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74品目 破天荒な歴史教師の味に魅せられた猛将

74品目

「フッフッフ……やはり似合っている。アゲアゲな精神はアゲアゲな見た目からだー!」

天はマントを翻しながらその場で子供のように飛び跳ねる。

特別遊撃隊の隊服は兵士たちの隊服と漆黒を基調とした堅い印象を思わせるものであったが遊撃隊の隊服は差別化を図るため所々に白い線が差し色として入っている他、軍のエンブレムの金の刺繍が施されている肩のマントは兵士たちが赤褐色なのに対し遊撃隊のものは濃い青と一部仕様が異なっていた。


「マジでなんなのコレ……オレなんも聞かされてないままいきなり連れてこられてコレだよ?」

「ホントに訳わかんねぇなんてレベルじゃねえよな!」

メンドと裕太はいまだに状況を掴めずにいた。


「おぉよく似合ってるじゃないか。」

「ベェルリさん……」

2人の前に現れたのは礼服で隊服の授与式に参加していたベェルリであった。


「おいお前!どうせお前がなんかしでかしたんだろうが?」

メンドは開口一番ベェルリに食ってかかる。


「な、なんでそう思うんだよ?」

ベェルリは少し動揺した様子で聞き返す。


「トゥラスから聞いたんだよ。色々とな。」


3日前──

「へぇ〜ベェルリさん。今日は帰ってこないんだ?」

トゥラスと裕太は2人で食卓を囲んでいた。


「いつもこんな感じ。色々と忙しいってのもあるし、父さんは研究の事になると没頭して調査ですぐどっか行ったり研究実に閉じこもったりで家にいない時の方が多いの。」

「そうなんだ……」

すると突如トゥラスの前に文書が送られる。


「何それ!?紙?」

「これは……何か有事の際に速達で情報を伝える魔法!父さんに何かあったの……!」

トゥラスは顔色を変えて文章を食い入るように見つめる。


「「なんだなんだ?」」

裕太とメンドも背後から文字列に目を通すが


「ダメだ全くわかんない。」

「こりゃあオレ達にゃ無理だな。」

未知の言語がびっしりと並んでいた為即座に解読を諦めた。


それから数分後トゥラスは頭を抱える。

「えぇと、何かございましたか?」

裕太は恐る恐る尋ねる。


「父さん……国の議会に勝手に上がり込んだらしいの。」

「議会?オレらの世界でいう国会みたいなのか?」

「え?先生が勝手に?無許可で?って事?」

裕太の指摘にトゥラスは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべ頷く。


ストックという国のことを全く知らない裕太達でさえ事の重大さに体が固まる。

「あっあっその………それってぇ……いうのはさぁ?あのぉ普通じゃあないんでしょ?」

「うん。」

トゥラスは感情のこもっていない表情で頷く。


「そんな事しちゃぁダメなんでしょ?」

「うん。」

再び頷く。


「例えば罰とか……」

「一族諸共死刑。」

裕太は顔をおさえる。


「でも普通ならとっくにわたしも父さんも死んでる。今は普通じゃない事が起きてるから。」

「え?もう意味が分からないんだけど……」

「噛み砕いて最初から言うね。」

トゥラスは裕太とメンドにまずベェルリが議会に殴り込む異なった事の発端である報告書の話題を出した。


「じゃあ元を辿れば全部あのギトギト野郎のせいじゃねぇか!そもそもアイツのとばっちりでオレら学園を追い出されんだ!あのギトギト野郎……」

メンドの頭には一般食と悪気なく平然と答えたテンペラーの姿が浮かび上がっていた。


「でもこの町を救ったんでしょ?フードファイターに変身して。」

「報告書によればそうみたい。それでフードファイター?だっけ?あなた達の事をそういうんでしょ?」

「その名を化け物が喋ってた……」

裕太はその部分に引っ掛かりを感じていた。


「フードファイターってオレの世界の話なのに、なんでこの世界の化け物が?」

「どうせあのギトギト野郎が暴れたからだろが!」

メンドは投げやりに言う。


「いやそれは無いと思う……えぇ?オレ一応フードファイターだけも全く意味が分かんないんだけど。で、あとベェルリさんって結局議会で何がしたかったの?」

トゥラスの顔がより一層呆れたものになる。


「その話?どうやら父さん的にはこの報告書の話題に自分がいなかった事がよほど不満だったんだって。」

「それだけぇ!」

裕太も頭を抱えた。


「で、その報告書をだした軍の1番偉い人にフードファイターに関する提言を持ちかけたらしいの。」

「まさかその提言で刑罰回避?」

裕太は首を縦に振るトゥラスの姿を見て顔がひきつる。


(ベェルリさんなんなの……)


──


「お前よくこんな狂った真似して今までよく生きてこれたな?」

「まぁオレも議会に行くのは正直怖かった。正直兵長がトリベット氏じゃなかったら終わってた。トリベット氏のことを思うとオレも胃が痛いよ……うわぁぁ!!オレの代わりに色んなトコの怖ーいお偉いさんに頭下げてると思うとひぃいい〜!!急に己の行いが恐ろしくなってきたぁ…………」

ベェルリは体を震わせ始める。

「なんかあったんですか?トリベットって人と。」

「あの人はストックの現場の軍をまとめる兵長でね。千年に1人と言えるほどに戦術に関しては頭の切れる猛将で、若い頃はもう凄かったととかなんとか……話が逸れたな。まぁ年下のオレが言うのも烏滸がましいと思うんだけどさぁ、仮があるんだよ。あの人はオレに。」

「うわーここまで烏滸がましい発言も聞いたことない。」

裕太は衝撃を受ける。


「14年前の惨劇の時に、オレはトリベット氏にとある魔法を教えたんだ。それがかなりの魔力を要する上に研究してる人間がオレしかいないからオレしか読めないめちゃくちゃ古い言語で書かれた戦闘用の魔法なんだよ。ただ理論上は現代の魔法の日にならないレベルの物で使おうとしたら封印が何十にかけられてその上に魔法陣も複雑で何本線を引けば良いのやらっていうホントに凄かったな……」

「その魔法はどうなってんですか?」

「オレとトリベットはあの時死に物狂いだった。もう自分でも何を詠唱して何を描いてるのか分からん精神状態だったが、突然地賊団の魔物がいつの間にが消えてまるで何も無かったこのように静けさが戻ったのは今でも覚えてる。」

ベェルリはどこか焦燥した目で14年前を回想していた。


「それ以来なんか……オレ気に入られちゃったんだよ。トリベット氏に。オレはこういうのがあるって教えてほんの少しばかり手伝っただけなのになんか……怖いくらいに好かれてさ。でも今日それが初めて役に立った。とにかく……特別遊撃隊就任おめでとう!コレから学園を好きなように移動できて便利だ!そうだ今日はご馳走にしよう!何食う?もう食べたいもの全部いくか?そうしようそうしよう!」

ベェルリは逃げるように去っていった。


「裕太追うぞ!」

「えぇ〜?」


「肉はマストだしな〜やっぱフビフのチュチュとか、テキオスも霜降りで行くか?」

「待ちやがれぇ〜!」

陽気に晩飯に思いを馳せるベェルリを裕太はメンドに変身して部屋中で追いかけ回していた。


「なんだアレ?」

その様子を見た天は


「そんな走り回るくらいアゲアゲなのか?ならオレ様も走るぞー!」

それから長い間3人は部屋の中をひたすらぐるぐると回り続けたのだった。

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