赤ちゃんと感情のコントロール
間が開いてしまってすいません、次こそは、2,3日後に更新できたらなと思っております。
そして、僕は、赤ちゃんに悩みを打ち明けた。
朝など混みあう時間などは分かるのだが、今みたいな予想外の時間にたくさん買い物をする客とか
他に仕事があって忙しい時にたくさんの買物をする客に対してイライラしてしまう自分が居て
勿論、感情や表情に出さないように勤めて入るものの、そんなイライラしたままの接客をした時。
お客さんからねぎらいの言葉をもらったら無償に自分が小さく感じて惨めに感じて辛い。
そういう良いお客さんには、ギリ合格の接客ではなく100点満点に近い接客をしてあげたい。
……と伝えた、気がつけば熱弁している自分が居て、成長しようとしている自分の姿を客観視して少し自分を好きに思えた。
僕は自分を含めて努力する人、成長のためにあがこうとする人が好きなんだと思う。
その代わり、人を見下したり、店員を人間だと思っていない人間は嫌いだ。
「なるほど、とても良い考えでしゅね、えーと……ちょっと待って下さいでしゅ」
赤ちゃんは、スマホをすぐ傍の台に置き、赤ちゃんらしからぬ腕を組むという仕草で考え始めた。
「じゃぁ、逆にオオノしゃんは、どういうお客だったらイライラしないでしゅか?」
「うーん……」
イライラしないお客……。
僕も腕を組んで考える。
イライラするということは、勝手に無愛想な客と判断しているのだろうか?
最初からそのお客がイイ人だという情報や擬似があれば100点満点に近い接客ができるのかもしれない。
とはいえ、気分が良くないことでそれなりに好きなお客にもギリ合格な接客をしてしまうことはある。
「ちょっと話しそれまちゅが、オオノしゃんは怒って過ごしたいでしゅか?笑って過ごしたいでしゅか?」
「うん?……そりゃ、怒るよりは笑っていたいかな?」
プンプンしながら過ごすより、やはり笑っている方が幸せだと思う。
接客で苛立って、後にそれに対してほぼ例外なく後で後悔すると結果的に苛立たないほうが得だったという結論になるのは分かっている。
感情のコントロールさえ出来れば良いのだろうか?
「も1つ質問でしゅ、もし、オオノしゃんがお客さん的立場とかで誰かにがさつに接したら、その後どう感じましゅ?」
「うーん……、相手に敵意や悪気がなければ、がさつに接したことで凄く罪悪感や喪失感に陥っちゃうかな?」
「そんなもんでしゅ、きっと皆似たようなもんでしゅ」
「えーと……ちょっと待って下さいね」
僕は頭の中で整理する、自分で出した答え、人間は怒るよりも笑っていたいはず。
そして、がさつに接することで後悔してしまうこともあるはず。
思わずがさつに接してしまうことって自分にはないだろうか?
仕事が立て込んでいて忙しかったり、気持ちに余裕が無かったり
待てよ……。 お客的立場でも予定が立て込んだり、忙しかったり、気持ちに余裕が無かったりというのはあるんじゃないだろうか?
そして、当たり前の結論にたどり着く、別に好きで不機嫌だったり、嫌なお客だったりするんじゃないのかもしれない。
丁寧な応対をしても、お礼を言わないお客もこころに余裕が無かったり
良い所が全くない理不尽なクレーマーでも、何か過去に可哀想なことがあったのかもしれない。
ということはつまり……。
「えーと、人間は、好きで苛立ってるわけではなく、常に笑っていたいものである、でも心に余裕が無い時もある、嫌な客は、たまたま心に余裕が無いからか過去に可哀想なことがあったかもしれない。……という結論で良いのかな?」
「んっ……? ずれてる気がしないでもないでしゅが、お客の気持ちが分かったのならきっと今以上にイライラはしないはずでしゅよ」
「そうですね、イライラしているのも、相槌返す余裕がなくても何か理由があるのなら、或いは気持ちに余裕が無いのなら、イライラを包み込んであげるような接客をしてあげたいですかね」
「凄いでしゅね、1を聞いて3を知るぐらいのレベルがありましゅよ、そんなオオノしゃんにはとっておきの裏技を2つ教えましゅ」
「う、裏ワザ!?」
相手の気持を理解することで相手に対する不満が半減に至った、これだけでも十分な進歩だと思うのだが、裏技があるらしい。
どういうことなのだろうか?
