クレナイの街
「ふふ。二人とも自分の魔法に興味が出てきたでしょう。魔法は非常な便利なものですし、戦闘の際にも大きな力となります。二人の魔法はすごいものです。人間の中ではすでにトップの冒険者たちとなんら変わりない実力を持っていると言っても過言ではありません。」
エルザが再び話し出したところで俺と沙由里は『スキルブック』から視線を持ち上げた。
「最後に、さっきも軽く触れましたが『スキルブック』は自分の意思で空間外に出したり入れたりすることが可能です。本をしまうイメージをすれば『スキルブック』は消えるはずです。出したい時はその逆をイメージします。一度『スキルブック』で確認した自分の魔法なら『スキルブック』をしまっている状態でも使用可能ですので、基本的には『スキルブック』は常にしまっていることが多くなると思います。」
エルザの話を聞き、俺は自然と本をしまう想像をしていた。すると、確かに今まで俺の手の中にあった『スキルブック』が忽然と消えてしまった。隣を見ると、沙由里も『スキルブック』をしまっていた。俺の中でこの現象に驚かなくなっていることから、こっちの世界にも少しずつ慣れてきているんだろうな。そんなことを思っていたら、目の前にいたエルザが立ち上がった。
「これで話は一通り終わりました。何か他に聞きたいことがあれば私が答えられる範囲であれば答えます。二人がこの街を出るまでには、二人ともこっちの世界で普通に生活できる程度の知恵は持ってもらうつもりですから。そのためにもまず、今からは二人にこの『クレナイの街』を案内したいと思います。」
「なにか色々と悪いな。俺たちをこっちに呼んだのは神であってエルザじゃないってのに、迷惑かけっ放しだな。でも助かるよ。ありがとう。」
俺は素直に感謝の気持ちをエルザに伝えた。隣では沙由里もありがとう、と言っていた。
エルザの顔が嬉しそうに笑った。一瞬、俺はエルザの笑顔に見とれてしまった。ただの一瞬だったはずだが隣では沙由里が頬をふくらませて俺のことをにらんでいた。
俺は沙由里に苦笑いで返すと、案内よろしく、とエルザに言って立ち上がった。沙由里はまだ頬をふくらませていたが、俺と同じように立ち上がった。
エルザの後をついていった俺と沙由里は教会の外に出た。教会は街のはずれに立っており、そこから俺たちは街の中央まで歩いて行った。
「おぉ・・・。」
思わず声が俺の口から飛び出していた。想像以上に人であふれかえっている騒がしさに少々驚いてしまったようだ。隣では沙由里も人多いね、と呟いていた。
そんな俺たちに前を歩いていたエルザは向き直って両手を左右に広げた。
「ここが『クレナイの街』です。最も安全と言われている街でもあり人口もニューストリの中で非常に多くなっています。ようこそ、と言っておくべきなんですかね。」
なかなか続きをあげられなくてすみません。




