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スキルブック

『スキルブック。』

エルザの言葉になんとなくこの本がどんなものか予想はついていた。本を開き、圧倒的に薄い本のページ数を確認する。結果3ページしかなかった。1ページずつちゃんと見ると、予想していた通りスキルと思われるものが1ページにつき1つずつ載っていた。

白色のページの上部に黒色で大きくスキル名らしきものが書いてあり、下にはスキル名より小さめに説明文と思われるものが書いてあった。詳しく読んでも良いが、どうせならエルザの説明に任せようと思い俺は沙由里が開いている『スキルブック』を覗き込んだ。

俺の行動に気が付いた沙由里は見やすいようにするためか俺の方に開いた本を向けてくれた。そして、ぺらぺらとページをめくって何ページか俺に見せてくれた。

だが、どのページにも何も書いておらずただの白紙だった。良く分からずに沙由里に目を向けるも困惑している俺に気付いていないのか楽しそうに話しかけてきた。

「ふふ、どう? よく分からないけどこんなにカラフルな本も珍しいよね。翔ちゃんのはどうだった? 私のと違ってすごく薄くなってるけど。」

「・・・。」

沙由里の言葉を全く理解することができず、沙由里の問いに黙ってしまった。その直後、どんどんと沙由里の表情が沈んでいった。きっと無視されたと思ってしまったのだろう。俺は慌てて返事をした。

「ああ、いや違うって。別に無視したわけじゃないよ。ただカラフルって言われても俺には沙由里の『スキルブック』は全部白紙に見えるんだよ。それと一応、これが俺の『スキルブック』だよ。」

そう言って、俺は沙由里に自身の『スキルブック』の中を見せる。3ページしかないので、全部見せるのに全く時間はかからなかった。

どう?、と沙由里に聞いた。

「何も書いてないね。それとも自分にしか見えないのかな。」

「そういうことなんだろうな。詳しくはエルザに教えてもらおう。」

俺はそう言うと、視線をエルザに向けた。

「はい。サユリとショーイチが気にしているように『スキルブック』の中身は所有者本人にしか見えません。他人から分かるのは、本の厚さと所有者の名前くらいでしょうか。『スキルブック』は自分の意思で空間外へ出し入れすることができますが、万が一誰かに見られても能力がばれないようになっています。」

エルザの言葉に俺と沙由里はさっきの現象に納得する。

「サユリがさっきカラフルと言っていたのは文字の色のことですよね?」

エルザの問いに沙由里は頷く。それを確認したエルザは説明を続けた。

「文字の色は魔法の属性を示しております。赤は火、青は水、黄は雷、緑は風、茶は土属性となっています。属性は生まれた時に決定し皆『スキルブック』を見る事で自分の魔法の属性を確認します。基本的には一人一属性で初級魔法を一つ持って生まれてくるので大概最初は1ページなんですが、サユリの『スキルブック』を見る限り多属性で魔法もすでに初級以上を習得しているみたいですね。サユリ、ちなみにどんな色がありますか。」

「う~んと、さっき言っていた色は全部あるよ。一つの色が5つずつあるかな。」

確かに沙由里の『スキルブック』の厚さを考えれば、大体30ページくらいが妥当だろう。つまりは俺の10倍もの数の魔法を使えるわけか。ちょっと羨ましいな。

「さすがに神の子ですね。5属性の全魔法を最初から習得しているということですか。聞いたこともありませんが、その厚さなら納得です。それでショーイチはどうでしたか。」

明らかに薄くなっている俺の『スキルブック』のせいか沙由里の時と比べるとエルザの期待度もだいぶ下がっているように感じた。

そして、さっき開いた『スキルブック』を再び開くと俺はまだ残っている疑問を口にした。

「それなんだけど、俺の魔法は3ページ全部黒色なんだよね。さっきのエルザの話に黒色が出なかったから気になってたんだけど、これはなんだんだ?」

俺の質問にエルザの目が驚愕したように開いていく。

「・・・後天性魔法である無属性魔法を最初から3つ持ち・・・!?」

エルザは一人でぶつぶつと呟いており、なんと言っているのかよく分からない。唯一聞こえた無属性魔法という単語から察するに黒色は無属性を示しているのだろう。やがて、エルザは考えをまとめたのか話し出していく。

「サユリのもすごいですが、ショーイチもそれに劣らないすごさです。黒色は無属性魔法を示しており、他属性と少し趣が異なります。火、水、雷、風、土属性の魔法は先天性魔法と呼ばれ属性のどれかを最低1つは持って生まれてきます。それに対し、無属性魔法は後天性魔法と呼ばれ基本的には生まれた後に努力や運、自身との相性など様々な要素がそれぞれの条件と一致したときにのみ習得可能な魔法です。稀に生まれた時から1つ持ってる方もいますが、2つですら聞いたことがありません。ショーイチの場合、これが3つですからおそらくその反動で5属性のどれもがなかったのだと思います。ちなみに私は教会に就くことと何年かの修行を経て無属性魔法の1つ『回復(ヒール)』を習得するに至りました。」

エルザの言葉によって俺は自身の魔法がどんな魔法なのかすごく気になり、改めて『スキルブック』に書かれている魔法を見た。

『擬似蘇生(リバイバル)』、『身体強化(ブースト)』、『魔法無効(ゼロマジック)』という3つの魔法が書かれていた。

その1つ『魔法無効(ゼロマジック)』だけ他と異なる文章があり、「常時発動」と書いてある。気になったのでエルザに聞いてみた。

「なあ、エルザ。1つだけ説明文に常時発動って書いてあるんだが、これはやっぱりそのまんまの意味か? それと、俺が火属性とかの魔法を使えるようにするにはどうすればいい?」

「何気にさらっとすごいことを言ってきますね。常時発動の無属性魔法は無属性魔法の中でも稀有な魔法として知られています。一般的に魔法を発動するには自身の魔力が必要であり、魔力が尽きると魔法は使えなくなります。しかし、常時発動の魔法は魔力を必要としません。ノーリスクで常に発動し続ける魔法です。それと、先天性魔法は生まれた後に変わることも追加されることもないのでショーイチが5属性のどれかを得るのは不可能です。」


次はもっと早く更新するつもりです。

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