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全てが集まる異世界で  作者: トーマス
第1章 異世界体験入界
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第8話 対黒雷戦線:会合

突然ファンタジー色が強くなってしまったか?


 俺、佐野祐樹が異世界(テロル)に来てからちょうど1週間の今日、サラマンダ―のホームで対黒雷(ブラックサンダー)戦線の正式メンバーと作戦の詳細を決定する会議が開催された。

 出席者は『春風』から俺とカノン、『サラマンダ―』からはレイ、トミー、《龍鱗》の称号を持つ幹部グランジュだ。グランジュはがっしりとした大男で優男風のトミーとは対照的だ。なお、俺については多少筋肉質ではあるが地球の男子高校生としては標準体型だ。黒雷(ブラックサンダー)側の協力者であるザークとリクは欠席。不用意にサラマンダ―ホームに出入りして目撃されるのを避けるためだ。連絡手段はあるとのことなので作戦遂行に支障はないだろう。カノンがここにいるのは本人の希望だ。俺は止めたが、どうしてもといわれたので仕方なく連れてきた。カノンは幼女といっても差し支えない年齢だが、この世界で生きてきたたくましさも備えているようだ。全員事前に挨拶を済ませており、アビリティも教え合った。情報は重要で、あまり教えるべきではないのだが、協力関係にあるのだから仕方ない。彼女らならよもや漏らすことはないだろう。


「では、会議を始めるかの」

「その前に1つ聞いてもいいか?」

「なんじゃ?」

「不干渉を常とするギルドの幹部が2人もこんな作戦に参加してもいいのか?」

「大丈夫じゃろう。マスターの方針は外と同様に内にも不干渉なのじゃ。ルールで縛ることを嫌っておる。何をするにも個人の自由じゃ。このことで起きたトラブルはよほど不条理なものでもない限り当人同士で解決することになる。自由と責任は表裏一体、切っても切り離せぬのじゃ」

「マスターがこのことを内にも外にも堂々と宣言しているために、相手もギルドそのものを攻撃しようとはしない。しても無視されるのが落ちだし、万一力による攻撃をしてきた場合は正当防衛という名目を持って叩き潰されるのは分かっているはずだ。」

続けたのはグランジュだ。低い声で何とも貫禄がある。いかにもギルドの幹部という感じだ。


「では改めて始めるとするかの。ここにいる者のアビリティは各々把握しているであろう。まずは黒雷(ブラックサンダー)の戦力についてじゃ。マスターのガズは大人間じゃ。アビリティは不明なのじゃが、破壊力の高いものらしい。サブマスはグリン。ハーフ・エルフだということじゃ。アビリティは同じく不明じゃ。ハーフ・エルフだけに魔道系のアイテムを所有していると聞く。力のマスターと知恵のサブマスじゃの」

 新たな単語を解説しておこう。まず、大人間とは平均身長3mと少しといった大型人間だ。知能は普通の人間と大差はないが、力に雲泥の開きがある。スピードもそこそこあり、俺のような人間の上位種だ。さらに上には巨人種もいるのだが今は関係ないだろう。次にハーフ・エルフだ。ファンタジー物の漫画やゲームには頻出のエルフ族だが、人間系の種族との混血で生まれた種らしい。通常のエルフよりも劣るが、魔法の扱いには長けているらしい。この世界には様々な力を持つアイテムが存在し、その内の魔道系に属するものを使用することで魔法を放つ。効果は種族や才能、熟練度によって変わる。

 ちなみに、カノンは精霊系の種族らしい。サラマンダ―側の種族は分からない。種族によって得手・不得手や、弱点、適正などがある程度決まっており、それを不用意に知られることは避けるべきものだ。今回の作戦で種族はあまり重要ではないらしく聞かれることも教えられることもなかった。ギルド名から察するに龍人族が多そうだと俺は勝手に予想する。

 なお、同じ人間種とて同じ地球から来たとは限らない。パラレルワールドや多元宇宙論などが関わるらしいのだが、俺には理解できなかった。さらに、こっちの世界(テロル)で生まれた者も大勢おり、出身地はあまり重要視されない。同郷の者とはなんとなく親しくなりやすい程度か。逆に同じ地球から来た知的生命体といっても人間とは限らない。精霊種や神の類も来ている可能性があるのだ。地球の人間がその存在を認知していないだけで、存在する可能性はある。どれだけ低くても可能性がる限り、この世界はそれを現実としてしまうのだ。

 これらの知識はカノンやレイから教わったものと、春風のホームにあった本で知ったものがある。意外にも多くの本が残っており、文字も日本語だった。この世界では言語の違いはない。正確には、自分の母語に自動翻訳されるのだ。母語に存在しない概念は近しい物に置き換えられて翻訳される。この辺りはかなり融通が効くようだ。もっとも、暗号や魔道文字(ルーン)等例外はあるようだが。


「次に三幹部と呼ばれる者たちじゃ。ザークやリクといった実動部隊を指揮するのが《番長》ゲキ。人間種で、アビリティは『不良七技ノ参:竹刀剣技(シナイケンギ)』と呼ばれるものじゃ。読んで字の如く能力は竹刀の具現化と攻撃力の上昇じゃな。斬撃というよりは打撃攻撃で、その威力は周囲に衝撃波を伴うほどという。


トミーが引き継ぐ。

「示威・威嚇担当の《眼力》サージュカが二人目です。アビリティは『不良七技ノ伍:雌雲血技(メンチギ)』。簡単に言えばメンチを切る能力ですね。それだけを聞くと大したことなさそうですが、なかなかの脅威です。何でも、メンチを切られて少しでも怯えてしまうと途端に体が硬直するのだとか。示威行為にも最適ですが、戦闘でも十分に有用なアビリティです」


さらにグランジュ。

「最後は懲罰担当《鬼畜》フラーだ。アビリティは『不良七技ノ弐:根性技(コンジョウギ)』有体に言えば根性焼きだな。無数の火のついたタバコを具現化して念力によって対象に飛ばす能力だ。火の温度は『火掌』より高いと思ってもらっていい。飛ばす速度もさすがに弾丸とはいかないが遅いエアガンくらいはあるのではなかろうか」


3人の説明を聞き終わった一般的な高校生の俺が持った感想は

「技名ダサくね?」


「それはもっともなのじゃがの。不良共にネーミングセンスなど求めるでない。字面がよければよいのじゃ。このアビリティは人為的に作り出されたシリーズらしくての、作成者は伝説級の不良だったといわれておる。マスターやサブマスもこのシリーズの可能性があるので調べてはいたのじゃが、どうもうまくいかなくての。その二人に関しては臨機応変に対応せい、としか言いようがない」

「あのっ、そんな恐ろしい人たちに勝てるのでしょうか?」

今まで黙っていたカノンが不安をのぞかせながら言う。

「私たちならば可能です。しかし、あなた方お2人は正面突破では難しいでしょうね。かといって今更別の人員を導入することもまた、難しい。私とあなた方で三幹部を、レイさんとグランジュさんでマスターとサブマスを叩くことになります」

「そう不安げな顔をするでない。策はあるでの。」

レイは不敵に笑ってそう言った。

ひと段落ついたら、設定や登場人物をまとめるつもりでいます


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