魔女って薬師的なこともするんじゃなかったっけ。

「ねえテディ、あめちゃんって魔女?」

「は? マジョってなんだ?」

 思い切って訊けば、ここには魔女という概念がなかった。明らかにわかってない顔で聞き返された。魔女について大雑把に説明しても、理解している気がしない。まあ私も魔女についてはビビディバビディブーな人ってくらいの認識しかない。

 あめちゃん魔女説、呆気なく消えた。「はい、消えたー」って言ってる昭和のおっちゃんを思い出した。

「あめちゃんってさ、偉い人だよね」

「どうかな?」

 明らかに目を泳がせてすっ惚けた。あからさますぎる。さすがに何かを誤魔化しているってわかるから。あれ? はぐらかし方があめちゃんと同じ? あれ?


────∽────∽────


「ねえテディ、キャンディ嬢ってマジョ?」

「は? マジョってなんだ?」

 いきなり何を言い出すかと思えば。時々キヨラは突然奇天烈なことを言い出す。先日も、黄色い聖職者はいるかと訊かれ、何が言いたいのかまるでわからなかった。何がどうなったら黄色い毛の獣型が生まれるのか。黄色者と青色者の間に子が生まれるなど聞いたことがない。しかもまた間抜けな名前が飛び出した。「ぷう」ってなんだよ。そんな間抜けな名前付けられたら生きているのが辛くなるだろうが。

 だいたいだな、婆に嬢を付けるのはやめろ。毛が逆立つわ。

「キャンディ嬢ってさ、偉い人だよね」

 キヨラは時々鋭い事を言う。大方婆の正体を知っている者の対応と、俺をかまい倒す婆の態度を見て判断したのだろうが。

「どうかな?」

 すっ惚けておこう。あれが実の曾祖母だとはできれば言いたくない。婆が言わないうちは俺も言わねぇ。






■他の国────


「ねえねえ、クマさんの国と、わんこの国の他に何の国があるの?」

「あとはネコとトカゲとタカだな」

「うわぁ。全部肉食?」

「は? 肉は普通に食うだろう」

 なんだかネコは豹って頭に浮かぶし、トカゲは石竜子、タカは……猛禽? なんだかフクロウっぽい感じもする。すごい。会ってみたい。フクロウの首まわりのもふい羽は触り心地が良さそうだ。ぜひ触らせてほしい。こう、指を広げて毛の中にもふっと埋めたい。指の間を擽る柔らかな和毛の感触……至福。


────∽────∽────


「ねえねえ、聖職者の国と、黄色者の国の他に何の国があるの?」

「あとは赤色者と緑色者と白色者だな」

「うわぁ。全部肉食?」

「は? 肉は普通に食うだろう」

 キヨラが目を輝かせ、わくわくしながらもうっとりと俺の首の毛に指を差し込んだ。何を想像して俺に触れているんだ。赤色者か? まさかキヨラは毛だけじゃなく羽もいけるのか? 誰が会わせるか。絶対に領知から出さん。






■名前────


「ねえねえ、この国の名前って何?」

「は? お前、今更かよ」

「だって、今まで話題に出なかったんだもん」

 納得しかねるという顔のテディが、なぜか背を正した。つられて私も背を正す。

「コバルトだ」

「えっ? コバルトって、コバルトブルーのコバルト?」

 何を当たり前のことをと言いたげなテディは、なぜか重々しく頷く。

「まさか、ヌコの国って、バーミリオンとか?」

「よくわかったな。自分の国の名は知らないくせに、なぜ他国の名はわかった?」

「自分の国の名前がわかったから」

 まるで理解できんという顔のテディを無視して考える。他にイヌの黄色と恐竜だったっけ、その緑色と、あと白色の国があるって言ってたような。ということは……。昔顔料について調べたことがある。昔といっても前世の私の記憶だ。たしか緑はクジャク石だから……。

「マラカイトと……黄色はなんだろう」

「アンバーだ」

 アンバーってことは、黄色というよりは琥珀色、薄い茶色って感じかもしれない。そうか、柴犬の色か!

