13 黙ってろ
「貴様、これは明らかに不正行為だぞ。どういうつもりだ!」
「なに、ちょっと挨拶に来てやっただけさ。ちなみに今のが挨拶代わりだよ。特別に俺自慢の魔技を見せてやったのさ、だが……あっけないねぇ竜族なんて。それとも不意打ちすぎたかな? ほほほ」
セブンは挑発するように倒れている竜士を指差した。
「貴様ぁ!」
フェミナは激怒して体を青く光らせた。
「まあ、待ちなよ。君は今竜族が馬鹿にされて怒っただろう」
セブンは見て明らかに分かっていることを言葉にした。
「なら、僕と賭けをしないかい?」
「賭けだと?」
フェミナは体を光らせたまま聞き返す。
「君たち竜族は自分たちに誇りを持っているんだろ。なら当然三技でも自分たちが勝つと思っているよね」
「当然だ!」
「ほほ、なら……」
セブンは懐から布袋を取り出して中身を机の上にばらまいた。袋には大量の銀貨が入っていた。
「ここに百万マニほどある。竜国の通貨に変えるとおよそ二百万ラグといった所だね。これを賭けて勝負しようじゃないか」
「二百万ラグ……」
フェミナは金額の大きさに驚いたように竜技を解いた。
「なんだい、竜国の姫が払えない額じゃあないよね。それとも負けるのが怖い訳? ほほ」
「そんな訳あるか!」
「なら……」
「おい、待ってくれよ。なんで賭けなんかするんだよ。来るときに見ていたが金が欲しいならこの姫様から取らなくても賭け商売している奴らのところで自分に賭けていればいいだろ」
「なっ、お前何を」
さすがにフェミナに部が悪い話にカズトは黙っていられず手助けのつもりでセブンに言った。
「おや? 君は魔族じゃないのか? なぜここにいるのかは知らないが横から口を挟まないでくれるかな」
セブンは見上げながら睨みつけるがカズトは怯まずに言った。
「それに、こっちの竜人はすでにお前に倒されたんだぞ。どう考えてもフェアじゃないだろ」
「もういい、お前は黙っていろ!」
フェミナはカズトの鎖を引き寄せて後ろに立たせた。




