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宝角令嬢は普通に学園生活を送りたい【連載版】  作者: 山吹弓美


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087.令嬢は現実に悩む

「まじしんどいですー筋肉痛ー」


 翌日、朝の教室でセレスタ嬢はぐったりと机にうつ伏せになっておられたわ。きちんと夜は休まれたのだと思うけれど、それで取れないほどの疲れだったのね。


「ああいう靴で歩くと、足の裏が痛いですー」

「慣れるしかないわね。あとは、脱いだ後でしっかりマッサージをするとか」

「やってるんですけどねー」


 意外にサンドラがしっかり話を伺っているようで、この二人は仲良くなっているわね。サンドラはアレクセイと双子で、親戚からはあまり良く思われなかったらしい、と聞いているから小さい頃は苦労したのかしら。あまりその辺り、話してくださらないから分からないのだけれど。


「あと、お腹が空きます!」

「普段使わない筋肉使うからね……」

「しっかり食事を取らないと、採寸したときとサイズが違ってしまってドレスがおかしくなりますわよ」

「うわあ」


 一応、忠告はしておきましょう。

 ダンスの特訓って結構体力を使うので、採寸したときよりうっかり痩せてしまうこともあるのよね。もちろん逆に、太ってしまうこともあるのだけれど。どちらにしろ、実際にドレスを着たときにちょっと大変……まあ普通は事前に試着するから、調整はなんとかなるけれど。


「お父さんがものすごくはっちゃけてて、ドレス任せとけって言われましたー」

「ああ……ちゃんと試着はなさいませね」

「はあい」


 テウリピア子爵……可愛らしいご令嬢ができたので、浮かれていらっしゃるのかしら。まあ、お気持ちは分からなくもないけれど……殿下あたりがお話を聞かれたらきっと一言、「落ち着け」と低い声でおっしゃるわねえ。


「一応靴のことは言っておいたんですけど、大丈夫かなあ……」

「いざとなったら、学園内にも職人はいるんだからお願いすればいいんじゃないかしら?」

「そうしますー」


 サンドラも言っているけれど、何だかんだで学園内にはいろいろな職人もいるのよね。基本的に貴族の子弟が通う学園だから、良いものを身につけるべきなんていうお考えもあるよう。どなたがって、当然学園長。

 ふと、セレスタ嬢が頭を抱えこんだ。


「……はー、その前に進級試験もあるんですよねえ」


 そうそう。舞踏会は三年生の卒業式の後だけれど、進級試験は遥かその前よね。


「さすがにちゃんと通っておかないと、ダンスどころじゃないですよね」

「そうね」


 試験に落ちた方の話はほとんど聞かないけれど、舞踏会に堂々と顔を出せる立場ではなさそう。きっと、普通に授業を受けていれば通る試験に通らなかったということで恥ずかしくてならないわ。


「でも、授業でやった範囲しか出ないから、教科書とノートでしっかり復習すれば大丈夫ですよ」

「そっかあ。がんばるー」


 むん、と拳を握りしめて決意を語るセレスタ嬢は、とても可愛らしい方だと思う。最初にお会いしたとき角をむしられそうになったのは、こう、いろいろとお間違えだったのよね。きっと。

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