「じゃあ、白は?」

「ボーンだ」

 まさかの骨。こわ。

「まさかと思うが、俺の名を言ってみろ」

 いきなりなんだ。自分の夫の名前くらい……。

「ん?」

 あれ? なんだったっけ。たしかテディは……そうだ、セオドアだ。ってことは、一応テディは王族だから国名が付くはず。そう、そんな感じだった。

「セオドア・コバルト」

 思いっきり大きな溜め息を吹きかけられた。さっきまで飲んでいたミントティーみたいなお茶の匂いがした。もう一杯飲みたくなった。ビディにおかわりをお願いしよう。

「いいか、覚えろ! セオドア・サフィラス・コバルトだ」

 サフィラス……青? もしかしてサファイヤのことかも。なんだか言語が入り乱れている気がする。そのうち私の謎翻訳がバグりそうだ。

「私は山田聖来」

 一応自分の名前も言ってみる。

「今は聖来・サフィラス・山田・コバルトだ! 自分の名くらい覚えろ!」

 いつの間にかクソ長い名前に変わっていた。夫婦別性でいいのに。


────∽────∽────


「ねえねえ、この国の名って何?」

「は? お前、今更かよ」

 始まった。キヨラのアホ質問。驚愕のあまりかジムとビディの顎が外れかけてるぞ。

「だって、今まで話題に出なかったんだもん」

 そんなわけないだろう。婚姻の儀であれだけ国名を連呼していたんだ、間違いなく聞いていなかっただけだろうに。よし、一回で覚えさせてやる。

「コバルトだ」

「えっ? コバルトって、聖なる青のコバルト?」

 聖なる青は知っているのか。キヨラは妙に知識があるかと思えば、次の瞬間にはアホになる。賢いのかアホなのか。彼方人はみんなこうなのか。

「まさか、赤色者の国って、バーミリオンとか?」

 驚いた。正確にはヴァーミリオンで、少し発音が違うが。

「よくわかったな。自分の国の名は知らないくせに、なぜ他国の名はわかった?」

「自分の国の名がわかったから」

 意味がわからん。コバルトからヴァーミリオンが引き出されるキヨラの知識の源はどこにあるのか。学があるのかないのかまるでわからん。

「マラカイトと……黄はなんだろう」

「アンバーだ」

 キヨラは眉間を寄せて珍しく真顔で考え込んでいる。ん? シバとはなんだ?

「じゃあ、白は?」

「ボーンだ」

 コバルトからヴァーミリオン、そしてマラカイトまで引き出す。だが、アンバーとボーンは知らない。その二国は歴史の浅い国だからか。たしかキヨラは黄色者を愛玩奴隷としていたはずだ。それなのに国名を知らないとは……。まさか……。

「まさかと思うが、俺の名を言ってみろ」

 キヨラは半笑いで「ん?」と目を泳がせた。うそだろ……。あれほど何度も婚姻の儀で互いの名を交わして誓約したというのに。

「セオドア・コバルト」

 堂々と間違えやがった。セオドアを覚えていただけマシなのか? そこに今聞いたばかりのコバルトをくっつけただけという浅はかさ。やっぱりこいつはアホだ。思いっきり大きな溜め息を吹きかけてやる。キヨラの前髪がふわりと浮かんだ。一緒に休憩しているジムとビディが笑いを堪えている。俺だけじゃない! お前たちの名だってキヨラは覚えていないはずだ!

「いいか、覚えろ! セオドア・サフィラス・コバルトだ」

 わかったようなわかっていないような、アホ丸出しの顔でキヨラが笑っている。笑って誤魔化そうとするな!

「私はヤマダ・キヨラ」

 なぜそうも堂々と胸を張って婚姻前の名を名乗るんだ!

「今はキヨラ・サフィラス・ヤマダ・コバルトだ! 自分の名くらい覚えろ!」

 小さく「クソ長い」と呟くキヨラに脱力する。本当にお前くらいだぞ、そんな嫌そうな顔をするのは。






■園長さん────


 アストン領は領主所在地の中央部と東西南北の四つの大まかな地域に分かれ、さらにアストン北上、アストン北中、アストン北下などのように、二つから三つのいわば区市町村のような区域に分かれる。

「……園長さん」

 中央部は領主の直轄地、その他の四地域は園と呼ばれ、その代表者を園長と呼ぶ。クマさんの国だからか? 園……謎すぎる。私の謎翻訳壊れてないか?

「園長がどうかしたか?」

「どうもしない……」

 そもそも、どうしてアストンは侯爵領から公爵領に代わったというのに、領主がテディじゃないんだ。

「ねえ、いつまで私って暫定侯爵なの?」

「ああ、それな」

 それな、じゃない。まさか忘れていたってことはないよね。こないだ、いつの間にか姉に偽装されていた義理の姉になる予定のアリちゃんに会ったときも、なんだかものすごく会うまでに時間がかかったみたいなことをやんわりと言われたんだよね。

「忘れてないよね」

「忘れてない。ちょっと色々手間取ってるだけだ」

 園長さんたちとの昼食会が領主の館で行われている。こういうときだけテディはクマ五郎になる。ご飯を食べながら政治の話なんかするもんじゃない。せっかくのティムの料理がまずくなる。とはいえ、主に発言しているのはうちの家令で、しみじみジムが領主になればいいのに、と思う。

「ジムが領主になればいいのに」

 ついつい隣のクマ五郎に小声で愚痴ると、こそっと教えてくれた。

「だから、色々手間取ってるんだ。内緒だぞ、こういうことは時間がかかるんだ。もう少し我慢してろ」

 そうなの? そうなの? そうなの! でかしたクマ五郎! やればできる子!