「オオノしゃんは、勝ち負けがあるゲームは好き(しゅき)でしゅか?」
「うん?……争いごとよりは協力ゲームが好きだけど、うん好きかな」
「人間は先祖が子孫を残したという意味での勝ちの遺伝子が受け継がれてましゅからね、勝敗で勝ちたいという気持ちは健全でしゅ」
「普通の人より優れた人間にはなりたいですね」
「そこでなんしゅが、無愛想なお客が居ても思わず丁寧な接客をしてしまう思考法お教えするでしゅ!!」
「ぇっ!!思考法!?」
デデン!!とドヤ顔をし、一本指を突き上げる赤ちゃんに対し、キュンとは来たがそれ以上に思考法というものが気になった。
「はい、簡単に言うと気持ちを取り乱す=『苛立ったら負け』冷静に対処する=『苛立たなかったら勝ち』という感情コントロールのゲームをするでしゅ」
「感情のコントロール?」
「無愛想な客は、オオノしゃんをわざと苛立たせるような攻撃をしてきましゅ。 それをいかに耐え紳士的に応対するかということでしゅ」
「なるほど! 『怒るが負け』みたいな?」
「そうでしゅそうでしゅ、物事に例外は付き物でちゅが、怒っている人より冷静な人の方が魅力的でしゅし」
今回の物事の例外というのは、大事なものを盗られたり、壊されたりとか、理不尽な仕打ちを受けた時だろうか?
確かにそういう時は怒っていいと思う。
「感情が乱れる人よりは、冷静な人は確かにカッコイイですね」
そう復唱して言われたことを考えてみる。
~~♪
無愛想な客が現れた。
-さぁどうする?
-コマンド
苛立つ
→
堪える
---
-コマンド
苛立つ
→堪える
---
……ピッ
『いらっしゃいませ、こんにちは(中略)』
『……』
『30円のお釣りですね、ありがとうございましたー』
オオノは通常接客をした。
……。 無愛想な客に対応した!
……。
チュウィーーン~~♪
……。
……。
『……ありがとよ』
無愛想な客は、なんと、御礼の言葉を吐いていった。
チャラララッチャッチャ~~♪
オオノの接客レベルが上った。
冷静さが1上がった。
スマイルが2上がった。
自信が2あがった。
御礼の言葉の効果により、仕事のモチベーションが2上がった。
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ふと、ドラ◯エ風の接客をシミュレーションした。
確かに面白いかもしれない。
感情のコントロールや思いもせぬ御礼の言葉で仕事に対するモチベーションや自信アップにも繋がりそうだ。
「うん、シミュレーションしてみたけど面白そうだね、『苛立ったら負け』」
「人間ゲームは好きなもんでしゅからね、ただ、それだけではまだ難しいと思うでしゅよ」
「ぇっ?」
「ここでもう一つの裏ワザでしゅ、『2.3秒かけて深呼吸してみてくだしゃい』」
「深呼吸ですか?」
「そうでしゅ、深呼吸でしゅ……いつでもほんの少しでもリラックスが出来れば感情コントロールの強い味方なんでしゅ」
「なるほど……」
そう言われとりあえず試してみようと思った。
そんな矢先だった。
~~♪ ~~♪
いつも来る、声のトーンも苦手で、がさつな40代半ばのたばこを買いに来るお客さんが来店した。
「うっ……」
思わず怯む、無意識的に苦手意識があったことに気づく。
「さっそく、試してみるでしゅ!」
赤ちゃんは、頑張ってと言わんばかりにグッと自分の拳を握りしめていた。
「う、うん頑張る!!」
僕も赤ちゃんの仕草の真似をして、レジへ向かった。
「いらっしゃいませ、こんばんは」
……。
予想通りだ、作り笑顔ながらも満面に近い笑みを浮かべ、声のトーンもあげて挨拶するがお客は無反応だった。
「ぐっ……」
予定通りとはいえ、かなりの強者だ。無反応というのは一番イライラする。
深呼吸するなら今だろうか?
