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勇者パーティの勇者くん  作者: 帆立 海
勇者と偽勇者
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1話 追放と異変

新作です!応援よろしくお願いします!

「お前を勇者パーティから追放する」


 なんでこうなってしまったんだろうな。


 ________________________


 俺はレイガ。勇者だ。


 魔王が200年ぶりに復活したため、神託によって勇者に選ばれた俺が、魔王討伐に来ている。


 俺は、聖剣を授かったため、『剣の勇者』と呼ばれている。魔王は約200年に1度復活するため、勇者はそのたびに現れて、聖杖、聖刀、珍しいものだと聖臓を授かった勇者もいるらしい。


 俺が勇者ってのは気分がいいものだが、それと同時に大きな責任がかかる。だから魔王を絶対に倒さなければいけない。


 俺のパーティメンバー、いや勇者パーティのメンバーは、

 魔法使いのミリエラ

 僧侶のサリーナ

 道具士のルーズ


 この3人だ。そして、俺が追放するのは、道具士のルーズだ。


 ルーズは、俺の幼馴染で、「一緒に強くなろうぜ!」とも言ってくれたからこのパーティに誘ったし、信頼していた。


 魔王討伐に出た最初の頃は、ルーズも戦いに貢献できていた。だけど、魔王の城へ近づくにつれ、道具士がいる意味というものがなくなってしまった。


 それもそうなのだ。道具士というのは、『アイテムボックス』が使え、道具をたくさん持つことができて、道具…強化ポーションなどを何度も使えるという職業なのだが、基本『アイテムボックス』を使うほど道具は持っていかないし、ポーションは一本飲んだだけで効果が最大限出て、2本飲む意味はまったくない上に、ルーズに使ってもらわずに俺達が自分で使えばいいだけなのだ。


 だけど、ルーズはまだ「強くなってやる」という向上心があったのでパーティに入れていた。まあ何回かやんわりとパーティを抜けるように言ったことはあるが、抜ける気はないようだし、道具士がいれば俺達がポーションを使わなくても済むというのは一応メリットではあったからな。


 だが最近になって、ルーズが人が変わったようになった。具体的に言うと、俺達の魔物との戦闘を妨害してくるようになったんだ。


 今までは、自分がそこまで役に立っていないことを自覚しながらも、俺達の邪魔をしないように立ち回って、要所要所でポーションや、しびれ粉を使ってくれていたが、今はポーションやしびれ粉を使うタイミングもあまり良くない…むしろ悪い上に、戦闘時に前に出るようになった。前衛の俺よりも前だ。そうすると、もちろん魔物から狙われる事となる。当たり前だ。楽に食べれる餌が目の前にあるのに食べない魔物はいない。そして俺はルーズを守りながら戦わなければいけない。元々このパーティは前衛1後衛3のバランスの良いとは言えないパーティだったんだ。それが、俺がルーズを守らなければいけないことで、実質後衛2人のみで戦っているようなものなんだ。


 それだと、もちろん全員危険だし、いつ誰が死んでもおかしくないような状況だった。


 そのことをルーズに注意しても、改善することはなかった。まだここで変わってくれれば、追放なんてことはなかったのに…


 そして、ミリエラ、サリーナと話し合ったことで、ルーズをパーティから追放することとした。『勇者パーティから追放された』というのは、ルーズの人生にとってとても不利になることだと思う。だけど、自分から抜けないのであれば、こうするしかなかったんだ。本当になんでこうなってしまったんだろうな。


 ________________________


「お前を勇者パーティから追放する」

「なんでだよレイガ。俺達幼馴染だろ?」

「幼馴染だからこそ、お前が死ぬところを見たくない。これから魔物だって強くなっていくだろうし、魔王軍の四天王と戦うことだってある。その時に、お前を守りながら戦うなんてできない。ここならまだ馬車だって通ってる。手遅れになる前に、頼むよ」


 俺達は1年ほど旅を続けてきて、ようやく、四天王がいるところの近くまで来た。ここはまだ安全な都市で距離はあるが、これからは魔物だって今までの比じゃないぐらい強くなっていくだろう。ここならまだ戻れるんだ。だから、俺にこれ以上言わせないでくれ。