────∽────∽────


 アストンの知行は本当に健全だ。各園長もよくぞと思うほどの出来物たちが担っている。ジムの父親の推挙らしいが、よくここまでの忠義者を探し出したものだ。園長は本来は一代限りなのだが、慣例的に世襲する場合が多い。それが腐敗の元になるのだが、アストンでは完全に一代限りらしい。人選に苦労するだろうに、すでにティムが次期園長候補の目星を付けているというのだからほとほと感心する。

 御用商人についての取り決めが着々と整っていく。ジムばかりかロブもなかなかいい指摘をしている。園長たちも領を盛り上げようと積極的に意見を出し合っている。誰も彼も偽りなく本音だけのやりとりは聞いていて気持ちがいい。天辺がアホだとそれ以下が優秀になるというのは本当らしい。……待てよ、フィルやラリーが優秀なのは俺がアホだからか?

「……園長さん」

 思わず自虐しかけていたら、隣でキヨラがぼそっと呟いた。

「園長がどうかしたか?」

「どうもしない……」

 何に不満があるのか、口をほんのわずかにへの字にしているキヨラは、ふと何かを思い付いたように顔を上げた。

「ねえ、いつまで私って暫定侯爵なの?」

「ああ、それな」

 ジムを婆の養子にすることにジムの両親が反対しているのだ。息子には荷が重すぎると頑なに拒否されている。実際にアストン領を知行しているのはジムだというのに、あくまでもキヨラの家令でありたいと本人にまで断られた。

「忘れてないよね」

「忘れてない。ちょっと色々手間取ってるだけだ」

「ジムが領主になればいいのに」

「だから、色々手間取ってるんだ。内緒だぞ、こういうことは時間がかかるんだ。もう少し我慢してろ」

 キヨラの目が俄然輝きを放つ。そうだろう、やっぱりアストンはジムが領主になるのが一番だよな。平民に爵位を与えるのは思った以上に面倒で、もういっそのことこのままでもいいかと思っていたんだが……よし、俺がんばる。






■聖職者────


「医者ってどうやってなるの?」

 ビディの弟が首都の学校で優秀な成績を収めているとの報告があった。どうやら飛び級するらしい。

「中央の学舎で基礎を学んだあと、公爵領で青色者と一緒に人体について学ぶんだよ」

「ん? 青いクマさんたちって医者なの?」

 聖職者と青色者の使い分けが面倒なので、聖職者はクマさん、青色者は青いクマさんと呼ぶことにした。ちゃんと通じているので、私の謎翻訳は壊れていないらしい。青いクマさんと聞くとパステルブルーの可愛らしいぬいぐるみが思い浮かぶけど、現実には可愛らしさの欠片もないヒグマだ。

「いや、体の仕組みを教え込まれるだけだ。じゃないと薬草について学んでも意味がないだろ」

「え? 青いクマさんたちって薬師なの?」

「いや、趣味で薬を作る者もいるが、薬草を知らないといざ聖職者として聖地に入ってもどれを持ち帰ればいいかわからないだろ」

「つまり、クマさんたちは医者で薬師でコレクターってこと?」

「いや、全部違う」

 そっか。ここにいるクマさんは推定無職だった。


────∽────∽────


「医師ってどうやってなるの?」

「中央の学舎で基礎を学んだあと、公爵領で青色者と一緒に人体について学ぶんだよ」

 物心ついた頃から人体について書物と絵図で学び始める。

「ん? 青色者って医師なの?」

「いや、体の仕組みを教え込まれるだけだ。じゃないと薬草について学んでも意味がないだろ」

 十歳になる頃には死人を開いて臓物を目と手で確かめながらその役割を教え込まれ、ついでに吐き気の抑え方も自然と学ぶ。人が実は臭い生きものだと知るもこの頃だ。十二歳になるとこれまで判明している青について徹底的に叩き込まれ、ついでに己の体力の限界を知る。文字通り叩き込まれるがゆえ、受け身も自然と覚える。

「え? 青色者って薬師なの?」

「いや、趣味で薬を作る者もいるが、薬草を学ばないといざ聖職者として聖地に入ってもどれを持ち帰ればいいかわからないだろ」

 十五歳になると聖職者は聖地に放り込まれ、ついでに生と死の境界を知る。青色者との違いは聖地に入り込めるかどうかだ。そこで己の価値を知る。

「つまり、聖職者は医師で薬師で採取者ってこと?」

「いや、全部違う」

 聖職者とはなんだろうな。聖なる青に魅せられた一族なのは間違いない。


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― 新着の感想 ―
[一言] 多分きよらちゃんは老後になっても新しい発見がありそうで羨ましい。 相変わらずのほのぼのベタベタ具合でした。大好き。
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