そう思い、極力音を立てず、鼻から息を吸ったその時だった。
「スー……」
「若葉3つ」
煙草の銘柄をいうと同時に栄養ドリンクをレジの上に荒っぽく置いた。
「ブフッ……」
深呼吸が中断され、更に荒っぽい行動で苛立ちがパワーアップした。
「あっ、はい若葉3つで……」
僕は復唱してからお客に背中を向け、若葉を探しながら、小さく深呼吸した。
「スーーー……ハーー……」
息を吐く頃には、反射的に若葉に手が伸びていた。
3つ分取ってから、レジに置いて、レジに通した。
(あれ……?)
深呼吸の驚くべき即効性に気付かされる。苛立ちは0ではないが、10だったのが3ぐらいになっている気がする。
それのお陰か、それなりの良いトーンで接客ができた。
「4点で880円になります」
「ぅぃ……」
再び驚くべき結果だった。若干不服そうではあるものの、お客が返事をしてくれたのだ。
僕はそれに嬉しくなった。そのせいか少しだけそのお客を好きになれた気がした。
「はい、千円お預かりします、120円のお返しですね、ありがとうございます」
僕は丁寧にお金を手渡した。
「……ぅぃ、あんがと」
「……」
…… 衝撃だった。 無愛想なお客が返事もくれたし、御礼の言葉まで言ったのだ。
背筋にゾクッっと気持ちのよい感触が駆け上っていくのを感じた。
約2秒、我を忘れていた。
ハッと我に返ると、無愛想なお客は、3メートルほど離れ店の出入口に向かっていた。
「……ありがとうございます!!」
「……」
当然反応はなかったが、それでも今の感動が薄れることはなかった。
それから、興奮と感動が覚めないまま、僕は赤ちゃんの所へ駆けた。
「あ、お帰りなさい、うまくいったみたいでしゅね」
「えっと……えっと……」
僕は感謝の気持を伝えたいがどう伝えればいいのか分からなかった。
同い年ぐらいであれば、少し屈んで顔の高さに目線を合わせられるのだが
赤ちゃんは、とても低い。
だから、僕は、目線は合わせねば! という気持ちのせいか
気がつけば、跪いていた。
「へっ!?……オオノしゃん!?」
「……あっ、ありがとうございます!!」
僕はそういって深々とお辞儀、もとい土下座をした。
「顔を上げてくだしゃい、ボクは何も大したことはしてないでしゅよ」
「い、いえ!そんなことは、お客の立場にたつことと、『苛立ったら負け』というゲームを教えてくれたことと、何より、深呼吸が凄い効果でした!!」
「……そ、そうでしゅか……そこまで言われると照れるでしゅ」
赤ちゃんは顔を少しだけ赤らめ、指先で頬をポリポリと掻いた。
「本当にありがとうございます!」
「いいでしゅよ、裏技は教えましたが、お客の立場にたつことはオオノしゃんが自分で気づいたことでしゅ、だから自信もってくださいでしゅ」
「そ、そうでしょうか……?」
結果的に褒められているとわかると、僕も赤ちゃんの様に恥ずかしく感じた。
それでも、無愛想でお礼の言葉を吐くとは思わなかったお客からそれが聞けた感動はまだ覚めなかった。
「思った通り、オオノしゃんは、僕の生徒として最適でしゅ、僕が指導者となり、オオノしゃんを成功者にしてあげましゅ!」
その言葉を言っているのは2歳児ぐらいの赤ちゃん、でも、感動が覚めてない、赤ちゃんの教えの感動に浸っている僕は、赤ちゃんが神さまのような存在にすら見えた。
2歳時の赤ちゃんの後ろには後光が指してるようにさえ見えた。
この小説はお仕事コンに応募しようと思っている小説で、 つまり8月の終わり前には完成を予定しております、なので 過度な期待には答えられないかもしれませんが、是非是非楽しんでもらえたら幸いです。