「そんな事言われたって…なぁミリエラ、サリーナ!なんとか言ってやってくれよ!俺が追放なんておかしいってレイガに!」

「ふん。昔のあんたなら助けてあげたかもしれないけど、今のあんたを助けるわけ無いでしょ。いっつも邪魔ばっかして、どうしてそうなったのよ」

「すみません。ルーズさん。僧侶は傷を癒すためにいますが、仲間の命を危険に晒して、自分から傷をつけられに行く人とは一緒にやっていけません」


 すがるような思いで、ミリエラとサリーナに訴えたルーズであったが、二人の答えは非情だった。


 ミリエラは一見冷たいが仲間思いだ。だから、「昔のあんたなら助けてあげたかもしれない」というのは本音だろう。だが、俺達の邪魔をするとなると、仲間が傷つくため、ルーズと俺、サリーナを天秤にかけて、この答えになったんだろう。


 サリーナはとても優しい。だから多少のことでは怒らないが、今の言葉には怒気がこもっていた。でもそれは当たり前だ。戦うすべがない者が前に出ても足手まといにしかならないうえに、仲間まで傷つけるんだ。サリーナが治すとはいえ、傷つかないのが一番であるのは変わらない。


 この2人とも話し合って決めた答えが追放だ。だからそう簡単に2人が考えを変えることはない。ルーズが可哀想ではあるが、死ぬよりマシだと思ってもらうしかない。


「すまないな。ルーズ。これはパーティリーダー権限だ。お前をパーティから追放する」

「なんでだよ。なんでだよレイガ。みんな」


 ルーズは俺がパーティリーダー権限を使ったことで、俺が本気なのだと知って膝を落とした。だが、一瞬見えたルーズの口角が上がっているようにも見えた。


「お前をこのパーティに誘ったのは俺だ。それで『勇者パーティから追放された』というのは、お前の人生にとって悪いことになると思う。だからせめてもの餞別だ。これは、1年は遊んで暮らせるぐらいの金が入ってる。これで、なんとか次の仕事を見つけてくれ。本当にすまなかったな」


 そうして俺から金をもらったルーズは、その金の量にとても驚きながらアイテムボックスに入れていた。


 俺はもう、こいつの思っていることが分からない。渡した金は、大金ではあるが、勇者パーティとして見たことあるレベルだから、なんでそんな驚くかが分からない。もしかして俺が金を渡すと思ってなかったのか?幼馴染ならわかるだろ。俺が無一文で帰れなんて言うわけないって。


「じゃあこれで別れだ。多分俺が何言っても気分が悪くなるだろうが、これだけは言わせてくれ。頑張れよ」


 そうして俺達は3人で四天王の一人がいる場所へと出発した。


「…あいつ、これからどうすんだろ」


 まだ出発して少ししか経っていないのに、それを言ったのはミリエラだった。そしてその表情は曇っていた。


「どうだろうな。ルーズは道具士だから『アイテムボックス』を活かして商人とかやるかもな」

「そうですね。この辺りの物を王都で売ればかなりの利益が出るはずですからね」

「……」


 俺達の話を聞いても、ミリエラの表情は曇ったままだった。


「まあ心配だよな。だから、俺達が早く魔王を倒してあいつの居場所を作ってやろうぜ」

「…そうね」

「そうですね」



 そうして俺達は半年ほどかけて、四天王を全員倒し魔王の城まで後少しという所まで来た。


 だが、おかしいことがあった。


「魔物が全然いないな」

「そうよね。魔王の近くよ?こんなに魔物がいないなんてことあるのかしら」

「そういえば、最後の四天王も、あまり強くありませんでしたよね」

「そうだな。俺達が強くなっただけかもしれないが、あれだったら最初の四天王のところにいた魔物のほうが強かった」


 俺の言葉に二人も頷く。魔王に何かが起こっているのだろうか。何も分からないが、俺達は魔王を倒すことしかできない。勇者パーティなのだから。


「よし開けるぞ」


 魔王の城の目の前まで来た。後は扉を開ければ魔王との戦いになるため、2人に言ったが、2人はもう覚悟を決めているようだった。


「じゃあ俺も覚悟を決めないとな。行くぞ!」


 そう言って俺は扉を開けた。そこには…


「え?」


 何もいなかった。

感想を書いてくれると作者が凄く嬉しいので、募集しています!

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